結論:2017年11月の調査では、契約済みの物件を載せた不動産屋が3社見つかり、「内見できる」と返事が来ても、店に行くと「もうない」と言われました。

ここが大事:おとり物件は減っても、なくなってはいません。

まずはここから!

  • 来店前に「今日、内見できますか」と確かめる
  • 条件が良すぎる物件は疑ってみる

こんにちは、暮らしっく不動産編集部です。

おとり物件を出している不動産屋に行くとどうなるのか。2017年11月に実際に行ってみたところ、ネットに載っていた物件はどの店でも「ない」と言われました。メールや電話で「募集中です」「内見できます」と言われていても、です。

一方で、店に行ったあとの接客は思ったより丁寧で、条件に合わせた物件をきちんと探してくれる店もありました。昔のおとり物件とは、やり方が少し変わってきているようです。この記事では、そのときの調査の様子をそのままお伝えします。

おとり物件とは何か、ほかの調査の結果はおとり物件をおとり調査した記事にまとめています。

調査の内容と方法

  • 調べたもの:不動産屋の自社サイトやポータルサイトに載っていた、暮らしっく不動産で契約済みの物件
  • 調べ方:メールでの問い合わせ、電話での問い合わせ、調査員がお客さんとしてお店に行く
  • 時期:2017年11月

どの物件も、実際にはすでに契約が終わり、人が住んでいる部屋です。内見も契約もできません。お店の名前は出さず、A社・B社・C社と書きます。

A社(高田馬場):自社サイトに契約済みの物件

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※写真は高田馬場のイメージ写真です。調査したお店とは関係ありません。

載っていた物件

A社の自社サイトに、暮らしっく不動産で契約済みの物件が載っていました。情報更新日は2017年11月14日、次回更新予定日は11月28日となっていました。

この物件は2017年3月に契約が決まり、今は人が住んでいます。

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とっくに募集が終わっている物件なのに、11月14日に「更新」されています。では、実際にお店に行ってみます。

お店での接客

お店に入ると、名前、住所、希望の間取り、家賃を用紙に書いて待つように言われました。お客さん向けのヒアリングシートのように見えますが、よく見ると「媒介依頼書」と書いてあります。

これは「A社に部屋探しを頼んで契約になったら、仲介手数料を払います」という意味の用紙です。そのことについて、特に説明はありませんでした。

高田馬場の近くで部屋を探している、という設定で担当者と話しました。

調査員:「ネットで気になった物件が2つありまして。〇〇と〇〇です(どちらも暮らしっく不動産の物件)」

担当者:「あぁ、ないですね」

調査員:「えっ?ないんですか?」

担当者:「ネットの情報にはタイムラグがあって、人気の物件はすぐ埋まってしまうんです。データベースも新しいものをどんどん足しているだけなので、古いものが残っているんですよ」

ここまでは、おとり物件のよくあるやり方です。

そのあとは意外と良い接客だった

昔のやり方なら、ここから広告費の高い物件(担当者や会社にボーナスが出る物件)をすすめてくるところです。ところがA社は、予想に反してここからが良かったのです。

  • 駅からの近さを重視するか、設備を重視するか
  • 条件のうち、ゆずれるところはあるか
  • その部屋に何年住む予定か(家賃が安くて設備の少ない部屋に住むと、結局更新せずに引っ越すことが多いため)
  • このエリアなら地下鉄を使わなくても歩いて行ける、といった街の案内

部屋探しで大切なことをきちんと話してくれて、その人に合う物件を真剣に考えてくれました。

初期費用についても聞いてみました。

調査員:「礼金がある・ないで、デメリットはあるんでしょうか?」

担当者:「あくまで傾向ですが、礼金のない物件は、除菌消臭の費用や24時間サポートの加入が必須なことが多いです。家賃が相場より高く設定されていることもあります。どこかで金額が調整されているイメージですね」

これも正しい説明です。礼金なしの物件の注意点は敷金礼金ゼロの記事でもくわしく書いています。

比べて考えますと伝えて、お店を出ました。感じの良いお店でした。接客は良いけれど、集客は昔ながらのおとり物件、といったところでしょうか。

B社(新宿):ポータルサイトに契約済みの物件

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※写真は新宿のイメージ写真です。調査したお店とは関係ありません。

載っていた物件

ポータルサイトに、暮らしっく不動産で契約済みの物件が載っていました。情報更新日は11月22日、次回更新予定日は11月29日です。この物件も2017年3月に募集が終わっていて、人が住んでいます。

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メールで問い合わせると「募集中」

今回はポータルサイトからメールで「物件を内見したい」と問い合わせました。その日の夜に返信がありました。内容をまとめると、次のとおりです。

  • 問い合わせの部屋(高田馬場駅・7.2万円・1K)は今も募集中
  • 人気の部屋なのでなくなるかもしれない。募集があるうちに紹介したい
  • 来店すれば、ネットに載っていない物件も含めて、希望に合う物件をすべて紹介できる

もちろん、この物件はすでに契約が終わっていて人が住んでいるので、内見も契約もできません。

電話をすると「今日は内見できない」

次の日の朝いちばんに電話してみました。

調査員:「内見できるとのことでご連絡しました。高田馬場駅7.2万円のお部屋は、これから内見できますか?」

担当者:「鍵をオーナーさんが持っていることもあって、一度お店に来ていただいて、お客様のことをお聞きして、オーナーさんに話してからの内見になります。スケジュールも立てこんでいるので、今日は難しいです」

くり返しになりますが、この部屋には人が住んでいます(2017年3月に契約済み)。オーナーさんが鍵を持っている、オーナーさんが鍵を開けるといったことはありませんし、募集中のときもそのような内見のやり方ではありませんでした。

C社(池袋):1年以上おとりに使われていた物件

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※写真は池袋のイメージ写真です。調査したお店とは関係ありません。

載っていた物件

ポータルサイトに、暮らしっく不動産で契約済みの物件が載っていました。情報更新日は11月20日、次回更新予定日は11月30日です。この物件は2016年10月から人が住んでいます。1年以上、おとり物件として使われていたようです。

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C社は、同じ建物を家賃だけ変えて載せるやり方もしていました。上の物件は6.8万円、下の物件は7万円です。

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メールも電話も「内見できます」

今回もポータルサイトからメールで「物件を内見したい」と問い合わせました。その日の夜に返信があり、「募集中なので紹介できます」「土日・祝日・平日の夜でも対応できます」「鍵の手配をします」という内容でした。

次の日の朝、電話でも確認しました。

調査員:「〇〇という物件の内見ができるとメールをいただきました。今日の内見はできますか?」

担当者B:「担当者Aがほかのお客様の対応中なので、私が承ります。ご案内できます」

メールでも電話でも「物件はある。内見もできる」とのことだったので、電話の40分後にお店に行きました。

お店に行くと「終わっちゃったみたいですね」

お店では、何人ものスタッフが立ち上がって席まで案内してくれました。担当者Aは別のお客さんの案内があるとのことで、担当者Cが対応してくれました。

A社と同じように、名前、年齢、住所、勤務先、希望の家賃、間取り、希望の設備などを書く用紙を渡されたので、架空の設定を書いて待ちます。条件は、暮らしっく不動産によく問い合わせのある条件にしてみました。

調査員:「昨日の夜にメールで問い合わせて、今朝も電話で確認したら、まだ空いていて内見もできるとのことだったので来ました」

担当者C:「そうでしたか。では、空き状況を確認しますので少々お待ちください」

担当者Cは、ポータルサイトと、不動産屋だけが見られるデータベース(レインズとATBB)を確認していました。契約済みで人が住んでいる物件なので、業者用のデータベースにも物件はありません。

ただ、過去に載っていた記録は見られるので、そこから物件を探し出して、暮らしっく不動産に空き状況を確認する電話をかけてきました。

担当者C:「〇〇という物件で、空いているお部屋はありますか?」

暮らしっく不動産のスタッフ:「今空いているお部屋はありません。半年以上前に募集を終えていますよ」

席に戻ってきた担当者Cとのやりとりです。

担当者C:「〇〇という物件は終わっちゃったみたいですね」

調査員:「えっ?昨日の夜にAさんに確認して、今朝もBさんに確認したら、内見できるというお返事だったのですが」

担当者C:「申し訳ありません。『ある』とお伝えしたのは、金曜日だったかな、その時点での空き状況でのお返事だったと思います」

調査員:「困りましたね。内見したあとに用事を入れていたんですが」

担当者C:「すみません。いただいた条件で、ほかの物件をお探しします」

金曜日どころか、半年以上前に契約が決まっている物件です。

そのまま架空の設定で部屋を探してもらいました。ここでも広告費の高い物件ばかりすすめられるかと思いましたが、そういうことはなく、幅広い物件から紹介が始まりました。ここから先は調査とあまり関係がないので、ここで調査は終わりです。スタッフの方々の深いおじぎに見送られて、お店を出ました。

調査でわかったこと

今もおとり物件はある。ただし、以前よりやり方が巧妙になっている、というのが結論です(2017年11月時点)。

お店 載っていた場所 実際の状況 問い合わせへの返事 お店での対応
A社(高田馬場) 自社サイト 2017年3月に契約済み (直接来店) 「ないですね」。そのあとの接客は丁寧
B社(新宿) ポータルサイト 2017年3月に契約済み メールで「募集中」 電話で「今日は内見できない。まず来店を」
C社(池袋) ポータルサイト 2016年10月から入居者あり メールも電話も「内見できる」 来店すると「終わっちゃったみたい」
  • ネットのおとり広告は今もあり、問い合わせや来店を増やすのに使われている
  • お店に行っても、その物件はないことが多い(お店に来てもらうのが目的のため)
  • 「更新日」が書いてあっても、中身は見直されていないことが多い
  • 今回行ったお店は、来店後はわりとお客さんの立場で部屋を探してくれた
  • おとり物件が載っていたサイトには、おとり物件に注意するよう呼びかける記事も載っていた
  • B社のメールにあった「ランキング」のサイトには、おとり業者を取材した記事も載っていた

おとり物件に引っかからないために

数はかなり減ったとはいえ、おとり物件はゼロではありません。条件が良すぎる物件を探していると、おとり物件に引っかかることもあります。

不動産の情報はだいぶ整ってきましたが、ウソの情報と本当の情報がまだまざっている状態です。ネットだけでなく、お店の看板やチラシも同じです。物件情報はあまりあてにしすぎず、カタログくらいの気持ちで見るのがいいと思います。

今回の調査からいえる、確かめ方の例です。

  • 問い合わせるときは「今日(または〇日)、現地で内見できますか」と具体的に聞く
  • 「まずお店に来てください」と言われ、現地での内見を避けられたら注意する
  • 同じ建物で家賃だけ違う広告がいくつも出ていたら、気をつける
  • 来店して用紙を渡されたら、何の書類か(媒介依頼書など)を確かめてから書く

おとり物件の見分け方はおとり物件の見分け方の記事でくわしく紹介しています。お店で急かされたときの対応は「とりあえず申し込み」の記事も参考にしてください。