「敷金礼金ゼロの物件ってお得?」こんな質問をよく受けます。

「敷金礼金」と検索すると「デメリット」という言葉もすぐに出てきます。
「安い」ということで、心配する人も多いようです。

お得な物件もあれば、危ない物件もあります。
危ない物件は、退去時の費用が必要以上にかかってしまい、結局は普通の物件より高くなってしまうような物件です。

今回はそんな「敷金礼金0」の物件についてじっくり解説していきたいと思います。

0. 敷金礼金ゼロのデメリット 3つ

敷金礼金0で考えられるデメリットの3つ上げます。

  1. 選択肢が少なくなる。 
  2. 退去時の費用が高くなりそうな怪しい物件が多くなる。 見極めが難しい。
  3. 売れ残りが多いので、内見に行っても無駄足になる可能性が高い

この3つについて検証しながら、敷金礼金ゼロについて解説していきたと思います。

1.  敷金礼金0は数が少ない

9.02%
東京23区の1年間の募集データを分析した数字です。
(情報提供元 アットホーム、(公財)東日本不動産流通機構レインズ より 2013年10月?2014年9月のデータを暮らしっく不動産がまとめたもの)

敷金礼金が無い物件は、数が少ないです。

「敷礼ゼロゼロ!」なんていう看板を街の不動産屋で見かけたりしますが、実際にはこの通りかなりレアな物件です。

1-2. 東京23区の敷金礼金0 ランキング

東京23区のランキングを表でまとめてみました。
(情報提供元 アットホーム、(公財)東日本不動産流通機構レインズ より 2013年10月から2014年9月のデータをまとめたもの)

順位

区名

募集された物件数

敷金礼金0の割合

1

足立区

29,146戸

15.88%

2

板橋区

32,749戸

15.75%

3

江戸川区

35,513戸

14.19%

4

葛飾区

17,049戸

13.75%

5

北区

23,421戸

11.68%

6

豊島区

30,144戸

11.23%

7

墨田区

20,966戸

10.39%

8

中野区

33.696戸

9.72%

9

練馬区

33,980戸

9.50%

10

荒川区

13,732戸

9.50%

11

新宿

43,193戸

8.85%

12

江東区

30,513戸

8.71%

13

杉並区

47,489戸

8.23%

14

台東区

20,188戸

7.64%

15

大田区

52,130戸

7.35%

16

文京区

22,562戸

6.67%

17

千代田区

8,533戸

6.56%

18

世田谷区

76,083戸

6.41%

19

港区

33,144戸

5.83%

20

渋谷区

32,197戸

5.43%

21

品川区

33,902戸

4.98%

22

中央区

22,509戸

4.87%

23

目黒区

27,405戸

4.56%

暮らしっく不動産が主に活動しているエリア新宿は11位。 8.85%という割合。
10件に1件あるかないかくらいの数字です。

この表を見て改めて「敷金礼金0」の物件が、あまりないことがわかると思います。

1-3. 新宿区高田馬場に絞って もう少し詳しくみていく

ここまでは大手ポータルサイトでもよくあるデータです。
ここからもう少し詳しくみていきたいと思います。

エリアを暮らしっく不動産が主に活動している、新宿区高田馬場に絞ってみていきます。


間取り

物件数

敷金礼金0

1R

1032

12.89%

1K

1866

5.36%

1DK

311

3.54%

1LDK

375

0.27%

2

95

1.05%

2DK

248

2.02%

2LDK

251

7.17%


1R/ワンルームと1Kに絞って、少し条件を加えてみます。

  • 駅から徒歩10分以内
  • バス・トイレ別
  • 洗濯機置き場
  • エアコン
  • フローリング
  • 2階以上

一人暮らしで部屋を探すときの、よくある希望条件です。

それを踏まえるとこういう結果になります。

物件数

敷金礼金0

1R

195(-837)

11.80%(-1.09%)

1K

695(-1171)

4.46%(-0.9%)

1Rは約8割減、1Kは約6割減。 
物件の選択肢が一気に減ります。

敷金礼金0の割合も1%ほど減少します。

2. 敷金礼金0の物件が多い時期はいつ?

12月に少し増える傾向です。

敷金礼金0の物件について月別に分析してみました。

高田馬場の賃貸物件、1Rと1K。
2013年10月から2014円9月までのデータになります。
(情報提供 アットホーム レインズより)

(諸事情により5月のデータが用意出来ませんでした。)


 

3. 敷礼礼金0物件の気を付けるポイント4つ

数は少ないけど、敷礼礼金0の物件はあります。
良い物件もあれば、悪い物件もある。

続いて敷礼礼金0の物件を、見分けるポイントについて紹介していきます。

2-1. ポイント① 備考に落とし穴がある

備考を注意してみましょう。

小さく書かれている説明書きに落とし穴があった、なんていう嫌な世の中です。
不動産でもそういうことは数多くあります。


例えばこんな表示。


良くないポイント

  1.  ルームクリーニング代が高い。 この部屋クラスだと30,000円ほどが相場。
  2.  室内消毒代という余計な費用がかかる。 しかも16,200円。
  3.  鍵交換費用も少し高い。 この物件だとディンプルじゃないと思う。
  4.  神楽坂の駅までは本当は10分くらいはかかる。

このように余計な費用がかかってしまうケースが多いです。
敷礼礼金0でもトータルで考えると、全然お得ではないこともあります。
備考のところは、注意して見ましょう!

2-2. ポイント② 相場より高い場合がある!

相場よりも高い場合があります。

全く魅力無しです。 お得ではありません。
初期費用が出せなくて「どうしても今すぐに引越ししなければならない!」という人以外は、気をつけましょう。

2-3. ポイント③ 退去時に多額の請求が!?

退去時のハウスクリーニング費用が高かったり、その他余分な退去費用を請求されたりする場合があります。

「2-1. 備考をよく見よう!」でも書きましたが、よくわからない初期費用が入っている場合は、退去費用の時にもよくわからない費用を請求してくる可能性が高いです。
嫌な思いをしないためにも、どういう物件なのか見定めましょう!


2-4. ポイント④ 違約金に気をつけましょう

敷金礼金0や初期費用が安い物件は、違約金が設定されている場合があります。

違約金の設定がある場合は 、「1年未満の解約の場合、〇万円」のような形で契約書の特約のところに設定されます。

人生何が起こるかわかりません。 急に引越ししなければならなくなるかもしれません。
契約前に違約金の設定があるのか、確認しておきましょう。 

4. 実際募集してる部屋を見てみる

約320件。
今日現在、新宿区で敷金礼金0で募集している部屋の数です。(2014年10月20日現在の数字です)

そのうちいくつかピックアップして詳細を見ていきたいと思います。

4-1. 敷金礼金0の物件 悪い例

賃料が高すぎです。

高田馬場でこの部屋のスペックだと、58,000円から65,000円くらいが相場です。
敷礼礼金は無しですが、このあたりで差額を埋めているよい実例です。

初期費用が安い!といいだけで知識無く飛びついてしまうと、逆に損をしてしまいます。

鍵交換代から退去の費用も予測する。

鍵交換代の相場15,000円ほど。
この物件は高めの設定です。

こういう物件は退去の時の見積もりも高くなる傾向があるので要注意!

4-2. 敷金礼金0の物件 良い例





これは敷金礼金無しの部屋でも、良い例。

余計な費用項目がなくすっきりしています。

選ぶならこういう部屋。
しかし圧倒的に数は少ないです。

5. 敷金礼金がゼロの理由は?

約 10,000 戸。
新宿区で空いている部屋の数です。
(※(公財)東日本不動産流通機構提供 レインズ調べ 平成25年10月17日現在)

びっくりするかもしれませんが、こんなに空いているんです。

部屋は余りに余っています。

立地が悪かったり、設備が悪かったりする場合は、価格で勝負するしかありません。

そうやって「敷金礼金ゼロ」という物件が生まれています。

6. 敷金礼金0のまとめ

入口の初期費用が安くなるということで、注目を集める「敷金礼金0」物件ですが、数も少なく、退去時の費用が高くなりそうな怪しい物件も増えてきます。
初期費用が安くても、トータルでみると全然得でなかったという場合もあります。

「急な事情で、初期費用がないけどどうしても部屋を探さなければならない」という人以外には、あまりおすすめ出来る物件ではありません。
本当にお得な物件との見極めも難しいです。

今は数も少ないし、あったとしても難しい物件の可能性が高いので、「敷金礼金0」を中心に探すのはよくないと思います。

今後の人口減少や空家問題を考えると、「敷金礼金0」の物件は将来的に増えてくるものだと考えられます。
数年前までは、「敷金2ヶ月、礼金2ヶ月」というのが相場でしたが、今は「敷金1ヶ月、礼金1ヶ月」が主流になりつつあります。
近い将来「敷金0ヶ月、礼金0ヶ月」という時代がくるのかもしれません。

今後「敷金」と「礼金」がどのようになっていくのか、不動産屋としても見守っていきたいと思います。