【プロが解説】1Rと1Kどっちが良い?家賃・光熱費の違いを徹底比較|一人暮らしの部屋探し

門傳義文
2025/12/03 2025/12/05
【プロが解説】1Rと1Kどっちが良い?家賃・光熱費の違いを徹底比較|一人暮らしの部屋探し

1Rと1Kの違いを徹底比較!一人暮らしの家賃・光熱費・住み心地はどう変わる?

一人暮らしの部屋探しで必ず直面する選択、「1R(ワンルーム)」にするか、「1K」にするか。なんとなく「1Kの方が良さそう」「1Rは安そう」というイメージをお持ちではありませんか?
実はこの2つの違いは、単なる「ドアの有無」だけではありません。室温、騒音、プライバシー、そして毎月の光熱費にまで大きく影響します。
この記事では、不動産のプロが「間取り図には書かれていない生活の質」の違いに加え、実際の物件データを分析した家賃比較、そして親目線のアドバイスまで徹底解説します。

結論:1Rと1Kの決定的な違い

  • 1K:キッチンと部屋の間にドアがある(料理の匂いがつかない・玄関から部屋が見えない)。
  • 1R:キッチンと部屋の間にドアがない(開放感がある・家賃が安い傾向)。
  • 選び方:自炊派・プライバシー重視なら「1K」、家賃重視なら「1R」がおすすめ。

【比較表】1Rと1Kの違いが一目でわかる早見表

まずは、家賃、住み心地、機能性の違いを比較表で確認しましょう。

比較項目 1R (ワンルーム) 1K (ワンケー)
間取りの特徴 キッチンと居室に仕切りがない キッチンと居室がドアで仕切られている
家賃相場 安い傾向
(※第2章で詳細データを解説)
高い傾向
(※第2章で詳細データを解説)
エアコン効率
(光熱費)
悪い
玄関からの外気の影響を受けやすい
良い
ドアを閉めれば室温が安定しやすい
プライバシー 玄関から室内が丸見えになりやすい ドアが目隠しになり、守られやすい
料理の匂い 部屋全体に広がる 居室への侵入を防げる
生活音 冷蔵庫の音が気になる ドアで遮断できる

1. 1Rと1Kの定義と決定的な違い

部屋探しで失敗しないためには、まず不動産業界における「定義」を正しく理解する必要があります。

1-1. ワンルーム (1R) とは?「広さ表記」の注意点

1Rとは、キッチンと居室の間に仕切り(ドア)がなく、玄関から居室までが一体となった空間のことです。

⚠️ ここが落とし穴!「専有面積」の罠
1Rの物件情報に「8畳」と書かれていても、ぬか喜びは禁物です。1Rの畳数表記には、廊下やキッチンスペースも含まれているケースがほとんどです。「思ったより狭い」と感じる原因の多くはこれです。

【図解】同じ8畳でも1Rと1Kで使える広さが違う ▲左:1Rの8畳(廊下含むため実質6畳) vs 右:1Kの8畳(部屋だけで8畳)

このように、同じ「8畳」でも、1Kなら部屋まるごと8畳使えますが、1Rでは玄関や廊下分が引かれるため、実質的な生活スペースは6畳程度になってしまうことがあります。

🏢
プロの視点:数字よりも「収納」と「感覚」

今、自分が住んでいる部屋が何畳なのか、まずは確認しておきましょう。「それよりも狭くても大丈夫なのか?」という感覚を持つことが大事です。
また、ひとり暮らしの場合は収納も必要になります。居室の広さだけでなく、収納力についても必ずチェックしましょう。

🏠
親心のアドバイス:家具が入らない!?を防いで

数字に騙されちゃダメ!窓がどこにあるのか、居室のドアの位置はどこか…。窓やドアの位置によっては、ベッドの置き場がないなんてこともあります。
部屋探しの前に、自分が住むイメージを確認すること。購入予定の家具のサイズをきちんと把握してから部屋を探してね!

1-2. 1Kとは?「1DK」との境界線

1Kの定義は、キッチンと居室が「ドア」で明確に仕切られていることです。アコーディオンカーテンなどの簡易的な仕切りは、正式な1Kとは認められない場合があります。

また、よく似た「1DK」との違いはキッチンの広さで明確に決まっています。

  • 1K:キッチンスペースが4.5畳未満
  • 1DK:キッチンスペースが4.5畳以上 8畳未満
  • 1LDK:キッチンスペースが8畳以上

2. 【徹底分析】データで見る1R・1Kの家賃格差

「1Kは高い」「1Rは安い」と一概に言われますが、実は建物の「構造」「広さ」、そして「築年数」によって、その価格差は大きく異なります。
ここでは、不動産業者専用データベース「ATBB」のデータ(新宿区・2024年11月〜2025年10月募集)を基に、条件別の家賃差を徹底比較しました。

2-1. 【構造別】木造なら1Kも狙い目?

構造 1R 平均賃料 1K 平均賃料 差額
木造 6.75 万円 6.96 万円 +0.21 万円
鉄骨造 7.55 万円 8.64 万円 +1.09 万円
RC造 (鉄筋) 9.82 万円 11.15 万円 +1.33 万円

※出典:暮らしっく不動産調べ(ATBBデータ 新宿区 2024/11〜2025/10)

データを見ると、木造の場合は1Rと1Kの差額がわずか2,000円程度しかありません。一方で、マンションタイプ(RC造)になると差額は1.3万円以上に広がります。

🏢
プロの視点:木造1Kという選択肢

「家賃は抑えたいけど、料理の匂いが部屋につくのは嫌」という方には、あえて木造の1Kをおすすめします。防音性はRC造に劣りますが、ドアがある分、同じ木造の1Rよりは音も気になりにくいですし、何よりコスパが最強です。

🏠
親心のアドバイス:木造は音が心配…

家賃が安いのは助かるけど、木造アパートだと隣の人の話し声が聞こえて勉強に集中できないんじゃない?もし木造を選ぶなら、角部屋にするとか、内見の時に壁の厚さをしっかり確認してね。

関連記事:RC造(鉄筋コンクリート)なら遮音性は抜群?構造について詳しく知る

2-2. 【専有面積別】20㎡を超えると逆転現象?

専有面積 1R 平均賃料 1K 平均賃料 傾向
14-16㎡ 6.79 万円 6.27 万円 1Rの方が高い
17-19㎡ 6.90 万円 7.22 万円 標準的な差
19-21㎡ 8.22 万円 8.38 万円 差がほぼ無い
24-26㎡ 11.99 万円 11.54 万円 1Rの方が高い

※出典:暮らしっく不動産調べ(ATBBデータ 新宿区 2024/11〜2025/10)

興味深いことに、20㎡前後(19-21㎡)のゾーンでは1Rと1Kの価格差がほぼありません。また、25㎡クラスになると逆に1Rの方が高くなる傾向が見られます。これは広い1Rが「デザイナーズ物件」などの高級路線であることが多いためと推測されます。

🏢
プロの視点:狙い目は「20㎡の1K」

20㎡前後で探すなら、家賃差がほとんどないので断然「1K」がお得です。逆に25㎡以上の広い1Rは、おしゃれですが割高なケースが多いです。単に広さが欲しいだけなら、普通の1Kを選んだ方が安く済みます。

2-3. 【築年数別】「新築1K」のプレミアム価格

築年数 1R 平均賃料 1K 平均賃料 差額
築浅 (5年未満) 10.64 万円 13.01 万円 +2.37 万円
築古 (20年以上) 7.93 万円 8.39 万円 +0.46 万円

※出典:暮らしっく不動産調べ(ATBBデータ 新宿区 2024/11〜2025/10)

新築・築浅物件では「1K」の人気が圧倒的で、1Rとの差額が2万円以上に開きます。一方で、築20年を超えると差額は5,000円以下に縮まります。

🏢
プロの視点:コスパ重視なら「築古1K」一択

「どうしても1Kがいいけど予算がない」という方は、築20年以上の物件を狙ってください。データ通り、この層なら1Rと家賃がほとんど変わりません。内装がリフォームされていれば、古さを感じずに快適に暮らせます。

2-4. 【駅徒歩別】駅近1R vs 駅遠1K

駅徒歩 1R 平均賃料 1K 平均賃料 差額
徒歩 1〜5分 8.39 万円 11.80 万円 +3.41 万円
徒歩 6〜10分 8.43 万円 9.89 万円 +1.46 万円
徒歩 10〜15分 8.08 万円 8.38 万円 +0.30 万円

※出典:暮らしっく不動産調べ(ATBBデータ 新宿区 2024/11〜2025/10)

駅徒歩5分以内では1Rと1Kで3万円以上の差がありますが、徒歩10分を超えると差額はわずか3,000円になります。

🏢
プロの視点:徒歩10分の壁

駅徒歩10分を超えると、1Kの割高感が一気に消えます。自転車利用を前提にエリアを少し広げるだけで、同じ家賃で「駅近の狭い1R」から「少し歩くけど快適な1K」にグレードアップできます。

🏠
親心のアドバイス:夜道の確認は必須!

安くて広いのは魅力的だけど、駅から遠くなる分、帰りの夜道が心配ね。物件を決める前に、昼だけでなく夜も歩いてみて、街灯があるか、人通りはあるかを確認してちょうだい。

3. 1R (ワンルーム) のメリット・デメリット

実際の市場データと、建物の構造的な観点から解説します。

メリット:家賃の安さと開放感

最大のメリットはやはり「家賃」です。
第2章のデータ分析で見たように、基本的には1Rの方が安く、特に駅近や築浅物件ではその差が顕著です。固定費を抑えたい方には大きな魅力ですし、仕切りがない分、視覚的に部屋が広く見える効果もあります。

あわせて読みたい:一人暮らしに必要な費用(初期費用・引越し代)について

デメリット:エアコン効率と玄関の熱損失

意外と知られていない最大のデメリットが「室温管理の難しさ」です。
一般的な賃貸物件の玄関ドアには断熱性がほとんどありません。1Rは玄関と居室が直結しているため、以下のような現象が起きます。

  • 夏は玄関のポストから熱気が入る
  • 冬は玄関ドア全体から冷気が入り込む

結果としてエアコンの効きが悪くなり、家賃は安くても光熱費が高くなる可能性があります。

🏢
プロの視点:1Rを選ぶなら「玄関」を見る

1Rの場合は、玄関ドアの方角やその位置を確認しましょう。隣に家が近いなどの場合は、建物の隣接で熱損失が少ないです。
逆に玄関が道路に面している、角地などで風に直接当たるなどの場合は熱損失が高いので注意が必要です。

🏠
親心のアドバイス:オートロックより「ドア1枚」

女の子であれば1RはNGとすると思います。たとえオートロックが付いていたとしても、です。
それならオートロックなしの1Kの方が、玄関を開けても部屋が見えない分、安心感があります。

4. 1K のメリット・デメリット

「たかがドア1枚」が、生活の質を劇的に変えます。

メリット:ドア1枚が守る「室温・音・プライバシー」

1Kにあるドアは、単なる仕切りではなく「防波堤」の役割を果たします。

✅ 光熱費と快適性

玄関からの熱気・冷気をドアがシャットアウト。冷暖房効率が格段に上がり、快適な室温を保ちやすくなります。

✅ プライバシーの確保

宅配便の受け取り時や急な来客時でも、ドアを閉めておけばプライベート空間(ベッドや洗濯物)を見られる心配がありません。

✅ 匂いと音の遮断

自炊派には必須の条件です。料理の匂いがベッドや衣類に移るのを防ぎ、冷蔵庫の稼働音も遮断して静かな睡眠環境を確保できます。

参考記事:初めての一人暮らしで失敗したこと(料理の匂いなど)

デメリット:家賃相場とキッチンの空調問題

1Rに比べて家賃が高くなる傾向に加え、以下の点に注意が必要です。

  • キッチンの暑さ・寒さ:エアコンは居室にあるため、ドアを閉めると夏場の料理中は汗だくになることもあります。
  • 家具配置の制約:ドアの開閉スペースが必要なため、家具を置ける場所が限定されることがあります。
🏢
プロの視点:「窮屈な1K」に注意

窮屈な間取りの1Kでないかチェックが必要です。洗濯機や冷蔵庫置場がきちんと確保されているか確認しましょう。
「1K」という名称でも、キッチンが狭すぎて冷蔵庫が置けないなんていう物件もあります。

🏠
親心のアドバイス:何を重視するか決めて

ここに住むにあたって、何を重視するのか。利便性を求めるなら、利便性重視で1Rにしたほうが予算内で探せます。多少の「生活の質」を重視するなら1K。
これからの数年をどうイメージしてその部屋に住むのかを考えてみて。

5. 【プロ直伝】内見時に後悔しないためのチェックリスト

間取り図だけでは分からないポイントです。内見時は必ず以下の項目を確認してください。

  • 洗濯機置場は「室内」にあるか?
    古い1Rではバルコニー(室外)や玄関横にあることがあります。騒音トラブルや汚れの原因になるため「室内」推奨です。
  • 玄関を開けた時の「視線の抜け」
    1Kでも、玄関の正面に居室ドアがある配置だと、開けた瞬間に中が丸見えになります。玄関とドアがL字配置になっているのが理想です。
  • 冷蔵庫の配置スペース
    1Kのキッチンが極端に狭く、結局居室に冷蔵庫を置くことになるケースがあります。これでは1Kの「静けさ」というメリットが台無しです。メジャーで必ず採寸しましょう。
🏢
プロの視点:「植栽」と「掃除」を見る

共有部の清掃具合を見ましょう。集合ポストのチラシやゴミがきちんと処理されているか。
その他には植栽です。植栽がきちんと手入れされている物件は良い物件が多いです(そこまで目が行き届く、予算がある証拠。管理も良い!)。

🏠
親心のアドバイス:共用部の写真を送って

植栽や植物があればその写真を撮ってきて。それから集合ポストやそのゴミ箱もチェック。
張り紙はあればその内容も見ておいで。ただ、張り紙についてはそこまで敏感になる必要はないよ。

6. まとめ:あなたにおすすめなのはどっち?

どちらが優れているかではなく、あなたのライフスタイルとの相性で選びましょう。

3秒でわかる!1R vs 1K 診断チャート

▲Yes/Noで進むだけで、あなたに合う間取りがわかります

🏠 1R (ワンルーム) がおすすめな人

  • 家賃重視:とにかく毎月の固定費を抑えたい
  • 外食派:家で料理をほとんどしない
  • 開放感重視:仕切りのない広い空間が好き

🔑 1K がおすすめな人

  • 自炊派:料理の匂いを部屋に入れたくない
  • 快適性重視:エアコンの効きや光熱費を気にしたい
  • プライバシー重視:玄関から部屋の中を見られたくない
  • 音に敏感:冷蔵庫の音などを気にせず眠りたい
🏢
プロからのメッセージ

お部屋の機能だけで言うと1Kが良いです。ただ、ひとり暮らしの場合は、その時々で生活スタイルが違います。
成し遂げたい目標などあるでしょう。物件、部屋だけでなく、「どういう自分になりたいのか」、また「何年住むのか」と考えて選ぶと良いと思います。

🏠
親心からのメッセージ

プロの意見と一緒で、結局はどう暮らしたいか。
でも、もし迷ったら相談してね。部屋はあなたが羽を休める場所であり、明日への活力を養う場所。あなたが元気に、安全に暮らせる場所を一緒に選びましょう。

「家賃の安さ」をとるか、「生活の快適性」をとるか。この記事を参考に、あなたにとって最適な「一人暮らしの城」を見つけてください。

この記事の著者・監修者

門傳 義文 (もんでん よしのり)

株式会社ラインズマン 代表取締役 / 宅地建物取引士 / FP2級

「不動産をわかりやすく伝える」をコンセプトに、不動産会社「ラインズマン」を設立。メディア「暮らしっく不動産」を運営し、豊富なデータと経験に基づいた“失敗しない住まい選び”を発信している。


関連記事

RELATIVE ARTICLES

話題のコンテンツ

PICKUP

特集

SPECIAL

メンバー

MEMBERS
  • 門傳義文
  • 徳留康矩
  • 暮らしっく編集部
  • 大谷誠悟
  • 柿沼まさみ
  • 二平瑞樹
  • 鞍田恵子
  • 安藤晃一郎
  • 尾形壮一