結論:RC造でも、隣の部屋との壁(戸境壁)が石膏ボードのことはあります。家賃が相場よりかなり安いRC造は、その可能性が高いです。

ここが大事:壁が石膏ボードだと、隣の音は木造や鉄骨造と大きく変わらないことがあります。上階の足音は床の問題です。

まずはここから!

  • 内見で隣室側の壁を軽くたたき、管理会社にも壁の材質を聞く
  • 家賃をエリアの相場と比べる

こんにちは。暮らしっく不動産の徳留です。

お客様の部屋探しのリクエストに「RC造(鉄筋コンクリート造)かSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)でお願いします」と書かれていることがよくあります。求めているのは、きっと遮音性(音の伝わりにくさ)ですよね。

でも、RC造なら必ず隣の音が聞こえない、というわけではありません。RC造でも、隣の部屋との壁はコンクリートではなく石膏ボードということがあるからです。

この記事では、家賃相場より高いRC造と安いRC造で、壁のつくりがどう違うのかを説明します。あわせて、壁がコンクリートかどうかの見分け方と、石膏ボードの壁でもできる防音対策も紹介します。

RC造の部屋の壁は3種類:外壁・戸境壁・間仕切り壁

「RC造の壁」とひとくちに言っても、1つの部屋には役割の違う壁があります。どの壁がコンクリートかで、聞こえる音が変わります。

壁の種類 どこの壁か 主な材料 防ぐ音
外壁(外周壁) 建物の外側に面した壁 RC造ならコンクリート 道路や外の音
戸境壁(界壁) 隣の部屋との境の壁 コンクリートの物件と、石膏ボードの物件がある 隣の部屋の音
間仕切り壁 自分の部屋の中を区切る壁 石膏ボードが一般的 家の中の音

部屋の中の間仕切り壁は、RC造でもふつうは石膏ボードです。家賃の高いマンションでも同じです。問題になるのは、隣の部屋との戸境壁が石膏ボードかどうかです。「マンションの壁がコンクリートじゃない」と感じたときは、まずそれがどの壁かを確かめましょう。

石膏ボードの壁にフックをつけるときの注意は、壁のフックがすぐ外れるのはなぜ?で紹介しています。

RC造の防音性はどれくらい?木造・鉄骨造との比べ方

コンクリートは重くてすき間が少ないため、一般に木造や鉄骨造より音を通しにくい材料です。ただし、それは壁や床がコンクリートでできている部分の話です。防音性は「構造の名前」より「壁と床のつくり」で決まります。

構造 隣の部屋の音 気をつけたい点
RC造・SRC造 戸境壁がコンクリートなら伝わりにくい 戸境壁が石膏ボードだと、木造・鉄骨造と大きく変わらないことがある
鉄骨造 壁のつくりしだい 骨組みが鉄骨でも、壁が石膏ボード中心なら音は伝わりやすい
木造 伝わりやすい傾向 間取りの工夫や壁のつくりで差が出る

構造ごとの違いは木造・鉄骨・鉄筋コンクリートの違いでくわしく説明しています。

RC造でも聞こえやすい音

戸境壁がコンクリートでも、次のような音は聞こえることがあります。

  • 上の階の足音や物を落とした音:床を伝わる音は、壁の材質とは別の問題です。床や天井のつくりで変わります(天井裏と床から考える遮音性)
  • 窓や玄関ドアから入る音:外の音や共用廊下の足音は、窓やドアのすき間から入ってきます
  • 換気口や配管を伝わる音:水を流す音などは、配管を通して聞こえることがあります

「アパートだけど鉄筋」という物件もあります。アパートかマンションかという呼び方は、構造を表すものではありません。募集図面や重要事項説明書の「構造」の欄で確かめてください。ただし「構造」の欄でわかるのは建物全体の構造までで、戸境壁の材質までは書かれていないことがほとんどです。

家賃相場より高い賃料のRC物件

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多くの方が思い浮かべるRC造は、こういうつくりだと思います。隣の部屋との境にある壁(戸境壁・界壁といいます)も鉄筋コンクリートでできている物件です。上下の階の音はもちろん、隣の部屋の音もしっかり防ぐタイプの部屋です。

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これは、ある大手デベロッパーが建てたマンションの真ん中の部屋です(先ほどの図でいう202号室と考えてください)。工事中の写真ですが、両側の壁が鉄筋コンクリートでできているのがわかると思います。

このマンションの家賃は、平均的な相場の1.5倍から2倍ほどです。エリアの相場の1.5倍から2倍くらいの家賃のRC造は、かなりしっかりしたつくりになっていることが多いです。

家賃は「土地の値段」と「建物の建築費」から決まります。そのため、相場より安いRC造は、築年数が古い、面積が狭い、隣との壁がコンクリートではない、といった理由がある可能性が大きいのです。

建築基準法の基準は?

建築基準法は、命や財産を守るための最低限の基準です。「これだけあれば静か」という高い基準ではありません。

隣の部屋との壁は、コンクリートの場合、下地なしで厚さ100mm以上あればよいとされています。

石膏ボードを使う場合は、次のようなつくりです。

次のイ及びロに該当するもの

イ 界壁の厚さ(仕上材料の厚さを含まないものとする。)が10センチメートル以上であり、その内部に厚さが2.5センチメートル以上のグラスウール(かさ比重が0.02以上のものに限る。)又はロックウール(かさ比重が0.04以上のものに限る。)を張つたもの

ロ 界壁の両面を次の(1)又は(2)のいずれかに該当する仕上材料で覆ったもの

(1) 厚さが1.2センチメートル以上の石ボード、厚さが2.5センチメートル以上の岩綿保温板又は厚さが1.8センチメートル以上の木毛セメント板の上に厚さが0.09センチメートル以上の亜鉛めつき鋼板を張つたもの

(2) 厚さが1.2センチメートル以上のせつこうボードを2枚以上張つたもの

参考:昭和45年建設省告示第1827号(平成16年9月29日 国土交通省告示第1170号による改正)。記事を書いた2018年時点の内容です。

石膏ボードを使う方法(上のイと、ロの(2)の方法)だと、隣の部屋との壁の厚さは148mmになります。iPhone 7の高さが138.8mmなので、そのくらいの厚みがあれば基準を満たす、ということです。

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家賃相場より安い賃料のRC物件

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この図の物件は、建物の外側をぐるりと囲む壁は鉄筋コンクリートですが、部屋と部屋を区切っているのは石膏ボードです。道路など外からの音は防げますが、隣の部屋からの音は鉄骨造や木造と変わりません。

隣の音が気になるからRC造を選んだのに、相場より安い物件を選んだために、RC造のよさが半分になってしまうケースです。

たとえば、家賃相場が9万円のエリアで6万円のRC造を探すと、こういう物件に当たる確率がとても高いです。こうした物件は最低限の基準(建築基準法は守っている)で建てられているので、十分な遮音は期待できません。分譲系のしっかりしたマンションならコンクリートだけで180mmを超える物件もありますが、この場合は先ほどの148mmの壁である可能性が高いです。

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これは、先ほどの高級マンションで部屋の中を仕切っている石膏ボードの壁です(左の、電気のスイッチがついている壁です)。木の枠やアルミのフレームに石膏ボードを貼り、その上に壁紙を貼っています。

家賃相場より安い物件では、これと同じような材料が隣の部屋との壁に使われていることがとても多いです。RC造でも、隣の部屋の深夜のテレビの音や、ひどい場合は話し声まで聞こえることがあります。

材料費だけで比べると、石膏ボードのほうがコンクリートよりずっと安いです。こういうところで建築費をおさえているのです。これでは、遮音性を求めてRC造を選んだ意味がほとんどありません。

戸境壁がコンクリートか見分ける方法

マンションの壁がコンクリートじゃないかもしれない、と気になったら、次の3つで確かめましょう。ただし、どれも決め手にはなりません。いくつか組み合わせて判断してください。

1. 図面の壁の描き方を見る

建物の設計図では、コンクリートの壁は厚く描かれ、石膏ボードの壁は薄く描かれるのが一般的です。募集図面でも、隣の部屋との壁が外壁と同じくらい太い線で描かれていれば、コンクリートの可能性があります。

ただし、賃貸の間取り図は寸法まで正確とは限りません。募集図面の線の太さには決まりがなく、会社ごとに描き方が違います。図面だけで「コンクリートだ」「石膏ボードだ」と決めつけないでください。

間取りの並び方もヒントになります。隣の部屋との間に収納や水回りがはさまっている間取りは、居室どうしが壁一枚で接している間取りより、音が伝わりにくい傾向があります。

2. 内見で壁を軽くたたいてみる

隣の部屋側の壁を、指の関節で軽くたたいてみましょう。

  • コンクリートの壁:音が響かず、硬く詰まった感じがする
  • 石膏ボードの壁:「コンコン」と軽く響き、中が空洞のような感じがする

比べるために、外壁側の壁や、部屋の中の仕切り壁もたたいてみると違いがわかりやすくなります。ただし、コンクリートの上に石膏ボードを貼って仕上げている壁もあり、その場合は音だけでは判断できません。強くたたいたり、壁に傷をつけたりしないよう気をつけてください。

ベランダに出て、隣の部屋との境目の壁の厚さを見るのも一つの方法です。

3. 管理会社に聞いてもらう

仲介会社を通して、管理会社や大家さんに次のように聞いてもらいましょう。

  • 「隣の部屋との壁(戸境壁)は、コンクリートですか、石膏ボードですか」
  • 「壁の厚さはわかりますか」
  • 「この部屋で、隣の音についての苦情が出たことはありますか」

正直に言うと、壁の厚さのような建築図面の情報は、仲介会社にはまず届いていません。管理会社でもわからないことがあります。「わからない」という答えなら、内見での確認を重視してください。答えられるかどうかは、物件や管理会社によって違います。

石膏ボードの壁がすべて安いつくりとは限らない

見分けるときに知っておきたい例外が2つあります。

  • コンクリートの上に石膏ボードを貼った壁:コンクリートの壁に、接着剤で石膏ボードを貼って仕上げる方法があります。たたくと軽い音がしても、奥はコンクリートです。ただし、ボードとコンクリートの間のすき間で音が響きやすくなる、という指摘もあります
  • 遮音用につくられた石膏ボードの戸境壁:高層の分譲マンションなどでは、石膏ボードを何枚も重ね、中に吸音材を入れた専用の戸境壁が使われることがあります。この記事で説明している最低限のつくりとは別物です

どちらも、たたいた音だけでは区別がつきません。だからこそ、家賃と相場の比較や、管理会社への確認を組み合わせることが大切です。

壁のほかに内見で確かめたいこと

  • 部屋の位置:角部屋や最上階は、隣や上の部屋と接する面が少なくなります
  • 静かにして耳をすます:内見中に1分ほど話をやめて、隣や上の階の生活音、廊下の音が聞こえないか確かめます
  • 窓とドア:窓を閉めたときに外の音がどのくらい小さくなるか、玄関ドアのまわりにすき間がないかを見ます
  • 高速道路や大通りの近く:外の音が気になる立地なら、高速道路の近くのマンションの選び方も参考にしてください
  • 時間帯を変えて見に行く:昼間は留守の人が多く、静かに感じがちです。気になる物件は、夕方以降に建物のまわりだけでも見ておくと安心です
  • 共用部の掲示:「騒音に注意してください」という張り紙が多い建物は、音のトラブルがあったのかもしれません

RC造でなくとも予算に見合った木造や鉄骨造

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いろいろな物件を見てきて感じるのは、縦長の部屋より、正方形に近い部屋のほうが、遮音に気をつかった設計になっていることが多いということです。上の図は、ハウスメーカーが建てる鉄骨造や木造によくある設計です。

上の図面の遮音のポイント

  1. 共用廊下をはさむことで、201号室からの音を減らしている
  2. 202号室と203号室の間に水回りや収納を置くことで、居室どうしの音を減らしている

家賃が相場に届かないのに無理にRC造にこだわるより、少しランクの高い鉄骨造や木造に目を向けたほうが、結果として満足できる部屋に住めることが多いと思います。

遮音性がほぼ期待できない物件

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遮音がほぼ期待できないつくりの例も紹介します。先ほど「縦長で、家賃相場よりかなり安い物件は期待できない」と書きましたが、その典型です。

特に木造でこのようなつくりの物件は、限られたスペースにできるだけ多くの入居者を入れて収益を上げるための物件です。遮音はほぼ期待できないと考えたほうがよいでしょう。ただし、その街の家賃相場と比べるとかなり安いです。

例:1Rの家賃相場が7万円のエリアで、5万円台の物件など

こうした物件は入居者が決まりにくいので、「トイレ新品」「温水洗浄便座付き」など設備の新しさを強く打ち出していることが多いです。設備が新しくても壁のつくりは変わらないので、気をつけてください。

石膏ボードの壁でもできる防音対策

住んでから「隣の音が気になる」と感じたときも、賃貸でできる対策があります。大切なのは、退去のときに元に戻せる方法を選ぶことです。壁に穴をあけたり、はがせない接着剤を使ったりする方法はおすすめしません。退去時の原状回復の費用がかかることがあります(くわしくは退去費用の記事へ)。

家具の配置を変える

  • 隣の部屋側の壁に、本棚や収納家具など背の高い家具を置く
  • ベッドの頭を、隣の部屋側の壁から離す
  • テレビやスピーカーは隣の部屋側の壁に向けず、壁から少し離して置く

吸音材や防音パネルを置く

  • 壁に立てかけるタイプや、置くだけのタイプの吸音パネルを使う
  • 壁に貼る場合は、跡が残らずはがせるものか確かめる。心配なら管理会社に聞いてから使う
  • 厚手のカーテンやラグを使うと、部屋の中の音の響きもおさえられます

自分の音にも気をつける

壁が石膏ボードなら、こちらの音も隣に伝わりやすいということです。夜はテレビの音量を下げる、壁際で大きな音を立てない、といった気づかいも、トラブルを防ぐことにつながります。

隣の音がどうしても我慢できない場合は、直接言いに行くより、まず管理会社に相談しましょう。

よくある質問

RC造なら隣の話し声は聞こえませんか?

戸境壁がコンクリートなら、ふつうの話し声はかなり聞こえにくくなります。ただし、戸境壁が石膏ボードのRC造では、話し声やテレビの音が聞こえることがあります。RC造かどうかより、隣との壁のつくりを確かめてください。

マンションの壁がコンクリートじゃないのは欠陥ですか?

欠陥とは限りません。石膏ボードで戸境壁をつくる方法も、建築基準法の基準を満たすつくり方の一つです。ただ、それは最低限の基準なので、遮音性を重視する人には物足りないことがあります。

RC造なのに上の階の足音が聞こえるのはなぜですか?

足音は床を伝わる音なので、壁がコンクリートかどうかとは別の問題です。床のコンクリートの厚さや、床・天井のつくりで聞こえ方が変わります。くわしくは天井裏と床から考える遮音性をご覧ください。

内見で壁をたたいてもいいですか?

指の関節で軽くたたく程度なら、確認の方法としてよく行われます。念のため、案内してくれる担当者にひと声かけてからにしましょう。強くたたいたり、隣に人がいる時間に何度もたたいたりするのは避けてください。

RC造と鉄骨造、どちらを選べばいいですか?

予算に余裕があり、戸境壁がコンクリートのRC造なら、遮音性では有利です。予算がエリアの相場に届かないなら、相場より安いRC造より、間取りに工夫のある鉄骨造や木造のほうが満足できることもあります。家賃と壁のつくりをセットで比べてください。

安いものに多くを求めてはいけない

家賃は、エリアも含めた部屋のスペックに、驚くほど正直です。家賃が安いという理由だけで選んだ部屋が、あなたの不満を解消してくれるでしょうか。

  • RC造でも、隣の部屋との壁が石膏ボードのことがあります
  • 家賃がエリアの相場よりかなり安いRC造は、その可能性が高いです
  • 壁の材質は、図面・内見でたたいた音・管理会社への質問を組み合わせて確かめます
  • 予算が合わないなら、つくりのよい鉄骨造や木造も候補に入れましょう
  • 住んでからの対策は、家具の配置や置くだけの吸音材など、元に戻せる方法で行います

「RC造だから遮音性が高い」とは限らない、ということを覚えておいていただければと思います。