結論:おとり物件とは、もう契約できない部屋を広告に出して客を呼ぶ不正広告です。私たちの管理物件も、募集終了後に無断で使われていました。

なぜ重要か:2025年の業界調査でも、調べた事業者の16.4%でおとり広告が見つかっています。

次にすべきこと:

  • 問い合わせたら「現地で待ち合わせできますか」と聞く
  • 見分け方はこちらの記事で確認する

おとり物件とは

おとり物件(おとり広告、釣り物件とも呼ばれます)は、すでに契約済みの部屋や、実際には借りられない条件の部屋を、ネットの広告に載せたままにして問い合わせを集める手口です。来店すると「ちょうど申込みが入ってしまって」と言われ、別の部屋をすすめられます。

おとり広告は、不動産の広告のルール(不動産の表示に関する公正競争規約)で禁止されていて、宅地建物取引業法でも、実際とちがう広告は禁じられています。

広告で使えない言葉については、不動産広告のNGワードの記事で紹介しています。

この記事は、2016年1月、暮らしっく不動産の管理物件が、募集を終えたあとも他社の広告に「新着」として載り続けていたことから、実際に問い合わせて確かめた記録です。以下は当時の記事をそのまま残しています。

こんにちは暮らしっく編集部です。
不動産賃貸は繁忙期。 部屋を探す人も増えています。

この時期になると増えるのがおとり物件。

今回、うちの管理物件が「おとり物件」として勝手に使われていたので、対抗しておとり調査を行いました。

新着物件?

当時は画面のスクリーンショットを載せていましたが、会社や物件が特定されないよう、この記事では外しています。

こちらの◯◯◯という物件、暮らしっく不動産の管理物件です。
1月17日に終了していますが、なぜか新着物件で募集されています。
1月25日現在で、新着物件として広告されています。

おとり物件に、内見を予約!

勝手におとり物件として使われていたので、調査することにしました。
おとり物件には、「おとり調査」で対抗します!

大手ポータルサイトの見学予約のフォームから必要事項を入力して送信。
おとり物件に内見の予約をしました。

営業時間も終わりに近いし、電話は明日かかってくるだろう。と思っていたのですが。

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キタ!

送信してから15分ほどでメールが来て、ほぼ同時で電話がかかってきました。

メールの内容

1月25日夕方頃

◯◯◯様
この度は、大手ポータルサイトより、
お問合せをいただき、誠にありがとうございます。
はじめまして、私は「◯◯◯」の◯◯◯と申します。
早速ですが、お問い合わせのお部屋は、現在ご紹介可能となっております!

◆お問合せのお部屋◆
物件名:◯◯◯
賃料:6万円 
所在地:新宿区高田馬場
交通:山手線 高田馬場駅    
面積:16.5m2
間取:ワンルーム 
物件URL:◯◯◯

是非一度ご来店いただき、お部屋のご紹介と合わせて、
◯◯様のお部屋探しのご条件を、お伺いさせていただければ幸いです。
ご希望いただきました第一希望の1月2◯日の◯◯◯時のご来店はいかがでしょうか。
※本メールへご返信いただくか、あるいは、下記フリーダイヤルまでご連絡をお待ちしております。
TEL ◯◯◯  担当 ◯◯◯まで
当社は、◯◯◯の、お部屋探し専門店です。
新宿区、豊島区、中野区のお部屋探しは、当社へご用命くださいませ。
それでは、◯◯様のご返信・ご来店を心よりお待ちしております。
どうぞ宜しくお願い致します。

~ご検討中のお客様へ~
当社では、大手ポータルサイトなどの
インターネット掲載物件を、すべてお取り扱いしております。
他の不動産会社の掲載物件でも、まとめてご紹介ができますので、
気になるお部屋がございましたら、お気軽にご相談ください。
******************************************
◯◯◯店 ㈱◯◯◯
担当 ◯◯◯
東京都新宿区◯◯◯
定休日 水 営業時間 AM10:00~PM7:00
TEL ◯◯◯
FAX ◯◯◯
HP ◯◯◯
******************************************
【ポータルサイト】◯◯◯(◯◯◯)((株)◯◯◯)/東京都新宿区◯◯◯/高田馬場駅の賃貸物件情報です。
高田馬場駅◯◯◯の当店では、高田馬場の賃貸アパート、賃貸マンションを中心に幅広いお客様のニーズに応えられるよう地域No1の物件情報量を目指しております!お部屋探しは◯◯◯店へ是非、お越しください!

おとり物件で、空室確認もせず、案内をしようとしている。
大問題であります!

この物件もう募集終わっているのに。 

おとり物件の業者との会話

その後の電話の内容

1月25日 19時頃

業者:◯◯◯不動産の◯◯と申します。田中様(仮名)の携帯でお間違いないでしょうか。

田中(仮):はい。田中と申します。

業者:この度は大手ポータルサイトよりお問い合わせいただき、誠にありがとうございます。◯◯◯ですが、現在、募集中でご案内可能でございます。

通常、不動産会社は管理会社に空室確認をしてからお客様にご案内するのですが、暮らしっく不動産に確認の電話は来ていません。
その状態で"ご案内可能でございます!"と言いきっちゃうところが怖い。
嘘つき!

田中(仮):あっ、ありがとうございます。では部屋を見学したいのですが第一希望の1/2◯の◯◯時でどうでしょうか?

業者:はい。可能でございます。一度、ご来店いただき、その後ご案内させていただきます。

部屋の内見はお店に来店しなくてもできるのを知っているので、ごねてみます。

田中(仮):家から近いので現地待ち合わせにしてもらってもいいでしょうか?

業者:うーん。。。。少々お待ち下さい。

明らかに嫌そうな反応。そりゃーそうだ。その物件はもう無いのだから。
おとり物件業者は「現地、待ち合わせ」を嫌います。

数十秒後。

業者:お待たせいたしました。現地待ち合わせ可能でございます。

田中(仮):そうですか。ありがとうございます。それでは当日、現地でお願いいたします。

業者:はい。かしこまりました。ところで田中様はどのような物件をご希望でしょうか?

田中(仮):6.5万円で高田馬場から徒歩15分以内の物件を探しています。

業者:引っ越し時期はいつ頃をご予定ですか?

田中(仮):特に決めてはいませんが、いい物件があれば引っ越したいかなと。それでネットで◯◯◯を発見したので問い合わせをしてみた次第です。

業者:そうでしたか。引っ越しシーズンということもありますので、物件がなくなる場合もあります。内見の日の前日か当日の朝に、再度、可能かどうかお電話させていただきます。また、条件にあった物件がありましたらご案内させていただきたいのですが、いかがでしょうか?

田中(仮):ありがとうございます。でも、仕事も忙しいので連絡手段はできればメールがありがたいです。物件情報はメールにお願いしてもいいでしょうか?

業者:はい。かしこまりました。

電話はこれにて終了。その日は物件確認の電話がかかってくることもなく1日が終わる。

物件確認の電話がきた

と、この記事を書いている間に暮らしっく不動産に、物件の確認の電話がかかってきました。

1月26日(火曜日) 19時頃

業者:◯◯◯の◯◯◯と申します。あのぉー、謝罪なのですが、実は御社の物件で◯◯◯をネットに無断掲載していまして。。。どーもすみません。それと、◯◯◯曜日にご案内できそうなお客様がいらっしゃるんですが、この物件、空いてますか?

暮らしっく不動産:はい、そうですか。この物件は募集を終了しております。1週間以上前に終わってますよ。(1月17日に終了)

業者:そうですか。わかりました。しつれいしまーす。

広告の無断掲載について謝罪の連絡がきました。
田中さん(仮)にこれから電話がくるわけですが、どうなることやら。

その後どうなったか

自社の物件がおとり物件として使われたときの調査は「おとり物件として使われた当社の物件で、おとり調査をしてみた」にまとめています。記事は大きな反響を呼び、その後の経過は次のとおりです。

  • 2016年2月:広告を出していた大手フランチャイズの加盟店と話し合いの場を持ち、事実の確認と謝罪、改善の約束を受けました。私たちの目的は特定の会社を責めることではなく、おとり広告が放置されている仕組みを知ってもらうことでした。
  • 2016年2月:テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で、おとり物件の実態として取材を受けました。
  • 2016年3月:法律の情報サイトでも取り上げられました。ただ、話題になった部屋は、その後も別のサイトで「募集中」のまま残っていました。

おとり広告は減ったのか:業界の調査から

この調査のあと、首都圏の不動産広告のルールを運用する首都圏不動産公正取引協議会と大手ポータルサイトが、合同でおとり広告の調査を続けています。

調査 おとり広告があった物件 おとり広告があった事業者
第1回 929物件中78物件(8.3%) 143社中32社(22.3%)
第2回(2018年1月公表) 1,059物件中18物件(1.6%) 52社中10社(19.2%)
第14回(2025年10月公表) 721物件中19物件(2.6%) 67社中11社(16.4%)

出典:首都圏不動産公正取引協議会「インターネット賃貸広告の一斉調査報告」(第1回・第2回・第14回)。調査は、契約済みの可能性が高い物件を選んで行われているため、市場全体の割合ではありません。

調べた物件のうち、おとり広告だったのは数%まで減りました。一方で、調べた事業者のうち6社に1社前後でおとり広告が見つかる状況は、10年近くたっても大きくは変わっていません。違反が見つかった会社には、内容に応じて一定の措置(ポータルサイトへの掲載停止など)がとられます。

私たちも自社の管理物件が、半年〜1年前に決まった部屋なのに広告に残っているのを、その後も何度も見つけています。広告を見るときは、少しでも「おかしい」と感じたら確認することが大切です。

おとり物件に当たったと思ったら

  • 見分け方と対策は「おとり物件を見分けるポイント」にまとめています
  • 広告を見つけたポータルサイトの「通報」「掲載内容の報告」から知らせる
  • 首都圏の物件なら、首都圏不動産公正取引協議会のサイトから情報提供ができます