部屋探しの時間とタイプ別診断:暮らしっく不動産のホンネ付き

こんにちは。暮らしっく不動産の徳留です。

賃貸の部屋を借りるのが初めてというお客さんも少なくありません。
とりあえず駅前で見かけた不動産さんになんとなく行ってみた。という人も多いでしょう。

さて、みなさんどれぐらいの時間で部屋を見つけているのか気になりませんか。
逆に部屋を見つけられない人はどういうタイプの人?

公的な統計データなどではありませんが、私個人がこの2年半の間に担当したお客様の動向を振り返り、その傾向を分析して8つのケースに分類してみました。

ケース1から5は引越しができるケース
ケース6から8は引越しができないケースです。


ケース1. 物件を見ずに即決 (所要時間:1時間)

えっ?ほんと?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、場所と予算で即決する決め方です。
物件を見ずに決めてしまう方というのは一定数いらっしゃいます。
理由としては次のようなもの。

  • 新築物件 (新築物件の場合、入居可能日の前には8割ぐらい埋まってます。)
  • 大学生など地方から出てきた方で日程が無いので現在"居住中"の物件に申し込みをされる場合
  • 特定の物件を狙い撃ちする場合 (場所や条件などではなく建物名で探している方)

不動産屋に来店した時点で前の入居者が居住中であれば内見をすることができません。
そういう物件の場合は◯月◯日より入居可能と物件情報に書いてあったりしますが即決される方というのはこの居住中の時点で既に動いています。その物件の人気やエリア、設備などを頭にイメージできているともいえます。

「家賃も初期費用も場所もOKなので、ここにします」
「今まで人が住んでいたんだから住めないような部屋なわけないでしょ」
「新築なので悪いわけがない」
「荷物は特にありません。スーツケースぐらいかな?家電や家具はどうにでもなるので」

どこにでも住める最強なタイプと言えます。環境適応能力が非常に高いです。
ぼくの友人にも内見をしないで決めたツワモノが実際います。
場所と金額重視なので部屋の中は寝れればいい。という考え方です。
こういうタイプの人は不動産屋に来店してから退店するまで一時間ぐらいです。

💬 暮らしっく不動産のホンネ

正直、このタイプのお客様は「ギャンブラー」に見えて、実は「勝率が高い」人たちです。
特に1〜3月の繁忙期、人気物件は内見できるようになる前に埋まります。「中を見てから」と言っている間に、図面だけで判断できる人に取られてしまうのが現実。
自分の許容範囲を理解していて、「住めば都」と思えるメンタルの強さが、結果的に一番いい条件の部屋を勝ち取ったりします。

ケース2. 2件or3件で悩んで決断 (所要時間:半日)

来店や幾度かのメールのやり取りをして提示された数ある物件情報の中から2件から3件ほど内見に行く物件をピックアップ。その中でどれかに決めるパターンです。

物件情報を見たときに、この物件はあり!この物件は無し!という判別が早いので、あっという間に候補を絞り込みます。
絞り込んだ内見する物件はほとんど条件に差がないので、図面からはわからなかった街の雰囲気やコンセントの数、景色等が最後の決め手になります。

家賃相場や必要経費等、自分の意思ではどうにもできない部分に関しても受け入れが早いです。
「賃貸だし、こちらは借りる身だし、言っても仕方ないよなぁ。」
という意識があるので、こちらも環境適応能力が高いといえます。
不動産屋に来店されて帰宅されるまでおよそ半日。

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われわれ不動産屋が一番安心してお手伝いできる「優等生タイプ」です。
100点の物件なんてないことを知っていて、80点で合格を出せる。この「妥協点」を見つけるのが早い人は、いい部屋に出会いやすいです。
2〜3件見て決められるのは、事前にネット等でしっかり予習してきている証拠でもありますね。

ケース3. 1日で5件内見して決断 (所要時間:1日)

これは地方から出てきて、その一日で決めなければいけない!だけどもどうしても内見してから!という人に多い傾向です。
朝一で来店し、一時間程度で内見候補を選び、昼前から物件を見始めます。
その日申し込めるギリギリの時間まで内見、その中から申し込みをするパターンです。

部屋のサイズに合わせて家具を買う前提でいるので荷物は少なめです。
今までの生活を維持したいというよりも新しい生活がしたい!という気持ちに溢れかえっています。

「インターネットが使えて、携帯の電波が入って、駅近でスーパーがあれば、あとはなんでもいいや。」

部屋に対してのこだわりが少ないのと、数年で引っ越すという気持ちが最初からあるので部屋探しは一日で終わります。
この場合、事前のリサーチをしていることが多く街や路線に対しての予備知識が豊富なことが多いです。

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体力的にはハードですが、実は一番理にかなった探し方かもしれません。
短時間で一気に比較することで、記憶が鮮明なうちにジャッジできるからです。1件目と5件目を同じ「定規」で測れるのはこの日だけ。
ちなみに、5件以上見ると人間は脳が疲れて「どれがどれだっけ?」となりがちなので、5件は限界ギリギリの適正数ですね。

ケース4. 1日で複数件の内見して次の日に決める (所要時間:1.5日)

早めに決めなきゃいけないんだけど内見後、一度冷静に家で考えたい。という人に多いです。

  • 1日目→物件選択・内見
  • 1日目の夜→冷静に考慮、または家族と相談
  • 2日目の午前中→申込み

というケースです。
多くの場合、昨晩第一候補に考えていた物件の優先順位が変わることがないです。
結果的には一晩考えても同じ答えなことが多いように思います。いわゆる熟考タイプです。

そのまま無事に申し込みが完了すればいいのですが、一晩考えた事により他の人に先を越されて申し込めなかったという事も少なからずあります。特に2月,3月の物件は物件の動くスピードが早い時期は少しの差で申し込めなかったという事象が発生しやすいです。(5分差の時もあります。)
賃貸の場合、申込書の先着順なので、考えすぎてしまうのが不利に働くケースがあります。

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不動産屋として一番悔しい思いをするのがこの「一晩寝かせる」パターンでのタッチの差負けです。
「家に帰って考えます」と言って帰られたお客様から、翌朝「決めます!」と連絡があった時、すでに埋まっている…。この報告をする時の辛さと言ったらありません。
あなたが良いと思った物件は、他の誰かにとっても良い物件です。繁忙期に「持ち帰り」はリスクが高いことだけは覚えておいてください。

ケース5. 一日にAエリアで複数件内見、次週にBエリアの物件を複数件内見して決断 (所要時間:2日)

「2エリアで悩んでいるので今週はAエリア、来週はBエリアを見てみたいです。」
というパターン。この場合、Aエリアで5件、Bエリアで5件の計10件の内見を行うパターンです。

Aエリアは知人や友人に勧められた場所。Bエリアは自分で決めた場所ということが多いように思えます。
人に勧められたからとりあえずAエリアを見たものの、やはり自分の生活に合っていると思って抽出したBエリアのほうが自分にとっては住みやすいことが多いです。
他人は他人、自分は自分。住むのはあくまでも自分であることをお忘れなく。

ポイントとしては二週にまたがって賃貸の内見を行った場合、その一週間で先に見たAエリアの物件が無くなってしまう可能性が高くなってしまうというところ。また内見する件数が多すぎると、後から物件比較をする時に覚えていない、印象が薄い、混乱してきたということもよく聞く話です。
内見は3件程度が比較する上ではベストかと考えます。

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10件見ると、大体の方は「記憶喪失」になります(笑)。
「あれ?お風呂に窓があったのってどこだっけ?」となると、もう選びようがありません。
それに、1週目の物件は2週目にはほぼ残っていません。比較検討しているつもりが、実は「先週の物件を捨てて、今週の物件を見ている」だけになりがち。エリア迷子は早めにどちらかに絞るのが吉です。

ケース6. 内見しては埋まりを繰り返している (決断できない)

ここから先は物件が見つからない人達のケースです。
一晩悩んで申し込むタイプの例を先程書きましたが、その延長バージョンです。
悩む期間が一週間とか半月とか。

熟考するのは良いことでもあるのですが、長時間悩んでいると決断の早い人に先に決められてしまいます。
失敗や妥協のない賃貸契約をしたいのはわかりますが、失敗を恐れすぎてせっかくの機会を失ってしまいます。
マンションを買うなどであれば熟考は必要かと思いますが、賃貸の最大のメリットは住み替えが効くというところ。ある程度の思い切りの良さというのは少なからず必要です。

決定権者も大事
もう一つ物件が定まらない要因があるとすれば、内見に行く人と物件の決定権者が違う場合です。
決定の返答が出るのが遅れれば遅れるほど物件が他人の申し込みで埋まる確率は高くなります。
内見したのは奥さんのほうだったが、決定権者は旦那さんにあった。というような場合です。
後日、再内見というペースだと賃貸だとなくなってしまいます。

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厳しいことを言いますが、「100点満点を探す旅」は終わりません。
賃貸は購入と違って「一生モノ」ではありません。ライフスタイルが変わればまた引っ越せばいいのです。
慎重になりすぎて今の家賃を払い続けたり、更新料を払ってしまうことの方が、トータルで見ると損をしているかもしれませんよ。

ケース7. 相場や条件が予算からかけ離れている (見つからない)

感覚的ではありますが物件が見つからないケースで一番多い事象だと思います。
文京区で1K、オートロック、2F以上、二口ガスコンロ、築浅、鉄筋コンクリート、駅徒歩10分以内で管理費込み5万円以内で!
という要望があってもそのような物件はありません。

土地の値段や物件の相場は決まっているので極端に安い物件というのは存在しないのです。
相場からかけ離れているのを理解できないと、A不動産、B不動産、C不動産、D不動産と複数の不動産屋をまわる方がいらっしゃいますが、条件が街の相場からかけ離れているのでどこの不動産屋でも見つからないという事象が発生します。

物件が出てこないということは世の中の相場(家賃相場)とずれているということなので、なんらかの条件を見直す必要があります。
"予算"なのか"場所"なのか"設備"なのか家賃相場を調べてみたり、本当に必要なものは何か優先順位を考えてみましょう。

💬 暮らしっく不動産のホンネ

これはいわゆる「ユニコーン(架空の生き物)探し」です。
どこの不動産屋に行っても「ない」と言われるなら、それは意地悪ではなく、本当に物理的に存在しないのです。
掘り出し物はネットには出ません。相場より極端に安い物件には、それなりの理由(事故物件や取り壊し予定など)があります。「普通の良い部屋」は、必ず「相場通り」の値段がします。

ケース8. 決断できずに迷っている間に疲れてやめる (見つからない)

特に急ぐ必要のない引越しの場合や、初めての引越しの場合は判断基準が曖昧なことが多いです。
どの物件も似たり寄ったりで、どの物件にしていいか決断できない。

  • 決め手にかける
  • いいところがあったら引越したい

決め手にかける場合、選択基準が曖昧なので悩む時間も長くなります。
引っ越す大きな根拠が無いので、感覚で物件を見てしまっているので、大体見つかりません。
その結果悩むのに疲れてしまって引越しそのものをしなくなるケースです。

なぜ、引越しをしようと思ったのか?
どういう生活をしたいのか?
今、必要なものは何か?

といったことをきちんと洗い出してみましょう。
そうすると必然的に予算や設備、引っ越す理由が見えてくると思います。

💬 暮らしっく不動産のホンネ

引っ越しはエネルギーがいります。「なんとなく」のモチベーションだと、物件探しの労力に負けてしまうんです。
「今の家がどうしても嫌だ!」とか「通勤時間を短くしたい!」という強い動機がないなら、無理に引っ越さないのも一つの正解です。不動産屋が言うのも変ですが、今の家が実は一番いいかもしれませんよ?


さいごに

物件を見つけるスピードは人それぞれですが、物件が見つかる人と見つからない人の差を書き出してみます。

【物件が見つかる人の共通点】

  • 相場感覚がある
  • 新しい生活や環境を楽しめる
  • 環境適応能力が高い
  • 決断が早い
  • 事前の情報収集をしている

【物件が見つからない人の共通点】

  • 相場感覚が無い
  • 現状と同じ家賃で、家賃相場の高いエリアで現在以上の水準の家を探している
  • 決断が遅い
  • 引越しする理由が曖昧
  • 情報収集を全くしていない
  • 賃貸に対して求める要素が大きすぎる
  • 平均相場よりも安い物件ばかりを選んでしまう

なんで物件が見付からないんだろう。。。と思っている方、思い当たる節があるのではないでしょうか。
ネットを見るとたくさんの情報が溢れている時代です。
色々と調べてから物件探しは行うようにしましょう。