こんにちは。暮らしっく不動産の徳留です。

日々、ブログを更新していますがネタ探しも大変です。
取材系、体験記、データに基づく調査や分析もの、世間のニュースネタ等、様々な切り口でブログを書いています。素材を集めて記事を書くわけですが、どのような構成にするかは悩ましいところ。

今日は土地の購入に関するお話です。

土地購入を考えている場合はまずは国土交通省のサイトを

土地の購入を考えている人は最初に何をしますか?いきなり不動産屋のサイトを見て、いい場所を探している人が多いのではないでしょうか。
それは勉強しないでテストを受けるようなもの。
きちんと相場感覚や予備知識を持って臨んだほうがいい結果が出るのはあきらかです。

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国土交通省のサイトには不動産取引価格情報検索ページがあります。

http://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet

相場を知りたい場所の青い四角部分を押すと下記の写真のように取引データが何件あるか表示されます。

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さらに詳細表示をクリックするとより細かな情報を見ることができます。

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場所が特定できない範囲で実際にあった取引のデータを掲載しています。
アンケートに基づく結果なので一般的に書かれている平均相場よりもリアルな情報を得ることができます。上記の高田馬場の例でいえば坪単価120万円から260万円とかなりの開きがありますね。

土地の要素によって値段は変わる

同じエリアと言っても土地の条件や要素によって坪単価は大きく変わります。

土地の形

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このように綺麗な形をした土地はなかなかありませんが、理想的なのはこのように正方形や長方形の土地ですね。多くのプレハブ住宅メーカーなどでも建てることができるので人気が高いです。

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上記の図のように使えない(使いづらい)部分が多そうだったり、土地に合わせて複雑なシルエットになり建築費がかかりそうな土地というのは安くなる傾向があります。

道路に何m接しているか

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土地を買って住宅を建てようとする場合、前面道路に2m以上接している必要があります。
これは万が一の時に消防車が入れるようにするための防火の観点からです。

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このように2m未満だと建物を建築することができません。
既存の家がある場合でも建て直しができないのでリフォームするしか方法がありません。
いわゆる「再建築不可」というわれる物件がこれです。
こういう土地は安くなる傾向にあります。
しかし入り口が狭いということは工事用のトラックが入らず資材を手運びしないといけないので工事費は割高になる傾向があるということも付け加えておきます。

建ぺい率や用途地域

その土地の建ぺい率も大きく値段に影響してきます。

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都市計画で用途地域毎に30% - 80%の範囲で制限が定められている建ぺい率。
上記の高田馬場の例でいえば60%となっているので50坪の土地であれば30坪の建築面積までなら可能ですという意味ですね。ただし建ぺい率の緩和要件がとれる場合もあります。角地だったり、防火地域だったりすると緩和されます。うまくいけば100%という場合もありえるのです。

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例えば15坪の土地で建ぺい率が60%だった場合、建てられるのは9坪。
9坪=29.75m2

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これはとある物件の間取り図。
30m2で取れる間取りはこのような感じ。これの3F建てで考えてみます。
1Fに駐車場とお風呂、階段
2Fにダイニング、キッチン、階段
3Fに居室2部屋、階段
スペースが取れてもこれぐらいかなと思います。

こう考えると家族三人で住むには狭すぎますね。せっかく家を建てるのにかなり狭い。
こうなると土地の値段は安くなります。実際にどんな家が建てられるかが考えられたうえでの価格に設定されているのです。

道路種別

道路には種別があります。国道、都道、県道、市道、区道、私道とたくさんの種類があります。
土地に接続している道路がどのような種別になっているのかで値段がことなります。
自治体系の道路であれば何の問題もないのですが、気をつけたいのが私道です。

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上記のように6つに分けられた土地があったとします。緑色の部分を自分の土地だと思ってください。
再建築をするには前面道路に2m以上接している必要があるので、この6世帯で話し合った結果、少しずつ自分の土地を提供して道路にすることにしました。
それが赤色の部分と仮定します。6つの世帯の同意と協力があったからこそ道路として認められたようなものですね。

ところが世代が変わり、偏屈親父がいたとします。

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建て替えは工事の音がうるさいので困る!道路の使用マナーが悪いので人を歩かせたくない!
と色々と理由をつけて揉めるケースというのがあります。
水道管やガス管といった付帯設備は前面の区道や都道には来ているのですが、自宅まで引き込むには他の家の土地の下を掘り返さないといけないので許可が必要です。

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このように区道まで伸びている水道管やガス管(付帯設備と呼ばれるもの)を自宅まで引き込もうとするには許可がいるのですが、偏屈親父がいると許可がおりないので交渉が難航したり工事が進まなかったりします。

こういう揉めている状況がある場合、面倒な土地ということで土地の価格が安くなっていることがあります。私道が含まれている土地の場合、図面や広告のなかに「私道負担あり」とか「私道負担○○m2」と書いてあることが多いです。

何も問題が起きていなければお得に手に入れられる好条件なのですが、上記のようなそれなりのリスクもあります。ある意味諸刃の刃的な土地です。

相場と傾向を知っておくべき

説明してきたように複合的な要素がからまって土地の値段は決まっていきます。
なんとなくで決めているわけではありません。この土地は揉めるなとか、実際建築する時には建てられる建物に制限がでるなetc

そういうのを見越したうえでの価格なのです。相場よりも極端に安い土地というのは何らかの理由があると疑うのが定石です。

ぼくが住宅屋だった頃にも色々とお客様からエピソードを聞いています。
土地を掘ったら江戸時代のお墓が出てきてお祓いしてから家を建てたとか、地盤が弱くて杭打ちが必要になりその分のお金が余計にかかったとか、何も考えないで先に土地を買ったんだけど、どこのメーカーでも建築を断られたとか(土地が狭すぎてプレハブメーカーの建築様式では無理)etc

土地にまつわるエピソードやトラブル、悩み事はいつの時代にもあり人々を悩ませています。
もし家を建てるために土地購入を考えているのであれば、まずは情報収集。国土交通省の土地情報を見て相場感覚やどれぐらいの土地が売りに出たのかということを考えてみましょう。

それでは。