こんにちは。暮らしっく不動産の徳留です。

以前に部屋を借りる時は貸す側の心理を考えるといいでしょう。と書いた記事があるのですが、大家さんの気持ちになって探すのはとても大事なこと。賃貸物件には様々な大家さんのスタイルがあります。

契約期間でどれだけの収益を産みだせるのか?

家賃収入は安定しているわけではない

大家さんにとって大事なこと、それはその建物や部屋がどれほどの収益を産みだすのか?というところです。
10部屋貸している大家さんがいたとして、一部屋の家賃が8万円とします。
単純に考えれば10部屋8万円=80万円の収入となるわけですが、それはあくまでも満室であった場合の話。
ちょっと迷惑な住人がいて両隣が引っ越してしまったとなれば月の収入は60万円。その状態が1年続いたとします。

8012ヶ月=960万円
6012ヶ月=720万円

240万円も年間の収入が変わってきます。
例えばローンで住宅を建てた場合、20年で返済しようと思っていた計画があったとしたら、大幅に計画を阻害する要因になりかねません。空室保証制度やサブリースといったシステムもあるのですが、それは借りる側にはそこまで関係のない話なので、また次回にします。

今回覚えておいていただきたいのは、部屋は常に満室なわけではなく、しばしば空室状態になりそれが数ヶ月続くこともしばしばあるということ。
そして家賃を維持して一定の安定した収入を得るのはなかなか大変であるということ。
部屋は、ほうっておいても汚れますし劣化していきます。
特に和室の白木や畳の床は日差しが当たれば日焼けを起こします。
それを綺麗な状態で維持するのもコストがかかりますし、設備が古くなり家賃を下げざるを得ない状況になれば、設備投資やリフォームをして最新の設備にしたりと、他の魅力的な物件に負けないように美しくある努力をせまられるのです。

最初に取るか最後に取るか

そしてもう一つ。広告戦略です。これは大家さんというよりは管理をまかされている管理会社の方針によるかとは思うのですが、礼金をゼロにして初期費用を安くしたい人を集客するのか、築浅のうちに相場よりも少し家賃を高く設定して数年の間に稼いでおくというような方針ですね。そこでよくあるのが


1.初期費用を適正な(相場ぐらい)価格で取り、退去の時も適正な価格を請求
2.初期費用を安くしておいて、退去の時は相場よりも高めを請求


という方法。どちらも契約期間で得られる収入は一緒だとして、そういうお客さんを呼び込みたいのかといった方策の違いですね。
初期費用が安くて入居したのに出て行く時にものすごく請求された。という話はよく聞くもの。
結局、最初に取られるか最後に取られるかという話でトラブルになっているというのもよく聞く話です。

貸し方もいろいろ

持っている土地に賃貸専用住宅

そこのエリアの資産家や名士が持っている土地に賃貸住宅を建てているケースです。
東京でよく聞く話だと、江戸時代に徳川家の家臣として働いていた◯◯さんがこの一帯に土地をもっていて、このへんの賃貸はほとんど◯◯さんの持ち物なんですよー。という話。
不動産収入だけで十分食べていけるなんだか羨ましい話。
ですが、大家さんも管理物件が多ければ色々と悩みは多いようで、あそこの入居者がまた家賃未納。。。や、設備投資が思いの外かかっているとか、悩ましいことも多いんだとか。

賃貸併用住宅

5F建てのような大きな物件を建てて、1Fもしくは4,5Fにオーナーさんが住むタイプの住宅です。
例えば4,5Fにオーナーさんが住み、1,2,3Fを賃貸として貸し出すような形態です。

1,2,3Fの賃貸収入でローンを返済していきます。
人によっては5Fに住んで4F部分も賃貸部分として貸し出し、数年後に息子夫婦が戻ってきたら、賃貸としての使用をやめてリフォームして息子夫婦に住まわせるというような人もいます。老朽化していく建物の修繕費と家賃収入の兼ね合いが難しいところです。

大手のプレハブハウスメーカーがよく提案するやり方です。(工事費(受注額)が高くなるので利益も高い。)

法人資産

法人の資産としてマンションを持っている場合です。
元事務所、元社宅、そのような場所を資産として持っているのですが、事業として使う機会がないので一般開放している場合や、不動産投資用として持っている場合です。
元社宅のような物件ですと、ワンルームの場合、ビジネスホテルにあるような小さな冷蔵庫が設置されていたりすることも多いです。

法人資産だと特に家賃交渉が難しいという現実もあります。
会社の規定として決まっている家賃を稟議書を通す必要があり、多くの人の許可がいるので、なかなか許可がおりません。

自宅を数年貸す

自宅として購入したマンションや建築した戸建てを人に貸し出すパターンです。
多くの場合、仕事の転勤の都合で(いつかは帰ってくるぞという算段のもと)その土地に住めない数年の間を貸し出しているパターンです。こういう場合、定期借家が多かったりします。
戸建てメーカーあるあるですが、自宅を自分の設計で建てると数年以内に全国転勤になるという"あるある話"があります。
単身赴任するのか家族ごと移動するのか悩んだあげく家族で転居。その土地に帰ってくるまでの間、定期借家として貸し出す。というものです。

知り合いにもいますが、いつかは帰ってくるぞ!のいつかがなかなか来ず、定期借家がずーっと続いているケースも多々あるようです。
帰れないから売ろうかな。。。と思った時の住宅の資産価値は驚くほど低いのでもてあましているなんて話もよく聞く話ですね。

家賃が相場よりも安いということは?

家探しは相場感覚が大事ですよ。という話はいつもここのブログで書いているのですが、前述の大家さんの苦労を考えると、相場よりも家賃を無駄に安くするというのはあり得ないわけです。家賃が相場よりも安いということは平均的なものよりも劣る部分があるから家賃が相場よりも安いわけです。物件探しには、相場よりも安い理由が部屋の広さなのか築年数なのか立地なのか設備なのかを見極める目が必要です。

賃貸経営は大家さんと管理会社がきちんと計算した上で行われているのですから、こちらもそれ相応の知識が必要になります。
港区でオートロック、角部屋、日当たり良好、風呂トイレ別、1K、独立洗面台、エアコンつきで5万円なんて物件があったら誰しもが住みたいですよね。もしあったとしたら、それはおとり物件の可能性が高いです。そこに飛びついてはいけないのです。
CMなどでは夢の部屋探し!とうたっている企業が多いですが、不動産業界は思った以上に現実的で泥臭い業界だと思います。

それでは。