ざっくり言うと:2016年、募集を終えた当社の物件が別の不動産会社にポータルサイトで広告され続けていました。客として問い合わせると「ご紹介可能です」と返事が来て、内見の予約まで取れました。

ここが大事:おとり物件は、部屋を探す人の時間を奪うからです。

まずはここから!

  • 問い合わせ時に「今日内見できるか」を聞く
  • 好条件すぎる物件を疑う

おとり物件とは、もう借りられない部屋や、実在しない部屋を広告に出して、お客さんを呼び込むための物件のことです。2016年2月、暮らしっく不動産が管理していて、すでに入居者が決まっていた物件が、別の不動産会社によってポータルサイトに広告され続けていました。そこで、お客さんのふりをして問い合わせる「おとり調査」をしたところ、成約済みの部屋なのに「ご紹介可能です」と返事が来て、内見の予約まで取れてしまいました。

この記事では、そのときのやりとりを時系列で紹介します。日付や時刻、物件の条件は、すべて当時(2016年)のものです。

前回の調査はおとり物件をおとり調査してみました。にまとめています。多くの反響をいただきましたが、平和な日々もつかの間、また当社の物件がおとり物件として使われていました。

調査は、前回と同じく調査用の名前「田中(仮名)」で行いました。やらせではありません。

1. 募集を終えた物件が広告に出ていた

当時は広告や問い合わせ画面のスクリーンショットを載せていましたが、広告を出していた会社が特定されないよう、この記事では外しています。

偶然、ポータルサイトで当社の物件を見つけました。この物件は、2016年1月17日に申し込みが入って募集を終えていて、不動産会社どうしの物件情報のネットワークからも下ろしていました。1月28日からは、もう入居者が住んでいます。

それなのに、広告の情報更新日は2月1日でした。写真も、暮らしっく不動産が撮影したものが無断で使われていました。2月14日の時点でも、この広告は出たままでした。

この広告の問題点

  1. 管理会社である当社の許可なく広告に出している
  2. 募集が終わった物件を広告に出している(おとり広告)
  3. 当社が撮影した写真を無断で使っている
  4. おとり物件として扱われることで、当社が管理する物件のイメージが下がる

当社は、1と2は宅地建物取引業法(誇大広告等の禁止)や不動産の公正競争規約に反する広告、3は当社が撮影した写真の無断流用(著作権の侵害など)にあたると考えています。この時点で、4つもの問題がありました。そこで、おとり調査を始めました。

不動産の広告のルールと使えない言葉の例は、別の記事で紹介しています。

2. おとり物件に問い合わせる

2016年2月2日15時12分、「田中(仮名)」の名前で、広告を出している不動産会社に問い合わせました。聞いたのは、最新の空室状況と、内見ができるかどうかです。

3. 「ご紹介可能です」と返事が来る

同じ日の15時52分、その不動産会社の担当者Aさんからメールで返事が来ました。

お問い合わせ頂きましたお部屋ですが現在も空室で、ご紹介可能です!

成約済みの物件なのに「ご紹介可能」。これがおとり物件、おとり広告の手口です。

このやりとりの問題点

  1. 管理会社に空室を確認せずに「空室です」と答えている
  2. 契約が終わっている物件なのに「ご紹介可能」と答えている

当社の物件を使って事実と違うことを伝えるのは、物件のイメージを下げるのでやめてほしいところです。ここで調査を終えようと思いましたが…。

4. 2日後も広告は出たままだった

2月4日の午前11時ごろに見ると、まだ広告が出ていました。

おとり物件としての広告が続いていたので、もう一度問い合わせてみることにしました。

5. もう一度問い合わせる

2月4日10時54分、問い合わせフォームから再び問い合わせました。

今度は、同じ会社の別の担当者Bさんから返事が来ました。内容は、今回も「お問合せいただきました物件はご紹介可能です」。メールには、物件の条件として次のように書かれていました(当時)。

  • 最寄駅:高田馬場駅 徒歩8分
  • 間取り:1K
  • 家賃:63,000円/2,000円(メールの表記のまま)
  • 広さ:18.63m2
  • 築年数:築46年(リフォーム済み)

6. 当社に物件確認の電話が来る

2月4日の午前11時半ごろ、その不動産会社から当社に「物件確認」の電話がありました。

先方:「物件確認よろしいでしょうか?(物件名)は空きございますでしょうか?」
当社:「募集を終了しております。」

不動産会社が自社の管理ではない物件を扱うときは、管理会社に空室を確認するのがふつうです。今回の物件もその会社の管理物件ではなかったので、管理会社である当社に連絡がありました。

冒頭のとおり、この物件は1月17日に募集を終えています。当社は「募集終了」とはっきり伝えました。この時点で、その会社は物件がもうないことを知っていたことになります。

7. 物件がないのに内見の予約が取れた

ところが、そのあと「田中(仮名)」のもとには、内見の予約を受け付ける返事が届きました。

明日の〇〇時ですね!承知いたしました。他にも物件を用意しておきたいと思います。条件をいただけますか?

物件がないのに、内見の予約ができてしまいました。「他にも物件を用意しておきたい」という言葉からは、来店してもらってから別の物件をすすめる流れが見えます。これが、おとり広告の実態です。おとり調査はここで終えました。

おとり物件に引っかからないために

今回の調査からわかるのは、問い合わせの返事が「空室です」「ご紹介可能です」でも、本当に借りられるとは限らないということです。部屋を探す人ができる対策をまとめます。

  • 問い合わせるときは「今日・明日に現地で内見できますか」と具体的に聞く。「まずはお店に来てください」とだけ言われたら注意する
  • 相場より明らかに安い、条件がよすぎる物件は、まず疑ってみる
  • 同じ物件が複数の不動産会社から出ていたら、情報の更新日や内容の違いを比べる
  • 来店したら「その物件は終わってしまった」と言われ、別の物件ばかりすすめられる場合は、無理に決めない

おとり物件を見分けるポイントは要注意?!おとり物件を見分ける5つのポイント、同じ物件があちこちに出てくる仕組みはネットや複数の不動産屋で同じ物件が出てくる仕組みで紹介しています。

おとり広告に頼らない、信頼できるお店の探し方はいい不動産屋の見分け方でまとめています。

「内見できます」と返事が来た不動産屋に実際に行ってみた結果は、おとり物件を出している不動産屋にいってみたで紹介しています。

悪質な不動産広告に歯止めを

これは、特定の会社を悪く言うためのキャンペーンではありません。同じ会社にも、良いお店や良い担当者はたくさんいます。ただ、今回のおとり広告は悪いことです。そして、おとり広告をする不動産会社は、ほかにも少なくありません。

悪質な不動産広告は、部屋を探す人の貴重な時間を奪います。不動産広告の信頼を下げ、結果として不動産業界の信頼も下げることになると思います。

物件情報は、不動産会社が扱う大切な情報です。人の暮らしに関わる情報だからこそ、責任を持って扱わないといけません。それでも、不動産広告の現場には、このような悪質な広告がまだ数多くあります。

悪質な広告を野放しにしておくのはよくありません。この記事が、少しでも「おとり物件」「おとり広告」に歯止めをかける力になることを願っています。