「問題が多いアパートがあり困っている」ということで、大家さんより相談を受けました。

「夢の賃貸経営!」などとかなり誇張する宣伝も見受けられますが、賃貸経営はそんなに良いことばかりでもありません。
必ずと言っていいほど何かしらの大小数々のトラブルは生じます。

以前の管理会社の対応がよくなかったということで、ご相談をいただきました。
トラブル事例と解決方法をお紹介していきます。

<2014年2月2日にラインズマンで書いた記事を移動しました>

賃貸管理 トラブル内容

  1. 契約書のトラブル。 オーナーチェンジが何度か有り、契約書がバラバラ。
  2. 生活保護受給者が入居していて、何かと問題が多い。
  3. 更新料が回収できない
  4. 契約のトラブル。 事務所使用の契約をされていて困っている。
  5. 騒音問題トラブル。 上下の入居者が揉めている。


このようなトラブルを抱えているとのご相談内容でした。

生活保護者の家賃滞納トラブル

トラブル事例の前によく相談を受ける「生活保護受給者の家賃滞納トラブル」について、少し紹介しておこうと思います。

通常は、生活保護受給額の中から「本人が直接支払う」ということになっています。
しかし生活費の関係などで、滞納してしまう人なども出てきます。

度重なる家賃滞納などについて対応するために、代理納付という制度があります。
これは家賃を直接、区(市)などが支払ってくれるという制度です。

代理納付については、原則、度重なる滞納がある場合のみの対応となっているようです。
登録については、各地域によって異なります。

この代理納付ですが、すべての地域が行っているわけではないという、話もあります。
弊社が管理している物件に新宿区、豊島区がありますが、こちらは代理納付を行っています。
(生活保護住宅扶助代理納付というキーワードで検索するとホームページで説明している自治体もありますので、詳しくはそちらでお調べ下さい。)

弊社の場合、少しでも滞納などが見られた場合は、代理納付に切り替える手続きを行っております。



代理納付の場合 回収できる金額

代理納付の場合は、賃料のみが回収の対象になります。
賃料50,000円 管理費3,000円 となっている場合は、賃料の50,000円のみが代理納付の対象になります。


生活保護 住宅扶助 

住宅扶助(じゅうたくふじょ)とは、生活保護制度で定められている生活保護の8種類のうちの一つである。

生活保護制度の受給が決定した対象者が居宅するために必要な敷金礼金等の入居前の準備金は元より、家賃・間代・地代等の支払い、更に更新時の費用が生じた際、家屋の改修や補修、その他住宅を維持する必要があるときに行われる扶助である。

その基準は級地制度で定められた各地方自治体毎の比率を上限として原則として金銭をもって支給される。

地域により基準額が定められており、最大基準額=(基準額の1.3倍)まで扶助される。

東京(2014年現在 暮らし不動産 調べ)

1,2級地  53,700円

3等地    40,900円 

1. 契約書のトラブル。 オーナーチェンジが何度か有り、契約書がバラバラ。

問題解決の前に、必ずと契約書を確認させて頂いております。

「契約違反!」だと貸主が思っても、契約書に記載がなければ逆に問題が生じる場合があります。
問題解決の第一歩として、契約内容を把握していおくことは大切です。

契約書は、基本的な形があるものの、不動産会社にその内容は少しづつ異なります。また物件によって盛り込む内容は変わってきます。
また作成した担当者によっても変わってきます。

4つの契約があるアパートでしたが、4つとも異なる契約書でした。
今回のケースの問題箇所は以下のとおり。

1-1. 古い書式の契約書で責任の所在が曖昧

昔から営業している不動産会社で契約をしているケースでよく見受けられます。
このような場合は、契約書を作り直して更新時などに新しい契約として賃貸借契約を結び直します。
今回は、ちょうど更新のタイミングの契約者がいましたので、契約書を作り直して更新して頂きました。

生活保護受給者の場合は、高齢者の方も多く、そのまま孤独死になる事例も増えてきています。
この場合の対処なども考え、契約書を整えておく必要があります。



1-2. 連帯保証人が設定されていない

見直していく中で、「連帯保証人が設定されていない」「緊急連絡先が分からない」という問題が見つかりました。
このような場合は、すぐに明確にする必要があります。

今回のケースは、生活保護受給者ということで、該当地域のケースワーカー担当者、本人の知人の連絡先の確認を行いました。

2. 生活保護受給者が入居していて、何かと問題が多い。

生活保護受給者のトラブル事例は数多くあります。 
今日現在も別で2件の相談を頂いておりますが、いずれも賃料支払いをの遅れなどです。

この場合は、担当のケースワーカーとまず連絡を取ります。
問い合わせ先は、地域を所管する福祉事務所の生活保護担当です。福祉事務所は、市(区)部では市(区)が、町村部では都道府県が設置しています。

大家さん、不動産管理会社だけでは、対応が難しいケースもありますので、この辺りは担当のケースワーカーと連携しトラブルを解決していくのが遠回りですが確実です。

3. 更新料が回収ができない

更新料については、明確な法律での規定もないため回収が難しくなるケースもあります。
このために前項1でもご紹介した、しっかりとした契約が必要になります。

今回のケースは、生活保護受給者でのケース。
「生活保護の人だから更新料が回収が不安・・・」と大家さんのお話でした。

生活保護受給者の場合は、通常の受給額とは別枠で賃貸の更新料が設定されている場合があります。
きちんと管轄の福祉事務所へ話しをすれば、更新料は請求できます。 
弊社が担当する地域では、別枠での設定でしたのですぐにお支払いいただくことが出来ました。
(すべての地域では確認していません。福祉事務所にお問いわせ下さい。)

この辺りは、該当地域の福祉事務所のルールの把握が大切になります。

4. 契約のトラブル。 事務所使用の契約をされていて困っている。 

今回のケースで一番驚いたのが、このトラブルでした。
以前管理していた不動産会社の代表が電話で直々「大丈夫ですから!」ということで決定したという契約。 
詳細な内容は控えさせて頂きますが「性風俗店の事務所」として契約をされていました。
契約書は、分からないようにするためか居住用物件の仕様のもの。 事務所の契約には必要のない「東京都賃貸住宅紛争防止条例」も結ばれていました。
これでは大家さんは何の契約か分かりません。
契約書を見直すといろいろな問題が見つかりました。
◯万円以下ドットなんとか・・という比較的有名な不動産会社の契約との話でしたが、とてもひどい契約内容でした。

「契約内容はしかりと確認すること」「不動産会社、担当者の口約束は信用しない」
この2点は、相談にお越しになる方へ必ずお伝えします。

この件に関しては、契約書の問題点、今後予想されるトラブルへの対処方法をなどを考えお伝えしました。
不動産会社だからといってどこでも良い契約書を作ってくれるとは限りません。 
ラインズマンでは、このような契約書の見直しも行っています。

この件に関して現在解決に向け進行中です。
 

5. 騒音問題トラブル。 上下の入居者が揉めている。

賃貸の騒音トラブルは問題解決が非常に難しい場合もあります。
どの程度の音から騒音になるのかは、その本人次第でもあります。

弊社では実際に現場へ行き、直接話し合いを行います。
実際にそれぞれの室内を拝見、騒音シュミレーションなどを行い「本当に騒音問題があるのか」というところから、問題を解決していきます。

今回のケースは、隣人の過敏な反応ということが判明。
すぐに双方納得いく解決とはいきませんが。少しづつ解決へ向け進んでいます。

人の感情が絡むものは、しっかり納得した形に収まるよう時間をかけて解決していきます。

難しいトラブルは「地味に、ゆっくりと」

賃貸はいろいろな人の生活の中で起こる様々な問題がおこります。
すぐに解決できるものもあれば、時間をかけて行わないと解決しない問題もあります。


特に難しいトラブルは人が絡んでいることもあり、簡単にはいきません。
大手管理会社は「家賃保証」「すべてのトラブルを保証!安心」と大々的に宣伝を行いますが、大抵は電話対応のみだったり、対応が遅い場合が多いようです。
「対応に不満がある」「思ったものと違った」ということで、ご相談いただくケースも多いです。
今回のケースでは、不動産会社の契約の不備がトラブルになっているという事例もありました。
難しいトラブルは、しっかり納得した形で解決できるように「地味に、ゆっくりと」、そして丁寧に行うことが大切です。