結論:国土交通省の調査(平成17〜18年度の契約、平成19年公表)では、大阪・兵庫は更新料を取る物件が0%、宮城も0.2%でした。東京は65%、神奈川は90.1%です。
なぜ重要か:東京では2年ごとに家賃の1.5〜2ヶ月分ほどの出費になることがあります。
次にすべきこと:
- 契約書と募集図面の備考で、更新料と更新事務手数料を確認する
- 2年間で家賃2ヶ月分を目安に貯めておく
目次
更新料がない地域はどこ?
国土交通省の調査では、大阪と兵庫は更新料を取る物件が0%でした。宮城も0.2%で、ほとんどありません。
反対に、更新料を取る物件が半分を超えていたのは、神奈川・千葉・東京・埼玉・京都の5都府県です。
ただし、このデータは平成17年4月から平成18年3月までの契約を調べたもので、平成19年(2007年)に公表されたものです。今の相場とは違う可能性があります。地域の傾向はつかめますが、実際に更新料がかかるかどうかは、物件ごとに契約書で確かめるのが確実です。
都道府県別:更新料を取る物件の割合と平均月数
暮らしっく不動産の徳留です。東京に住む親戚から「そろそろ更新だけど、更新料ってどのくらいかかるの?」と聞かれたことがあります。九州で住んでいたときの更新は1万円ほどで済んだそうです。東京は更新料がある物件がほとんどなので、契約書から金額を計算して伝えました。地域でこんなに違うのかと思い、調べてみました。
次の表は、国土交通省「民間賃貸住宅に係る実態調査(不動産業者)」(平成19年公表)をもとに、暮らしっく不動産でまとめたものです。平成17年4月から平成18年3月に契約した物件のうち、借りる人から更新料を受け取っている割合と、その平均額(家賃の何ヶ月分か)です。
| 都道府県 | 更新料を取る物件の割合 | 平均(ヶ月) |
|---|---|---|
| 北海道 | 28.5% | 0.1 |
| 宮城 | 0.2% | 0.5 |
| 東京 | 65% | 1 |
| 神奈川 | 90.1% | 0.8 |
| 埼玉 | 61.6% | 0.5 |
| 千葉 | 82.9% | 1 |
| 長野 | 34.3% | 0.5 |
| 富山 | 17.8% | 0.5 |
| 愛知 | 40.6% | 0.5 |
| 京都 | 55.1% | 1.4 |
| 大阪 | 0% | - |
| 兵庫 | 0% | - |
| 広島 | 19.1% | 0.2 |
| 愛媛 | 13.2% | 0.5 |
| 福岡 | 23.3% | 0.5 |
| 沖縄 | 40.4% | 0.5 |
調査の対象は上の16都道府県です。表にない県のデータはこの調査にはありません。
更新料が多い地域
割合が半分を超えるのは、神奈川(90.1%)、千葉(82.9%)、東京(65%)、埼玉(61.6%)、京都(55.1%)です。
私は毎日東京の物件情報を見ていますが、更新料なしの物件はほとんど見かけません。調査では東京65%ですが、個人的な感覚では9割ほどの物件に更新料がある印象です。
平均の月数を見ると、1ヶ月以上なのは東京・千葉(1ヶ月)と京都(1.4ヶ月)です。

福岡の更新料は?
福岡は、更新料を取る物件が23.3%(平均0.5ヶ月)でした。4件に1件ほどなので、更新料がない物件のほうが多い結果です。
先ほどの親戚が九州で払った1万円ほどは、更新料ではなく、火災保険の更新費用だったのではないかと思います。
ただし、福岡は退去時の「敷引き」が多い地域でもあります(次の章で説明します)。
更新料がない地域はお得なのか
同じ調査には、敷金から決まった額を差し引く「敷引き(償却)」のデータもあります。
| 大阪 | 兵庫 | 福岡 | |
|---|---|---|---|
| 敷引き(償却)がある物件の割合 | 29.9% | 96.0% | 89.0% |
| 敷引き(償却)の平均 | 3.1ヶ月 | 2.8ヶ月 | 2.6ヶ月 |
国土交通省「民間賃貸住宅に係る実態調査(不動産業者)」(平成19年公表)をもとに暮らしっく不動産で作成。この調査の有効回答は175社で、数は多くありません。
更新料がない大阪・兵庫でも、退去時に家賃の3ヶ月分近くが敷金から差し引かれる物件がありました。兵庫と福岡では、敷引きのある物件が9割前後です。
つまり、お金がかかる場面が地域によって違う、と考えるのが正確です。
- 入るときにかかるのか(礼金など)
- 更新のときにかかるのか(更新料)
- 出るときに戻るお金が少ないのか(敷引き)
更新料がないことだけで「安い」と決めず、入居から退去までの合計で比べましょう。
更新のときにかかる費用の計算例
普通借家契約は2年契約が多く、そのあとも住み続けるには契約を更新します。東京ではこのときに費用がかかります。地方から上京した人や、初めて一人暮らしをする人は、更新料のことを知らないまま契約してしまうことがあります。
更新のときにかかる主な費用は次のとおりです。
- 更新料(東京では家賃1ヶ月分が多い)
- 火災保険(家財保険)の更新料
- 保証会社の更新料(保証会社を使っている場合)
- 更新事務手数料(かかる物件だけ)
以下は、家賃7万円・管理費2,000円の物件で計算した例です(2018年に書いた記事の例です)。火災保険料や保証会社の更新料は、保険や保証会社によって違うので、ご自分の契約書で確認してください。火災保険の補償の中身は「賃貸の保険は入らないといけない?」、保証会社の費用は「賃貸の保証会社とは?」で説明しています。
| 項目 | 例1 | 例2 | 例3 |
|---|---|---|---|
| 更新料 | 70,000円(1ヶ月) | 70,000円(1ヶ月) | 105,000円(1.5ヶ月) |
| 更新事務手数料(家賃の25%) | なし | 17,500円 | 17,500円 |
| 火災保険料(2年) | 19,000円 | 19,000円 | 19,000円 |
| 保証会社の更新料(家賃+管理費の30%) | 21,600円 | 21,600円 | 21,600円 |
| 合計 | 110,600円(約1.5ヶ月分) | 128,100円(約1.77ヶ月分) | 163,100円(約2.26ヶ月分) |
更新事務手数料には消費税がかかる場合がありますが、この例には含めていません。
更新事務手数料がかかりやすい物件
家賃相場が安めのエリアの不動産会社や、昔から地元で営業している不動産会社の物件では、更新事務手数料がかかることがあります。下町らしいエリアに多い印象です。
更新料が高めになりやすい物件
相場より家賃が安い物件や、敷金・礼金ゼロの物件は、更新料が1.5ヶ月など高めに設定されていることがあります。例3のような物件だと、住み続ける限り2年ごとに家賃2ヶ月分以上かかります。家賃が相場より安い理由は「相場より安い賃貸物件の9つの理由」でも紹介しています。敷金・礼金ゼロの物件の注意点は「敷金礼金ゼロ」の記事にまとめています。
同じ部屋でも、更新料が違うことがある
暮らしっく不動産が募集していた物件での実例です(2014年)。大家さんの希望どおり、当社の募集条件は「更新料1ヶ月分、消費税なし」でした。
同じ物件を、大家さんの意向で別の不動産会社も募集していました。そちらの図面では、更新料が「1.25ヶ月分+消費税」になっていました。0.25ヶ月分と消費税が上乗せされていたのです。
同じ部屋でも、どこで申し込むかで更新の条件が変わることがあります。複数のサイトで同じ部屋を見つけたら、更新料の欄も見比べてみましょう。
更新でないのに更新料を請求されたら
当社に届いた相談です(2016年)。「2月末で退去する」と不動産会社に伝えて話がまとまったのに、あとで更新料を請求されたそうです。更新の時期ではありませんでした。
更新料は、契約を更新して住み続けるときに払うお金です。更新の時期でもなく、退去するのであれば、払う必要はないとお答えしました。
契約の内容によって扱いが違う場合もあるので、納得できない請求があったら、その場で払わず、契約書のどの条文にもとづく請求なのかを書面で確認しましょう。消毒代・事務手数料・書類作成料など、よくわからない名目の費用も同じです。消毒代については「賃貸の「消毒代」がある物件は、選ぶな!」で調べています。退去時の費用については「退去費用」の記事も参考にしてください。
なぜ更新料があるのか
同じ調査では、更新料を受け取る理由も聞いています(117社、複数回答)。
| 理由 | 回答数 | 割合 |
|---|---|---|
| 一時金収入として見込んでいる | 62社 | 53.0% |
| 長年の慣習 | 59社 | 50.4% |
| 家賃が低い分の収入を確保 | 25社 | 21.4% |
| その他 | 25社 | 21.4% |
| 損耗を補修するための財源 | 24社 | 20.5% |
| 一時金を払えない人は不安 | 17社 | 14.5% |
| 大規模修繕を行うための財源 | 7社 | 6.0% |
| 立ち退き料の支払い等への備え | 5社 | 4.3% |
建物の修繕などの理由もありますが、多いのは「一時金収入」と「慣習」です。昔から自然に続いてきた習慣、という面が大きいようです。
なお、更新料を取ること自体は、これまでに出ている判決では違法とはされていません。金額や条件は契約書に書かれているので、契約前に必ず確認しましょう。
更新料で困らないために
「この広さでこの家賃は安い」と飛びつくと、2年後の更新で苦い思いをすることがあります。更新料は、募集図面の右下の備考欄に小さく書かれていることが多く、契約書にも必ず書かれています。
引越しの初期費用は家賃の5〜6ヶ月分ほどかかるので、一時的な出費だけで比べれば、更新したほうが安く済みます。ただ、更新料も引越し代も用意できないと、行き場がなくなってしまいます。契約期間の2年間で、家賃2ヶ月分ほどを貯めておくと安心です。
- 更新料は何ヶ月分か、消費税はかかるか
- 更新事務手数料はあるか
- 火災保険と保証会社の更新料はいくらか
- 退去時の敷引き(償却)はあるか
そろそろ更新の時期かも、と思った方は、一度契約書を見直してみてください。初期費用全体の考え方は「初期費用」の記事も参考にしてください。
