「家賃交渉」の言葉の通り、交渉ごとです。
うまくいくこともあれば、失敗することもあります。
うちの会社は部屋を貸し出す業務が多いので、この交渉を受ける側だったりもします。
会社を初める前にいた不動産屋では部屋を借りる側の仕事も多かったので、いくつもこの交渉にチャレンジしてきました。
これが意外と交渉上手で、当時は8割以上の確率で交渉に成功していました。 自分で言うのもなんですが、なかなかの営業マンです(笑)
ただ全ての物件が下がるわけではありません。 見極めが重要。
ではどういう時に下がるのか?
両方の立場を経験した今だからわかる家賃交渉について、書いていきたいと思います。
【最終更新 2020年1月23日】
※この記事は、新たに入居するときの、家賃交渉の記事です。
更新時の家賃交渉については、こちらの記事を。
更新時は家賃交渉できる?(暮らしっく不動産)
目次
- 1. 残念その1 下調べ不足「相場感」がわかってない
- 2. 残念その2 相手のことを知らない
- 3. 残念その3 相手の前に自分は大丈夫?
- 4. 残念その4 家賃発生日について考えていない
- 5. 残念その5 時期を考えていない
- 6. 残念その6 どのくらい部屋が空いていたか知らない
- 7. 残念その7 コミュニケーションを取らない
- 8. 残念その8 下がらない物件ということがわかってない
- まとめ
極意その1 1月から3月の家賃交渉は控えるべき
不動産賃貸の一番の繁忙期である時期、1月から3月。
この時期は需要が多いため、あんまり無理な交渉はスルーされます。
これはGoogleトレンドで調べた「賃貸」というワード。
需要がある時期が分かります。
繁忙期は大家さんも「じゃあ少し高めにしようか」なんてご機嫌な大家さんもいるくらいです。 それでも決まるんです、繁忙期は。
この時期の交渉は、無駄に終わることも多いので、交渉するかどうか慎重になって考えましょう。
極意その2 申込書はバッチリ書け!
不動産賃貸は面接などはなく、申込書という紙一枚で判断されます。
大げさかもしれませんが、申込書はあなたの分身と言っても過言ではないほど重要です。
空白があるなんているのはNG! しっかり書きましょう。
しっかり申込書を書くためにも事前の用意は必要です。
申込書の書き方については、こちらの記事を参考にしてください。
賃貸 申込書の書き方。審査に好印象になるポイントとは?(暮らしっく不動産)
また申込時に必要書類なども揃えておくと好印象です。
特に収入証明、学生だったら合格通知書、新社会人だったら内定通知書、労働条件通知書など。
「自分はいい契約者だ!」というアピールが大切です。
大家さんは常に良い入居者を求めています。
申込書をしっかり書いて交渉へ臨みましょう。
不動産会社から見る「家賃交渉」
出典元 公益社団法人日本賃貸住宅管理協会 市場データ「日管協短観」 より
2019年度上半期データ 「入居時の条件交渉」
続いては、不動産会社から見た「家賃交渉」について。
公益社団法人 日本賃貸住宅管理協会が発表している「日管協短観」という市場データなかに、「入居時の条件交渉」という項目がありました。
この数字は、「去年と比べてどうだったか」という集計です。
首都圏では、賃料よりも「敷金礼金などの初期費用」の交渉が多いのがわかります。
こちらは全国のデータが全国データ。
出典元 公益社団法人日本賃貸住宅管理協会 市場データ「日管協短観」 より
2019年度上半期データ 「入居時の条件交渉」
首都圏以外では、家賃交渉が多くなっているとの傾向。
「首都圏は初期費用、首都圏以外は賃料と、明確 に分かれている」との日管教総合研究所のコメントもあります。
家賃交渉 残念なポイント
続いて管理会社の立場から見たNG集、「残念シリーズ」をお届けしたいと思います。
裏返せば、最低限押さえておきたいポイントでもあります。
1. 残念その1 下調べ不足「相場感」がわかってない
家賃交渉の前に、物件の家賃が適切な賃料か下調べしておくべきです。
家賃の設定は、エリア、駅からの距離、設備などから設定します。
相場感が分からないのに、自分の希望だけ言ってもほぼ通りません。
相手あっての交渉ごとです。
例えばこんな交渉では通りません。
「85,000円の部屋を、キリのいい80,000円で!」
根拠のない値下げ交渉は、まず通りません。
失礼な家賃交渉はそもそも交渉のテーブルにもつきません。
交渉する前に、近隣の家賃相場、土地勘など下調べしておくことをお勧めします。
最近はインターネットで不動産の物件情報は簡単に調べる事ができます。
少し面倒だとは思いますが、下調べは大切です。
2. 残念その2 相手のことを知らない
相手あっての交渉です。 相手がどんな人なのか知らないのに交渉するなんてありえません。
まずどんな相手なのか知るところからはじめましょう。
敵を知り己を知れば百戦危うからず
by 孫子
交渉は言わば、戦さです。
勝つ為に、まず相手をしりましょう。
ここでいう相手とは、物件のことです。
ぼくが交渉する時は、必ず相手(物件)を調べます。 物件調査ということですね。
「適切な家賃設定なのか?」「他の部屋は空いていないのか?」「すぐ近くのにたような物件には空きがないのか?」「どのような不動産管理会社なのか?」
相手を知ることによってより高い成功率で家賃交渉へチェレンジできます。
この物件調査は不動産業者でないとないと調べる事ができません。 またその不動産の担当者の調査能力にもよります。
なので、良い不動産屋を選ぶいうのが大切になってきます。
3. 残念その3 相手の前に自分は大丈夫?
交渉の前に、自分が審査に通過する基準にあるのか? まずは自分を知りましょう。
家賃がきちんと払っていける収入が充分にあるか、まず自分で見直してみましょう。
審査に通るかギリギリなのに、更に交渉なんてなると難しいです。
「転職したばかりで、在籍期間が短い」「アルバイトである」などの場合はむずかしいケースもあります。
部屋を貸し出す大家さんの気持ちになって考えてみましょう。
4. 残念その4 家賃発生日について考えていない
「家賃交渉」と「家賃発生日」はセットで考えるべく重要な項目です。
用語についてはこちらの記事を。
https://www.kurachic.jp/column/729/
家賃発生日
日家賃が起算がはじまる日。 賃料発生日とも呼ばれる。
一般的な不動産管理会社では申込みを入れた日あたりから、2週間ほどで設定される。
例えば9月1日に申込みを入れると、家賃発生日は9月15日あたりに設定されます。
家賃は9月15日から発生。
9月分の家賃は日割り計算になるので、約0.5ヶ月分ということになります。
家賃発生日は、一般的に申込みを入れてから2週間ほどで設定されます。
厳しいところだと、1週間や10日っていうところもあります。(そのような物件はその後もいろいろ取られたりする可能性があるので、ぼくはあまりお勧めしてません)
何も考えず、家賃発生日を1ヶ月後に設定してしまうなんていうのは残念すぎます。
その時点で負け戦です。
この「家賃発生日」をどのくらいに設定するのか、きちんと考えておきましょう。
相手の設定日を超えて、さらに家賃交渉となると交渉決裂に終わる可能性が高くなります。
家賃交渉する場合は、「家賃発生日」は相手の設定日に合わせてあげることが大事なポイントです。
家賃発生日についての記事はこちらでも詳しく書いています。
https://www.kurachic.jp/column/670/
5. 残念その5 時期を考えていない
不動産賃貸には繁忙期と閑散期があります。
繁忙期の時は、次から次へとお客さんが来るので家賃交渉なんて受け付けない場合がほとんです。
簡単に考えて、売れてる時期なのに値下げしないですよね?
値下げ交渉するときは、どんな時期なのか考えて交渉するのも大切なポイントです。
一般的な不動産賃貸の繁忙期は以下の通りです。
- 10月から3月 世の中的に移動が多い時期です。 入学、就職、会社での異動など。 1ルームや1Kなど一人暮らし向けの物件が一番動く時期です。
- 4月から6月 一人暮らし向けの物件が落ち着きます。
- 7月から9月 閑散期です。 この時期には家賃を下げて募集することもあります。
1月から3月までがピークの繁忙期です。
9月も異動などがあるので、少し忙しくなります。
次は、Googleトレンドでの検索数の結果です。
キーワード「賃貸」
6. 残念その6 どのくらい部屋が空いていたか知らない
この部屋がどのくらい前から募集していたのかを知っておくことはとても大切です。
いつから募集されたいたのかを調べるには、不動産業者が使えるレインズやATBB(アットホームの業者用版)などを駆使しないと調べられません。
これらを使っても調べられない場合もあります。
ここに限っては自分ではどうにもならないところ。
担当してくれる不動産屋の営業マンにお願いしましょう。
できる営業マンは内見の段階で、いつから空いてるかまで調べて内見にいきます。
7. 残念その7 コミュニケーションを取らない
いきなり「家賃下げろ!」なんて言われたらどう思いますか?
気分を損ないますよね。
コミュニケーションも取らずに、いきなり自分の希望を言うのはどうかと思います。
コミュニケーションを取って、相手の温度感を見極めて交渉に臨む事をお勧めします。
交渉でよく使われるのは「永く住む」とか「賃料発生日を早くする」とかです。
また不動産屋はノルマがあるところも多いので「月内契約」というのも好カードになったりもします。
お互いにWin-Winであること。メリットがないとモノゴトは動きません。
相手のことも考えて、交渉をしましょう。
8. 残念その⑧ 下がらない物件ということがわかってない
残念ながら、家賃交渉が出来ない物件も数多く存在します。
家賃が下がらない物件ということを知らずに、家賃交渉をすると申込み自体が却下される場合もあります。
せっかく気に入っていたのに入居出来ない、こんな悲しいことはありませんよね。
内見に行ったにも無駄足です。
1から7までのポイントをしっかり考えてから、交渉するか判断しましょう。
まとめ
どうだったでしょうか?
「家賃発生日」のところは知らない人も多いようで、少しは役につのではないかと思います。
ぼくはこの方法で、いくつもの物件で家賃交渉に成功してきました。
一番大事なポイントは「相手を知る」というところだと思います。
相手の状況を考えて「どのような交渉がいいのか」「交渉金額はいくらが妥当か」などを考えます。
これは売買にも言えた事で、買う場合には相手のことを徹底的に調べ上げるのはとても大切。
去年、昨年2,000万円代の物件を交渉で1割くらい値下げに成功したこともあります。
値下げが成功するときは、「価格設定にブレがある」「いつから募集しているか」ここの見極めがとても大切です。
ここは不動産営業マンの経験値なところもあるので、一般の方にはどうにもならないところではあるとは思います。
ただ「決まればいい」「売れればいい」という営業マンだと交渉すらしない場合もあります。
お客さんの立場になってくれる良い営業マン、良い不動産屋さんと一緒に探すのが大事です。
逆に管理会社からの立場からすると、家賃交渉は面白い話ではありません。
うちもなるべく家賃交渉されないべく、いろいろな付加価値を考えて入居募集を行っています。
デザインで勝負する、おしゃれなリノベーションを入れる、保険料を安くする、鍵交換費用を無しにするなど。
ライバル物件と違う戦場でいけば、家賃の値下げ交渉は避けられます。
もし同じ戦場で、条件もほとんど同じなら家賃の値下げ交渉は避けられません。
ここが最大のポイントだと思います。
家賃交渉について書いてきましたが、家賃交渉されない魅力的な物件を作るべくがんばっていきたいと思っています。