結論:相場より安すぎる、情報が少ない、来店しないと教えてくれない。この3つがそろったら、おとり物件を疑いましょう。

なぜ重要か:引越しシーズンほど増え、来店した時間がまるごと無駄になります。

次にすべきこと:

  • 問い合わせで「現地で待ち合わせできますか」と聞く
  • 同じ条件の部屋の相場を先に調べる

「ネットで見た部屋を問い合わせたら、来店してくださいと言われた。行ってみたら、ちょうど申込みが入ったと言われた」。こうした経験がある方は少なくありません。それは、おとり物件だった可能性があります。

暮らしっく不動産は、自社の管理物件をおとり物件として使われ、実際におとり調査をしたことがあります。その経験と、毎日物件の広告を見ている不動産会社の目線から、見分け方をまとめます。

おとり物件とは

すでに契約済みの部屋や、実際には借りられない条件の部屋を、広告に載せたままにして問い合わせを集める手口です。「おとり広告」「釣り物件」とも呼ばれます。建物そのものは実在していても、空室ではない、家賃などの条件が違う、という形が多いです。

目的は、来店してもらうことです。来店さえしてもらえれば、別の部屋を紹介して契約につなげられるからです。不動産の仲介は、自社の管理物件でなくても紹介できるため、こうした客寄せが起きやすい仕組みになっています。

どのくらいあるのか

首都圏の不動産広告のルールを運用する首都圏不動産公正取引協議会が、大手ポータルサイト5社と合同で毎年調査しています。2025年10月に公表された第14回調査では、契約済みの可能性が高い721物件のうち19物件(2.6%)、調べた67社のうち11社(16.4%)でおとり広告が見つかりました。

物件の数で見ると減っていますが、調べた事業者の6社に1社前後で見つかる状況は続いています。特に、引越しの多い1〜3月は増えやすい時期です。

おとり物件を見分ける6つのポイント

1. 相場より安すぎないか

大家さんは、建物にかけたお金を何年で回収するかを計算し、周りの相場を調べたうえで家賃を決めます。駅が近く、新しく、きれいな部屋が、相場より大きく安く出ることはまずありません。

目安として、7万〜10万円の家賃帯で、築年数・広さ・設備が同じくらいの部屋と比べて1万円以上安い場合は、疑ったほうがよいでしょう。本当に安い部屋なら、解約予告が2ヶ月前、短期解約の違約金、高めの更新料やクリーニング代など、どこかで差額を回収する条件がついていることが多いです。相場より安い部屋の理由は「相場より安い賃貸物件の9つの理由」でくわしく紹介しています。

2. 掲載の更新日が古くないか

条件のよい部屋は、空いてから2週間ほどで決まることも珍しくありません。駅近・築浅の部屋が、半年も1年も前の更新日のまま「募集中」になっていたら、すでに決まっている可能性が高いです。ただし、更新日だけをこまめに新しくしているおとり広告もあるので、ほかのポイントとあわせて判断してください。

3. 物件の情報がきちんと載っているか

建物名や住所(番地まで)が書かれていない広告は注意が必要です。正しい情報を持っている会社なら、隠す理由がありません。問い合わせても、電話やメールで物件の詳しいことを教えてくれない場合も要注意です。

4. 取引態様を確認する

広告には、その会社が大家さんとどういう立場にあるか(取引態様)を表示するルールがあります。ポータルサイトでは「貸主」「代理」「仲介」などと書かれています。大家さんから直接募集を任されている会社(貸主・代理・元付の仲介)の広告は、空室の情報が正確であることが多いです。ほかの会社から広告の許可を得ている立場(先物の仲介)の広告は、情報が遅れて残っていることがあるので、空室かどうかを確認しましょう。

5. 定期借家ではないか

安さで目を引き、来店後に「実は定期借家(期間が来たら更新できない契約)なので」と説明して、別の部屋に誘導する手口もあります。物件の詳細ページで契約の種類を確認しておきましょう。

6. 「現地で待ち合わせできますか」と聞く

いちばん効果がある方法です。部屋が実際に空いていれば、店に寄らずに現地で待ち合わせて内見することはふつうにできます。おとり物件を出している会社は、見せる部屋がないので、来店にこだわります。

「お店に来ないと案内できない」「大家さんが現地待ち合わせを禁止している」と言われたら、おとり物件の可能性が高いと考えてよいでしょう。暮らしっく不動産は大家さんから物件を預かる管理の仕事が中心ですが、大家さんから現地待ち合わせを禁止してほしいと言われたことは一度もありません。

なお、すでに契約が決まった部屋は、内見を終了するのが一般的です。同じ建物にほかの空室があれば、モデルルームとして見せてもらえる場合もあります。

広告の言葉にも注意

不動産の広告は、公正競争規約で使える言葉が厳しく決められています。根拠を示せない限り、次のような言葉は使えません。

種類 使えない言葉の例
断定する言葉 完全、完ぺき、絶対
ほかより優れていると示す言葉 日本一、抜群、当社だけ
特別に選んだと示す言葉 特選、厳選
最上級を示す言葉 最高、最高級
とても安いと示す言葉 格安、掘出、土地値
とても人気があると示す言葉 完売

出典:首都圏不動産公正取引協議会「広告をするときのルール」

こうした言葉が並ぶ広告や、「敷金礼金ゼロ多数!」のような実態とかけ離れたアピールは、ルールを守っていない会社のサインです。おとり広告を出す会社は、だいたい決まっていて、強引な営業をすることも多いので、気をつけてください。お店の選び方は「不動産屋の選び方は?」で紹介しています。

ポータルサイトで探すときのコツ

ポータルサイトの情報には、大家さんから直接募集を任された会社の広告(一次情報)と、それを転載したほかの会社の広告(二次情報)がまざっています。同じ部屋がいくつも出てくるのはこのためで、二次情報ほど情報が遅れがちです。物件サイトの情報がずれる理由は「不動産情報のネット検索はあてにならない?」でも説明しています。サイトごとの特徴は「不動産ポータルサイト比較」で解説しています。

おとり物件に当たったと思ったら

  • 来店をせかされても、その場で別の部屋に申し込まない(急かされたときの断り方は「「とりあえず申し込み」はしていい?」で紹介しています)
  • 広告を見つけたポータルサイトの通報機能から知らせる
  • 首都圏の物件なら、首都圏不動産公正取引協議会のサイトから情報提供ができます
  • 処分を受けた不動産会社は、国土交通省の「ネガティブ情報等検索サイト」で調べられます

過去には、2008年に大手の賃貸仲介会社が、ネット上のおとり広告で公正取引委員会から排除命令を受けたこともあります。ルール上は明確な違反です。

まとめ

  • おとり物件は、来店させるための客寄せ広告。2025年の調査でも、調べた事業者の16.4%で見つかっている
  • 相場より安すぎる、更新日が古い、情報が少ない部屋は疑う
  • いちばん有効なのは「現地で待ち合わせできますか」と聞くこと
  • 見つけたら、ポータルサイトや公正取引協議会に知らせる

部屋探しの時間は限られています。暮らしっく不動産では、空室を確認した物件だけをご紹介しています。気になる部屋があれば、お気軽にお問い合わせください。