こんにちは、暮らしっく不動産編集部です。


巷で再び話題の"おとり物件"ですが、久々に独自調査を行いました。
その結果をご報告させていただきます。

【調査内容】

インターネット(自社サイトまたはポータルサイト)に掲載のあった弊社契約済み物件に対する調査。

【調査方法】

  • メール
  • 電話
  • 調査員による潜入

【実録!調査結果】

高田馬場A社

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※写真は高田馬場のイメージ写真です。該当店舗とは関係ありません。

【掲載タイプ】

インターネット(自社サイト)に弊社で契約済みの物件が出ていました。
XXXXという物件の情報更新日は2017/11/14 次回更新予定日2017/11/28

この物件、実際は契約済みの物件です。
2017年3月に契約、今は人が住んでいます。

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とっくに募集が終わっている物件ですが、11月14日に更新されています。

それでは実際にお店に行ってみます。


【接客内容】

お店に行くとお名前、住所、希望の間取り、家賃を書いて待たされます。
お客様ヒアリングシートのようなものですが、よく見ると"媒介依頼書"の文字列が見えます。
つまり、A社に部屋探しを依頼し契約にいたった場合は仲介手数料を払います。という意味合いの用紙です。
(特に説明はなかった)
高田馬場近辺で物件を探しているという設定で担当者と話をすることにしました。
ネットで見た物件を内見したいということで担当者に話をします。


調査員:"気になった物件が2つありまして。。XXという物件とXXという物件です。(ここは弊社の2物件の掲載がありました)"
担当者:"あぁ、無いですね。"
調査員:"えっ?無いんですか?"
担当者:"そうなんですよ。ネットの情報というのはタイムラグがありまして、人気物件はすぐに埋まっちゃいます。また、データベースもどんどん新しいのを追加しているだけですので古いものが残っている状態なのです。"


ここまでは"おとり物件"の常套手段です。
昔の手法であればここから広告費(担当者や会社にとってボーナスが出る物件)の高い物件を紹介するところですがA社はここからが予想に反して良かったのです。

  • アクセス重視か設備重視か
  • 条件として譲れる部分があるか
  • その物件には何年住む予定か(家賃の安いスペックの低い物件に住むと結局更新せずに引っ越す確率が高くなるため)
  • ◯◯のエリアであれば地下鉄を使わずとも徒歩で歩ける圏内等の街の案内

等、賃貸物件を探す上で大切な要素をきちんと話してくれ、その人に合った物件を真剣に考えてくれたのです。


ちなみに初期費用の部分の質問もしてみました。


調査員:礼金の有る無しでデメリットなどはあるのでしょうか?
担当者:あくまでも傾向ですが、礼金の無い物件というのは除菌消臭費用だったり、24hサポートだったりが必須なことが多いです。あとはそういう物件の場合、家賃が相場よりも高く設定されていることがあります。どこかしらで金額が調整されているイメージですね。

おぉー、これも正しい!
実に素晴らしい解説です。


というわけで、比較検討する旨を伝えてお店を後にしました。

意外と感じの良い不動産屋さんでした。
いい不動産屋だけど、昔ながらのおとり物件で集客をしている、といったところでしょうか。

それでは2つ目の不動産屋さんに行ってみます。

新宿B社

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※写真は新宿のイメージ写真です。該当店舗とは関係ありません。

【データ】
インターネット(某ポータルサイト)に弊社で契約済みの物件が出ていました。
情報更新日は11/22 次回更新予定日11/29

これも2017年3月に終わっている物件です。
人も住んでいます。 

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今回は不動産サイトよりメールで問い合わせます。
内容: 物件の内見をしたい。

そうすると問い合わせた日の夜にメールの返信がきます。

"この度は、XXXXよりお問い合わせ頂きまして
誠にありがとうございます。

株式会社◯◯のXXと申します。

■ご質問■
現地を見たい

■回答■
お問い合わせ頂きました、
高田馬場駅 7.2万円 1K
のお部屋は現在も募集中になっております。

人気の高いお部屋の為、
なくなる可能性もあるので、
募集がある内にご紹介させて頂ければと思います。

弊社は新宿にあるが故に敬遠される方もいらっしゃいますが、
ランキングにも登録されている会社になりますので、
安心してお部屋探しを行えます。
http://xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx

担当スタッフがより良いお部屋探しを完全サポート致します。

ご来店頂いた際には、
インターネットに載っている、
問い合わせ先が弊社ではない物件も勿論、
インターネットには載っていない物件も
ご希望条件の中の物件は全てご紹介出来ますので
ご期待下さいませ。

お電話での受付けも勿論受付けております。
⇒XX-XXXX-XXXX "

こちらの物件も当然契約が終わっており、現在居住者がいる状況ですので、当たり前ですが内見も契約もできません。
ですが今回も調査ですので、次の日の朝一で電話連絡をしてみます。


調査員:"お部屋が内見できるということでご連絡させていただきました。高田馬場駅7.2万円のお部屋の内見はこれからできますか?"
担当者:"鍵をですねオーナーさんが持っていることもあり、一度弊社にご来店いただいて、お客様の内容等をお聞きし、それをオーナーさんに話してからの内見となります。また、スケジュール的にもたてこんでいるため、今日は難しいです。"
調査員:"そうですか。これからの内見は難しいですか?"
担当者:"はい。今日は難しいです。"

しつこいようですが、こちらの物件、居住者がいます。(2017年3月に契約済み)
鍵をオーナーさんが持っているとか、オーナーさんが鍵を開けるとかそのようなことはありませんし、募集中だった時もそのような手配の内見であったことはありません。

池袋【C社】

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※写真は池袋のイメージ写真です。該当店舗とは関係ありません。

インターネット(某ポータルサイト)に弊社で契約済みの物件が出ていました。
情報更新日は11/20 次回更新予定日11/30

こちらの物件も実際には募集終了している物件。
2016年の10月から人が住んでいます。 1年以上もおとり物件として使われているようです。

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こちらのC社は同じ建物で賃料違いという手法もとっています。
先程の賃料は6.8万円、下記のものは7万円。

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今回も某不動産サイトよりメールで問い合わせます。
内容:物件の内見をしたい。

そうするとその日の夜にメールの返信がきます。

"この度は、【XXXX】よりお問合わせいただきまして
誠にありがとうございます。
XX不動産のXXと申します。
よろしくお願いいたします。


■下記のお問合わせ物件は募集中ですのでご紹介可能です■
○物件名:XXXX
○お家賃:6.8万円
○最寄駅:山手線 高田馬場


【ご内覧に関しまして】

ご内覧のご希望日はお決まりでしょうか。
土日、祝日、平日の夜でもご対応可能です。
鍵の手配取らせていただきます。


お部屋探しを【楽しい!】と思っていただけるよう
精一杯ご対応させていただければと思っております。


それではXX様のご連絡お待ちしております。
よろしくお願いいたします。

B社同様、こちらの物件も内見が可能とのことです。
内見ができるとのことなので、明朝に早速電話でアポをとります。

調査員:"XXXXという物件の内見ができるということでご案内のメールをいただきました。本日の内見は可能でしょうか?"
担当者B:"担当者Aが別のお客様の接客に入っておりますので、私担当者Bが承らせていただきます。ご案内可能です。"
調査員:"そうですか。それでしたらこれからお店にお伺いさせていただきます。"
担当者B:"よろしくお願いいたします。"

メール・電話どちらの質問に対しても"物件はある。内見もできる。"ということでしたのでこの電話の40分後にお店に行ってみました。

調査員:"こんにちは。メールと電話で問い合わさせていただいたXXです。"
お店の複数名のスタッフ:"いらっしゃいませ。"

数名のスタッフが立ち上がり椅子まで案内してくれました。

担当者A:"本日はお越しいただきありがとうございます。本日は私のほうが別件にてお客様のご案内がありますので担当者Cがご案内させていただきます。"
調査員:"はい。よろしくお願いいたします。"
担当者C:"こちらにお客様の情報をお書きいただきお待ちいただいてもよろしいでしょうか。書ける部分で構いません。"


A社の時もそうでしたが、名前、年齢、住所、勤務先、希望賃料、間取り、希望スペック等を書き込む用紙に架空の設定を書いて待ちます。
条件としては暮らしっく不動産にお問い合わせの多い条件で設定してみました。

担当者C:"お待たせいたしました。よろしくお願いいたします。"
調査員:"はい。よろしくお願いいたします。"
調査員:"昨日の夜にXXXという物件に問い合わせをさせていただき、今朝も電話で確認させていただいたところまだ空いていて内見も可能ということでしたので来ました。"
担当者C:"あぁーそうでしたか。ありがとうございます。それでは物件の空き状況を確認させていただきますので少々お待ち下さい。"

そこから担当者CはXXXXというサイト、業者用データベースであるレインズとatbbを確認していました。
しつこいようですが契約済みで入居者もいる物件ですので、業者用データベースであるレインズにもatbbにも物件は存在しません。
ただ、過去に掲載されていた履歴は見ることができますので、そこから物件情報を探し出し暮らしっく不動産に在庫の確認をしていました。


担当者C:"お世話になっております。XXXX不動産の担当者Cです。高田馬場にあるXXXXという物件で空いているお部屋はありますか?"
暮らしっく不動産スタッフ:"XXXX物件で今空いているお部屋はありません。半年以上前に募集を終了していますよ。"
担当者C:"そうでしたか。ありがとうございます。"

担当者Cが席に戻ってきました。


担当者C:"XXXXという物件は終わっちゃったみたいですね。"
調査員:"えっ?そうなんですか?担当者Aさんに昨晩確認して、今朝も担当者Bさんに確認したら内見できますというお返事をいただいて来ているのですが?"
担当者C:"申し訳ありません。おそらく"ある"と申し上げたのは金曜日だったかな?その最終(時間)での在庫状況でのお返事と思われます。"
調査員:"うーん。困りましたね。その物件を内見してその後に用事を入れていて、内見するつもりで来たのですが"
担当者:"すいません。いただいている条件で別の物件をお探しします。"


しつこいようですが、金曜日どころではなく半年以上前に物件は契約にいたっています。


というわけで架空の設定でお部屋を探してもらいました。
こちらも広告費(会社や営業スタッフにとってのボーナス)が沢山でる物件を紹介されるのかと思っていましたが、そのようなことはなく幅広い物件情報から紹介をはじめました。
調査には此処から先はあまり関係ないので、ここで調査終了。
複数のスタッフの深いお辞儀に見送られながらお店を後にします。

【調査結果まとめ】

今回の調査結果をまとめます。

結論


今も、おとり物件は存在する。だが以前よりもやり方が巧妙化している。

  • インターネットのおとり広告は未だに存在しており、お客さんからの問い合わせ・来店を増やすのに一役かっている。
  • お店に行っても物件は無いことが多い。(お店に来させるのが目的のため)
  • データベースの更新はされておらず、"更新"という記述があってもメンテナンスされていないことが多い。
  • 今回調査した店舗では比較的お客さん目線の物件探しはしてくれた。
  • おとり物件がのっていた不動産情報サイトは"おとり物件"に関する注意喚起のコラムも書いてあるサイトだった。
  • B社に関していえば"ランキングにも登録されている"と書いていたが、そのランキングサイトはおとり業者に突撃取材等の記事も書いてあるサイトだった。

数としてはかなり減ったおとり物件ですが、未だゼロではありません。
好条件過ぎる物件を探していたりすると、うまくおとり物件に引っかかることも。

不動産情報はだいぶ整備されてきましたが、まだウソの情報とホントの情報が混在している状況です。
インターネットに限らず、お店の看板、チラシなども同じような状況。

物件情報はあんまり当てにせず、カタログ程度な感覚で見るのが良いかなとも思います。