記事監修ってナニ? なぜ不動産サイトに「専門家の目」が必要なのか。

最近、ネット記事やコラムで「監修:〇〇(医師・弁護士など)」といった表記をよく見かけませんか?

あれは単なる飾りではなく、「この記事に書いてあることは、専門家がちゃんとチェックして、正確さや信頼性を担保してますよ」という『お墨付き』のようなものです。
私たち不動産業界もそうですが、医療、法律、税金など、専門性が高く、間違うと読者の生活に大きな影響を与えてしまう情報ほど、この「本当に正しいか?」が命。

そのために、その道のプロが内容を厳しくチェックする作業、それが「記事監修」です。


監修者の役割は「資格+現場経験」

記事監修を行うのは、当然ながらその分野の専門家です。
不動産であれば、宅地建物取引士、不動産鑑定士、賃貸不動産経営管理士、FP(ファイナンシャルプランナー)といった資格保有者が担当することが多いですね。

でも、私たちが現場にいて思うのは、「資格があるだけでは、良い監修はできない」ということです。

不動産と一口に言っても、売買と賃貸では必要な知識も実務もまったく違います。宅建士の資格を持っていても、売買の経験しかない人が賃貸の細かいルールを正確にチェックするのは難しいでしょう。
逆もまた然りです。

さらに、不動産の世界は法改正が頻繁にありますし、税金の特例、地域ごとの条例や慣習(地域特性)など、常にアップデートされる「生きた情報」が山ほどあります。

だからこそ、資格だけでなく、今まさに現場に立っている「実務経験」こそが、監修者にとって何より大切なポイントなんです。


なぜ今、記事監修が必須なのか?

1. 読者さんの信頼を守るため

一昔前のインターネットは、正直「言ったもん勝ち」みたいなところがありました。
医学的根拠のない健康情報が広まったり、他人の記事をコピペしただけのサイトが検索上位を独占したり…。

でも、今は違います。読者も賢くなっていますし、何より検索エンジン(Google)が「情報の質」を非常に厳しく評価する時代になりました。
専門的な情報、特に人の人生や財産に関わる不動産のような分野では、「信頼できる情報」でなければ、もはや読者に選んでもらえません。

2. SEO(検索エンジン対策)は「質」の時代へ

かつては、中身が薄くても文字数が多ければ検索で上に行けた時代もありました。
しかし、Googleは「読者にとって本当に価値があるか?」を判断する基準として、「E-E-A-T(イーイーエーティー)」という考え方を非常に重視しています。


W-W-E-A-T(E-E-A-T)って、要するに?

ちょっと専門用語が出てきましたが、難しくありません。
Googleが「良いコンテンツ」を判断する基準のことで、以下のような視点です。

  • W(Why): なぜ、そのコンテンツは存在するのか?(読者の悩みを解決するためか?)
  • W(Who): 誰が、そのコンテンツを作ったのか?(信頼できる人か?)
  • E(Expertise): 専門性はあるか?
  • A(Authoritativeness): 権威性はあるか?(その道のプロとして認められているか?)
  • T(Trustworthiness): 信頼性はあるか?(情報は正確か?)

記事監修は、まさにこの「Who(誰が)」、「専門性(E)」、「権威性(A)」、「信頼性(T)」をガッチリと固めるための、今や必須の作業なんです。

専門家が「この記事は私が責任をもってチェックしました」と顔と名前を出すことで、読者にもGoogleにも「この記事は信頼できますよ」と胸を張って言えるようになるわけです。


【裏話】プロが見抜く「現場とのズレ」

私たちも、他社様のメディアの記事監修をご依頼いただくことがあります。
最近は専門ライターさんのレベルも上がっていて、資格をお持ちの方も多いのですが、それでも記事を読むと「あ、この人、実務(現場)を知らないな」と分かってしまうことが、正直あります。

  • 「法律上はこうだけど、実際の現場(実務)では、こっちの手続きが主流だよな…」
  • 「一般論としては正しいけど、このエリア(地域特性)だと、その常識は通用しないな…」
  • 「(危ない!)その書き方だと、読者が誤解してトラブルになる可能性があるな…」

こうした「机上の知識と、現場感覚のズレ」を修正し、読者が本当に使える、分かりやすい情報にリライト(書き直し)するのも、監修者の大事な仕事です。

▼私たちが監修・作成した記事の例(一部)

  • 2019年3月 集英社「週プレ」
    内容:不動産投資と不正融資問題について取材協力
  • 2018年12月 産経デジタル「IRONNA」
    内容:コラム執筆 (アパマンショップ爆発事故「不動産屋はぼったくり」は本当か?)
  • 2018年2月 プレジデント・オンライン
    内容:不動産解説 (「郊外新築と都市中古、選ぶならどっち」)
  • 2016年1月 エキサイト不動産
    内容:コラム執筆
    • 「後悔しない部屋選び7つのポイント」
    • 「1Rと1Kの違いとメリット・デメリット」
  • 2015年6月29日 YAHOO不動産
    内容:「不動産屋さんに聞く、悪条件の物件でも最高の物件になる方法」取材協力
    掲載記事はこちら

専門家への依頼、どうやるの?

1. 専門家の探し方

良い専門家を見つける一番の方法は、その人が過去に書いた記事や本、SNSでの発信を見てみることです。
「この人の説明、分かりやすいな」「この視点はプロだな」と思える人を探すのが確実です。
最近は、専門家を紹介してくれるWebサイトや、専門家が集まるコミュニティ(オンラインサロンなど)で探す方法もあります。

2. 依頼のコツとコミュニケーション

プロに依頼するときは、とにかく「丸投げ」はNGです。

  • 依頼内容: どの記事を、いつまでに?
  • 監修の目的: 読者にどうなってほしいのか?
  • 報酬(費用): いくらでお願いするのか?

これらを事前にハッキリと決めておくことが、スムーズな進行の秘訣です。


監修費用って、どれくらい?

監修費用は、正直ピンキリです。
記事の内容(専門性の高さ)、文字数、専門家のスキルやネームバリュー、作業にかかる時間(どこまで細かく修正・リライトするか)によって大きく変動します。

基本的には、「専門家の貴重な時間と知見をどれだけ使わせていただくか」で決まります。
費用を相談する際は、予算を正直に伝えつつ、期待する結果(どこまでの監修を望むか)を具体的にすり合わせることが重要です。

安さだけで選んでしまうと、結局「名前だけ貸す」ような中身のない監修になりがちなので、そこは注意が必要ですね。


まとめ

情報がタダであふれている時代だからこそ、読者は「どの情報を信じればいいのか?」と迷っています。

記事監修は、そうした読者に対して「この記事は大丈夫ですよ」と安心を届けるための、メディア運営者の「誠実さ」の証です。

私たち暮らしっく不動産も、不動産というお客様の人生に関わる大きな情報だからこそ、その正確性、専門性、そして信頼性には、これからもとことんこだわっていきたい。
専門家の目がしっかり入ることで、その記事は初めて「本当に価値ある情報」になる。私たちはそう考えています。