こんにちは暮らしっく不動産の門伝です。

今日はときどき聞かれる「掘り出し物件」について書いていきたいと思います。

バーゲンセールのような「掘り出し物件」を狙っている人もいるかと思いますが、一般の人が掘り出し物件を狙って落とすのは現実的にかなり難しいです。
売買、賃貸に分けて「掘り出し物件事情」について書いていきたいと思います。

今日は売買の掘り出し物件のお話です。

1. 掘り出し物件はある!

掘り出し物件はあります。

以前、働いていた不動産でいくつか見ることができました。
一番掘り出しだった物件は、1,000万円はするだろう物件がなんと300万円! 
「掘り出しって本当に存在するんだな」と思いました。

その不動産屋の業務内容は再販業者。 安く不動産を仕入れて、リフォームをし、利益を乗せて売る、という商売。 
いわゆる「買い取り転売」をする業者です。
いろいろな不動産屋とつながっていて、市場に出る前にすごくいい条件の物件情報をもらっていました。
これは不動産業界にかなり精通していないと難しいです。 
ぼくが努めていた不動産屋の社長は若くてとても仕事のできる人でした。 それ故にいろいろなつながりがあり、すごくいい情報を仕入れていました。
これは一般の人には難しいと思います。

そう、掘り出し物件はあるんですが、一般の人がその情報を手にするのはなかなか難しいです。
掘り出し物件はほぼ全部と言っていいほど、不動産業者が買っていきます。

また仮に一般の人が同じ情報を手にすることが出来ても、不動産業者の買うまでのスピードには勝てないと思います。
不動産を買うまでの流れは結構いろいろと手続きがあります。

  1. 買付け申込み
  2. 価格の調整
  3. 契約書作成(調査など)
  4. 契約
  5. 引き渡し(支払いと登記申請)

不動産購入の簡単な流れはこのようになります。

掘り出し物件には「安くても早く売りたい(現金化したい)」という事情がついているケースも多いです。
このような事情もあり、早く買わないと話が流れてしまいます。

300万円だった掘り出し物件は、1週間で引き渡しまで終わっていました。
この取引スピードは不動産のプロがお互いに協力して取引を成立させるパワーが働かないとなかなか難しいです。

掘り出し物件存在するけど、一般の人にその情報はまず降りてこない、これが実情といったところです。

2. 掘り出し物件風? 安い物件

2-1. 再建築不可

「掘り出し物件を探す!」といき込んで探してる人が初めに陥る罠が「再建築不可」の物件です。

例えばこの物件。

掘り出し物件 再建築不可

諸事情によりほぼモザイクですが、価格は888万円。 坪単価33.5万円。
この辺りの相場は、坪単価139万円です。
(国土交通省レインズ、ATBBの直近5年のデータ 暮らし不動産調べ)

数字だけをみると掘り出し物件ですが、不動産は数字だけで判断するもではありません。 
条件が大切です。

この物件の備考欄をみてみましょう。

再建築不可 図面 備考欄

「再建築不可」とあります。 
再建築不可とは、今建っている建物の代わりに新しく建物を建てることができません。
建築基準法という建物を建てる時のルールがあるのですが、それに適合していないと日本では建物が建てられないのです。
この物件(土地)は、建築基準法に適合していないために再建築不可となっています。

再建築不可の多くの理由は「接道義務」の要件に合わないためです。
道路に2m以上接していないと接道義務をクリアできません。 
(接道義務は別で詳しく説明します)

別の図面になりますが、このような場合が接道義務を果たしていない再建築不可の物件(土地)です。

再建築不可 接道義務違反

道に約0.8mしか接道していません。
「公道に2m以上接道」という要件が満たないので、再建築不可となります。

再建築不可 図面 備考欄


更にもう少し詳しくみると「建物の傾きあり」とあります。
安いですけど不良物件。 
この物件はそのようなことから、市場価格より75%ほど安い物件となっています。

2-2. 土地の所有権がない

土地の所有権が持てない「定期借地」などの物件も安い価格で売りに出ています。

例えば、渋谷区神宮前1丁目にあるパークコート神宮前というマンション。

定期借地権 

赤枠のところ「土地の所有権」がどうなっているかみてみましょう。

この物件では「定期借地権」とあります。
これはある期間、お金を払って地主から土地を借りる権利、ということです。
期限がきたら、返却か更新をします。 更新する時は更新料が発生します。

「不動産って買ったら自分のものでしょ?」と思っている人も多いと思いますが、こういう変わった権利も存在します。

以前、借地権のマンションを知らないで買ってしまったというお客様がいました。
知らないで買うというのはなかなか考えにくいことですが、その時の不動産屋がうまくごまかして契約したのだと思います。
結局、所有権のあるマンションへの買い替えができましたが、「知らなくて安いから」という理由で深く考えずに買ってう人もいるんだなと思いました。

さいごに

掘り出し物件をずっと探すのははっきり言って難しいです。
「相場より少し割安な物件」「相場だけど条件がいい物件」を探す方が現実的です。

また物件探しも大切ですが、買う準備も同じくらいに大切です。
せっかく良い物件があっても、買う準備が出来ていないと取り逃がしてしまいます。(住宅ローンの事前審査が出来ていないなど)

地道に、現実的にが一番です。

今日はこのあたりで。