結論:相場より安い賃貸には、お墓・歓楽街・線路が近い、建物が古い、設備が昔のまま、狭い、道が暗い、事故物件などの理由があります。
なぜ重要か:その理由に自分が納得できれば、安い部屋はお得な部屋になります。
次にすべきこと:
- 住所を地図で調べ、内見で周りを一周する
- 募集図面の築年と備考欄を確かめる
こんにちは。暮らしっく不動産の徳留です。
内見に行って気に入った物件が、相場と比べると安い。そんなとき「なぜこんなに安いんだろう」と不安になったことはありませんか。
住宅の値段はとても正直です。相場より安い物件には、ほとんどの場合なにかしらの理由があります。大切なのは、その理由に自分が納得できるかどうかです。
この記事では、相場より家賃が安くなる9つの理由と、安い物件を内見するときに確かめたいことをまとめます。
相場より家賃が安い物件の9つの理由
まずは9つの理由を一覧にします。気になる理由があれば、下の説明もあわせて読んでみてください。
| 理由 | 安くなるわけ | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 1. お墓が近い | 夜道が暗い、心理的に苦手な人が多い | 地図で周りを見る。内見で近所を一周する |
| 2. 近くが歓楽街 | 子どものいる家庭や女性が避けやすい | 地図で周りのお店を見る。夜の様子を見る |
| 3. 線路沿い | 電車の音や振動がある | 地図で線路との距離を見る。内見で窓を閉めて音を聞く |
| 4. 建物が古い | 見えない配管が古いことがある。旧耐震の建物もある | 募集図面の築年を見る |
| 5. 設備が昔のまま | リフォームをしないまま貸している | お風呂・トイレ・インターホンなどを見る |
| 6. 入居条件をゆるめている | 募集がうまくいかず条件を広げている | 募集条件の書き方、共用部の様子を見る |
| 7. 狭い | 広さや設備が平均より足りない | 図面の広さ、冷蔵庫・洗濯機の置き場を見る |
| 8. 道が狭い・暗い・坂の下 | 防犯面で不安、毎日の移動が大変 | 駅から物件まで歩いてみる。夜も通ってみる |
| 9. 事故物件 | 心理的に避ける人が多い | 募集図面の「告知事項あり」の表示を見る |
ここからは、ひとつずつ説明します。
理由1. お墓が近い

お墓が近いと、相場より安いことがあります。
お墓のまわりは夜に暗いことが多く、夜道が不安という面があります。また、心理的に苦手だという人も多いので、家賃は相場より安くなる傾向があります。
以前、ある大家さんと話していたら「死んだ人よりも、生きている人間のほうがよっぽど怖い!」と言っていて、妙に納得してしまいました。とはいえ、一般的にはお墓の近くは相場が安くなります。
お墓が近いかどうかは、間取り図ではわかりません。内見に行ったら、近所をぐるりと一周してみましょう。内見に行く前でも、住所がわかればインターネットの地図やストリートビューで、ある程度のことはわかります。
「この物件、相場より安いな」と思ったら、地図で確かめてみてください。理由に納得、というケースはけっこう多いものです。
理由2. 近くが歓楽街

歓楽街の近くも、相場より安いことが多いです。
ホテル街や飲み屋街の真ん中にあるようなマンションは、都内にもけっこうあります。募集図面はその物件だけを紹介していることが多いので、周りの様子は地図で調べてみるとよいでしょう。
小さい子どもがいるご家庭や女性のお客様は特に避ける傾向があるので、その分、家賃を下げて募集していることが多いです。
これは賃貸だけでなく、売買の土地の値段も同じです。図面だけを見ると「おっ!この区でこの土地の形でこの値段!」と思っても、実際に行ってみると工場の横だった、ということもあります。理由がないのに安い、というケースはほとんどありません。
理由3. 線路沿い

線路沿いも、電車の音や振動があるため、相場より安いことがあります。
窓のサッシの性能が高ければあまり気になりませんが、昔ながらのサッシで線路沿いだと、安いことが多いですね。
音があっても熟睡できる方や、始発で出かけて終電で帰ってくるような生活の方にはおすすめです。
線路との距離も地図で調べるとわかります。内見に行く前に調べておくのがポイントです。道路の音と比べたい方は、大通り沿いと住宅街の騒音を比べた記事も参考にしてください。
理由4. 建物が古い
リフォームされて内装がきれいでも、建物そのものが古ければ、相場より家賃が安いことはよくあります。
最近は、外観も室内も新築のようにリフォームする技術があります。そのため、目に見える部分だけで建物の年代を見分けるのは難しいことが多いです。
「リフォームしてあるなら問題ないのでは?」と思う方もいるかもしれません。壁紙やキッチンなど目に見える部分は、手をかければある程度きれいになります。ですが、築年数の古い建物では、上下水道の配管までは手がつけられていないことが多いです。漏水や詰まり、赤さびなどで、手をわずらわされるリスクもあります。

こちらは1970年代に建てられた、あるマンションの下水管です。このころは鋼鉄製の配管が多かったと聞きます。今は塩ビ管が多いです。
もう一つの目安になるのが耐震基準です。1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物は、新耐震基準で建てられています。それより前に建築確認を受けた建物は旧耐震なので、相場より安い傾向があります。
募集図面に書かれているのは、ふつうは完成した年(築年)です。建築確認を受けた日とは違うので、気になる場合は不動産会社に聞いてみてください。建物の構造による違いは、木造・鉄骨・鉄筋コンクリートの違いの記事にまとめています。
理由5. 設備が昔のまま

建物は古くなるほど家賃が下がる傾向がありますが、大家さんとしては、なるべく家賃を下げたくないのが本音です。そこで行うのがリフォームです。
- 壁紙を全面張り替える
- 和式トイレを洋式トイレにする
- 和室をフローリングにする
- お風呂を新しくする
- エアコンを新しくする
- モニター付きインターホンをつける
このように、時代のニーズに合わせてリフォームします。もちろん、大家さんの意識が高く、きちんと収益が出ている物件に限りますが。
一方で、リフォームをせずにそのまま貸している物件もあります。そういう物件は、家賃が相場より低い傾向があります。
ひと昔前の設備でも気にならない方なら、狙い目ですね。バランス釜のお風呂を知らない若い世代も多いのではないでしょうか。
理由6. 入居条件をゆるめて募集している
世の中にはいろいろな人がいます。近所でも有名な、細かいことでクレームをつけてくる人がいる、ということもあります。
たとえば、私道の通行でもめていたり、音へのクレームが激しく、入居者といつももめていたりする人がいる物件だと、家賃が相場より安くなっていることがあります。その建物に住んでいる人の質、といったところです。
大家さんや管理会社は、少しでも長く、よい入居者に住んでもらいたいと考えています。ただ、募集がなかなかうまくいかない物件では、募集の条件をゆるめることもあります。
- フリーター
- 高齢者
- 水商売
- 求職者
- 生活保護
一般的に入居審査が難しいとされる、上のような条件でも「OK」と書いてある物件は、募集の条件を広げているということがわかります。入居審査のしくみは入居審査の記事で説明しています。
最近は個人情報の問題もあり、ほかの部屋にどんな人が住んでいるかを調べるのは難しいことが多いです。内見に行ったときに、自転車や洗濯物、共用部に置いてあるものから判断するしかありません。
理由7. 狭い

一人暮らしでも、最低限の広さはほしいものです。冷蔵庫はキッチンの横、お風呂とトイレは別、と考える方が多いですが、その条件を気にしなければ、部屋が狭くても希望の街に住める可能性があります。
写真は、シャワーとトイレが一体になったものです。
設備の面では、次のような物件が安くなりやすいです。
- 6畳の居室の中に冷蔵庫を置くしかない間取り
- お風呂がない
- 洗濯機置き場がない
- トイレが共同
こういう物件は、平均的な物件と比べて面積が狭いので、家賃も安いことが多いです。どうしても場所を優先したい場合は、検討してみるのもよいかもしれません。
建物のつくりの面では、次のような物件も安くなりやすいです。
- 大きな柱が部屋の中に出ている
- 屋根の勾配の関係で、天井がななめになっている
- 部屋はとても新しくきれいだが、実際に使える居室の広さが3畳や4畳
こういう物件は、場所や設備のわりに家賃が安いことが多いです。間取りの表記の違いは1Rと1Kの違いの記事、帖数の見方は広さの単位の記事も参考にしてください。
理由8. 道が狭い・道が暗い・坂の下

道が狭く暗いところは、女性が避ける傾向があります。また、どこに行くにも坂をのぼらないといけない、坂の下の物件もあります。
こういう物件は借り手がつきにくいので、家賃を下げて募集していることがあります。道が暗く細く、防犯の面から見ても死角になりそうな物件は、安い傾向があります。
坂については、電動自転車があれば楽になりますね。
道の様子は、昼と夜でかなり違います。気になる物件は、駅から物件まで実際に歩いてみて、できれば暗くなってからも通ってみると安心です。
理由9. 事故物件
これは書かなくてもご存じだと思いますが、事故物件は安いです。
「事故物件って、たくさんあるんですか?」とたまに聞かれますが、なかなかありません。世の中にある物件の数がとても多いので、なかなかお目にかかりません。きちんとデータをとったわけではありませんが、私の感覚では500件に1件くらいの割合です。
募集図面に「告知事項あり」と書かれている場合は、その内容を不動産会社に確認しましょう。事故物件については事故物件の記事で詳しく書いています。
安すぎる物件で確かめること
相場より安い物件を見つけたら、次のことを確かめてみてください。理由がわかれば、借りるかどうかを落ち着いて判断できます。
内見の前に確かめること
- 住所を地図で調べ、お墓・線路・大きな道路・歓楽街が近くにないかを見る
- ストリートビューで、駅から物件までの道の明るさや坂を見る
- 募集図面の築年、構造、広さ、設備を見る
- 備考欄に「告知事項あり」などの書き込みがないかを見る
内見のときに確かめること
- 建物のまわりを一周して、周りに何があるかを見る
- 窓を閉めた状態と開けた状態で、外の音を聞く
- 水を出して、水の出かたや色、においを見る
- お風呂・トイレ・キッチン・インターホンなどの設備を見る
- ゴミ置き場、郵便受け、自転車置き場など共用部の様子を見る
- 部屋の中の柱や天井の形を見て、家具が置けるかを考える
音や周りの様子は、時間帯によって変わります。気になる点があれば、時間を変えてもう一度見に行くのもよい方法です。
不動産会社に聞くこと
- 相場より安い理由に心当たりがあるか
- 配管や設備を最近直しているか
- 「告知事項あり」の場合は、その内容
答えられる範囲は物件や管理会社によって違いますが、聞いてみると理由がわかることも多いです。
安すぎる物件がおとり物件のこともある
ポータルサイトなどで見つけた物件が、理由が見当たらないほど安い場合は、おとり物件の可能性もあります。問い合わせると「もう決まってしまいました」と言われ、別の物件をすすめられる、という流れには注意してください。見分け方はおとり物件の見分け方の記事にまとめています。
そもそもその地域の家賃の相場がどのくらいかは、家賃相場の記事も参考にしてください。
さいごに
世の中の平均的な物件から何かが欠けていれば、家賃は相場より安くなる、ということがおわかりいただけたかと思います。
ほかの人にとっては不便でも、自分にとって困らないことなら、それはお得な物件だと言えます。家賃を重視する方は、検討してみるとよいかもしれません。
逆に言えば、どの条件にも平均以上を求めれば、家賃も平均以上になるということです。賃貸の相場は、それほど値段に正直で、適正な価格がつけられています。
少しでも安い物件を探している方は、参考にしてみてください。
