結論:不動産広告のキャッチコピーは「事実であること」と「具体的な根拠を書くこと」が前提で、「一等地」「破格」「駅徒歩0分」などは使えません。
なぜ重要か:誇大広告は宅建業法で禁止され、実際に誤認した人がいなくても違反になります。
次にすべきこと:
- 「抜群」「完売間近」などあおる言葉に注意する
- 徒歩分数や賃料の書き方を確かめる
こんにちは。暮らしっく不動産の徳留です。
不動産広告のキャッチコピーには、きちんとしたルールがあります。根拠のない言葉や、実際よりよく見せる言葉は使えません。たとえば「優良物件」「一等地」「破格のお値段」「駅徒歩0分」といった表現はNGです。
街の不動産屋さんの店頭やチラシで、物件の広告を見たことがある方は多いと思います。その広告に書いてあるキャッチコピーを、ぜひよく見てみてください。この記事では、どんな決まりがあるのか、どんな言葉がNGでどんな言葉ならOKなのかを紹介します。
誇大広告は宅建業法で禁止されています
宅建業法の第32条で、誇大広告ははっきり禁止されています。対象になるのは、次の8つの項目です。
- 物件の所在
- 物件の規模
- 物件の形質
- 現在・将来の利用の制限
- 現在・将来の環境
- 現在・将来の交通その他の利便
- 代金・借賃などの対価の額や支払方法
- 代金・交換差金に関する金銭の貸借のあっせん
これらについて、次のような表示が禁止されています。
- 著しく事実と違う表示
- 実際のものより著しく優良、または有利だと誤認させるような表示
誇大広告をすると、実際に買った人や借りた人が誤認する被害がなくても、宅建業法違反になります。罰則は、6ヶ月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方です(2025年6月の刑法改正で、「懲役」は「拘禁刑」に変わりました)。
広告のルールを運用する「首都圏不動産公正取引協議会」

やたらと長い名前ですが、公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会は、不動産業界ではとても大事な団体です。
この協議会は、「不動産の表示に関する公正競争規約」(不動産広告のルール)と「不動産業における景品類の提供に関する公正競争規約」(景品提供のルール)を、関東甲信越の地域で運用している業界の自主規制機関です。どちらの規約も、景品表示法にもとづいて認定されたものです。
ばらばらに好き勝手な広告を出されては困るので、一定のルールにもとづいて広告を出しましょうと呼びかけている団体です。さきほどの宅建業法の規定を、円滑かつ効果的に実施するための機関でもあります。
では、どんなキャッチコピーがNGなのかを見ていきましょう。
使ってはいけないキャッチコピーの例
根拠がないものや、根拠を定義できないものは使えません。NGワードを種類ごとに紹介します。
特定用語編
- 優良物件です
- 一等地です
- 一流工務店による施工
- 他に類を見ない住環境
- 完全防音
- 万全の耐震性
- 新発売(2回目以降の広告で使う場合)
- この上ない立地です
- 破格のお値段
- 特売物件
- お年玉(新年)価格
- 当社決算大処分価格
- 適正価格
- 定価販売
- 完売間近です、お急ぎください(購入をあおる表現のため不可)
- 完売御礼、今ならキャンセル待ち受付中(販売が終わっているものを募集すると、おとり広告になるため不可)
これらの言葉は、根拠がはっきりしなかったり、おとり広告になったりするため使えません。おとり広告についてはおとり物件の見分け方でくわしく説明しています。
交通編
不動産広告では、最寄り駅からの徒歩分数を分速80mで計算し、1分未満の端数は切り上げます。そのため、次のような表現もNGです。
| NGの表現 | 理由 |
|---|---|
| ◯◯駅徒歩0分 | 1分未満は切り上げるため |
| ◯◯駅徒歩30秒 | 1分未満は切り上げるため |
| ◯◯駅まで約5分 | 分速80mで計算するため、「約」での表示はできない |
価格・賃料編
| NGの表現 | 理由 |
|---|---|
| 賃料◯◯万円(相談) | 金額を「相談」と表示することはできない |
| 賃料◯◯万円(管理費含む) | 賃料とそれ以外の金額を分けて表示する必要がある |
| 坪単価◯◯万円 | 1ヶ月あたりの賃料の表示が必要(正しくは「賃料◯◯万円 坪単価△万円」) |
| 再値下げ | 値下げを強調した表示のため不可 |
| 大幅値下げ | 値下げを強調した表示のため不可 |
(NG例は、不動産ポータルサイトが出しているキャッチコピーの手引きを参考にしました)
キャッチコピーの前提は2つ
このように、キャッチコピーには次の2つが前提になります。
- 事実であること
- 具体的な根拠を一緒に書くこと
使ってもよいキャッチコピーの例
では、キャッチコピーとしてふさわしいのはどんな表現でしょうか。OKとされている例を、内容ごとに分けて紹介します。
| 内容 | OKなキャッチコピーの例 |
|---|---|
| 交通・アクセス | 駅まで無料シャトルバスあり/2線利用可能/急な雨降りでも安心の駅直結マンション/◯◯線直通で乗り換えなしで都心へ行けます/都心へのアクセス良好 |
| 日当たり・眺め | 最上階の為、日当り・通風良好です/採光を重視した南向き/高台につき眺望良好/30階のお部屋で夜には都心の夜景が楽しめます |
| 周辺環境 | 桜並木のある道のり/コンビニまで◯m/くつろぎあふれる住環境/ファミリーに人気の◯◯エリア/自然豊かな分譲地 |
| 建物・内装 | イタリア風のモダンな一戸建て/格調高い外観/◯年◯月内装改装済み/安らぎをもたらすプライベート空間/外壁に遮音・断熱に優れたALCパネル |
どこかで見たり聞いたりしたことのあるキャッチコピーではないでしょうか。もちろん、これらを使うときも「事実であること」「具体的な根拠を一緒に書くこと」が求められます。
OKな例の中にも「これ、具体的な根拠を示せるのかな?」というものが混ざっている気がしなくもないのですが、協議会としてはOKなようです。
広告を見るときのチェックポイント
ここまでのルールをふまえると、物件広告を見るときは次の点に気をつけると安心です。
- あおる言葉がないか:「完売間近」「お急ぎください」「大幅値下げ」など、急がせたり値下げを強調したりする言葉はルール上使えない表現です
- 根拠が書いてあるか:「日当り良好」なら最上階・南向きなど、理由が一緒に書いてあるかを見ます
- 徒歩分数の書き方:「徒歩0分」「約◯分」と書いてある広告は、ルールに合っていない可能性があります
- 賃料と管理費が分かれているか:「管理費含む」とまとめて書かれていたら、内訳を不動産屋さんに確認しましょう
「物件数No.1」のような店頭の看板の意味については、不動産屋の物件数No.1って本当なの?で紹介しています。
暮らしっく不動産の広告の例

これは2016年2月当時、暮らしっく不動産で募集していた物件の広告です。「日当り抜群」と書くと問題になるので、「日当り良好」と書いています。
とても控えめな広告ですが、事実にもとづいて、根拠のあることしか書いていません。
まとめ
不動産広告のキャッチコピーは、自由に書いてよいものではありません。宅建業法で誇大広告が禁止されており、業界の公正競争規約で使ってよい言葉・いけない言葉が決められています。
みなさんのまわりでも「あれっ?これ、盛りすぎじゃないかな?」という広告や、宅建業法違反の広告があるかもしれません。気をつけてくださいね。
