結論:賃貸では石油ファンヒーター・石油ストーブを禁止する物件が多いです。契約書に書いていなくても、使えるとは限りません。
なぜ重要か:こっそり使っても、においやポリタンク、退去時のすすで気づかれやすく、火事では保険がおりないおそれもあります。
次にすべきこと:
- 禁止事項・特約で「石油」「火気」を探す
- なければ使う前に管理会社に聞き、メールで残す
こんにちは。暮らしっく不動産の徳留です。
寒くなってくると使いたくなるのが暖房器具です。こたつ、エアコン、電気ストーブなど、いろいろな暖房器具がありますが、皆さんはどんなものを使っていますか。

これからの季節は、こたつで食べる鍋が最高ですね。
ところで、実家で石油ファンヒーターや石油ストーブを使っていた方は、「一人暮らしの部屋でも使いたい」と思うかもしれません。この記事では、賃貸で石油の暖房器具が使えるのか、契約書のどこを見ればいいのか、使えないときはどんな暖房を選べばいいのかをまとめます。
目次
賃貸では石油ファンヒーター・石油ストーブは禁止が多い
実は、賃貸物件では石油ストーブや石油ファンヒーターの使用を禁止しているところが多いです。上の写真のように、契約書の禁止事項として書かれていることがあります。
石油の暖房器具はとても暖かく、冬の風物詩ともいえるものです。とても魅力的な機器ですが、なぜ賃貸では禁止されることが多いのでしょうか。
石油ストーブと石油ファンヒーターの違い
どちらも灯油を燃やして暖める器具です。違いは暖め方です。
- 石油ストーブ:燃える熱で、まわりを直接暖めます。電気を使わない型が多く、上でやかんを沸かせるものもあります
- 石油ファンヒーター:電気でファンを回し、燃やした熱を温風にして部屋に送ります。コンセントが必要です
しくみは違っても、灯油を部屋に置いて、部屋の中で燃やす点は同じです。そのため、契約書では両方まとめて禁止されていることがほとんどです。「ファンヒーターなら火が見えないから大丈夫」ということにはなりません。
禁止されている理由
理由1:火事の危険がある
燃料に灯油を使うので、灯油を部屋のどこかに置いておかなければいけません。灯油はもちろん燃えやすいものです。
集合住宅では、一つの部屋の火事がほかの部屋にも広がるおそれがあります。大家さんとしては、そのようなリスクは負いたくありません。
理由2:一酸化炭素中毒の危険がある
石油の暖房器具は、燃料を燃やして部屋を暖めるしくみです。ものが燃えると二酸化炭素が出ます。酸素が足りない状態で燃えると、一酸化炭素が出ます。
昔の木造の家のように、すき間が多く、いつも空気が入れかわっているような建物ならまだしも、最近の建物は気密性・断熱性が高くなっています。燃えたあとの悪い空気が、部屋の中にたまりやすいのです。
一酸化炭素中毒は、命にかかわることもあります。入居者の安全を守るために禁止している、という理由もあります。
理由3:すすやにおいが部屋に残る
燃焼式の暖房器具を使うと、壁や天井、カーテンなどにすすや汚れ、においがつくことがあります。燃やすときに水蒸気も出るので、窓の結露が増えることもあります。
こうした汚れやにおいは、退去するときに問題になりやすいところです。禁止されている器具を使ってついた汚れは、借りた人の負担で直すよう求められるおそれがあります。退去費用の考え方は退去費用の記事を参考にしてください。
こっそり使うとどうなる?おすすめしない理由
「少しだけなら」「ばれなければ」と考える方もいるかもしれません。でも、こっそり使うのはおすすめしません。
契約書に禁止事項として書かれているのに使って、万が一火事などが起きた場合、契約違反になるので保険がおりないおそれもあるです。
- 火事やけが:自分の部屋だけでなく、ほかの部屋や建物にも被害が広がると、責任を問われるおそれがあります
- 保険:契約違反があると、入居時に入った保険の補償を受けられないおそれがあります。補償の中身は賃貸の保険の記事で説明しています
- すす・におい:退去のときに、クリーニングや張り替えの費用を求められるおそれがあります
- 近所とのトラブル:灯油のにおいや、ポリタンクを置いている場所から、ほかの入居者や管理会社に気づかれることもあります
貸す側にとっても、借りる側にとっても、リスクが大きいと思います。
こっそり使っても気づかれやすいきっかけ
「部屋の中のことだからわからない」と思うかもしれません。でも、石油の暖房器具は、使っているあとが残りやすい器具です。
- 灯油のにおい:給油のときや、火をつけたり消したりするときのにおいは、廊下や隣の部屋まで届くことがあります
- ポリタンクと灯油の買い出し:ベランダや玄関に置いたポリタンク、灯油を運ぶ姿は、ほかの入居者の目に入ります
- 点検や修理で部屋に入るとき:設備の点検や修理で、管理会社や業者さんが部屋に入ることがあります
- 退去のときの立ち会い:壁や天井のすす、においは、立ち会いで部屋を見ればわかります。結露によるカビやシミも同じです
使っている間は気づかれなくても、退去のときに見つかって、クリーニングや張り替えの費用を求められるおそれがあります。
契約書のどこに書いてある?
石油の暖房器具が使えるかどうかは、契約書類を見て確かめます。書いてある場所は物件や管理会社によって違いますが、次のような欄を見てみてください。
- 禁止事項・禁止行為の欄:「石油ストーブ」「石油ファンヒーター」「火気の使用」「危険物の持ち込み」といった言葉で書かれていることがあります
- 特約の欄:その物件だけのルールとして、契約書の最後のほうに書かれていることがあります
- 使用細則・入居のしおり:契約書とは別の紙に、建物の使い方のルールとしてまとめられていることがあります
- 重要事項説明書:契約の前の説明で、使い方の制限として書かれていることがあります。読み方は重要事項説明書の記事をどうぞ
「石油」という言葉がなくても、「火気」「危険物」「燃焼式の暖房器具」などの書き方で禁止されていることもあります。迷ったら、自分で判断しないで確認しましょう。
契約書を電子データで受け取った場合は、「石油」「灯油」「火気」「暖房」「危険物」の言葉で検索すると、すぐに探せます。紙の契約書なら、まず禁止事項と特約の欄から読むのが早いです。分譲マンションの一室を借りている場合は、建物全体のルール(管理規約や使用細則)で決められていることもあるので、そちらも見てください。
契約書に書いていないときは管理会社に聞く
契約書を読んでも書いていない、書き方があいまいでわからない、ということもあります。そんなときは、使う前に管理会社(または仲介の不動産屋さん)に聞いてください。
聞くときは、次のように具体的に伝えるとわかりやすいです。
「冬に石油ファンヒーター(または石油ストーブ)を使いたいのですが、この部屋で使ってもよいでしょうか。契約書には見当たらなかったので確認させてください。」
答えは、あとで見返せるようにメールなどで残しておくと安心です。「書いていないから使っていい」とは限らないので、必ず確認してから使いましょう。
部屋探しの段階で石油の暖房器具を使いたいとわかっている方は、申し込む前に聞いておくのがおすすめです。
「書いていない=使ってよい」とは限らない理由
契約書は、すべての器具を一つずつ書いているわけではありません。「火気の使用」「ほかの入居者に迷惑をかける行為」のように、広い言葉で決めていることがあります。この書き方に、石油の暖房器具が入ると考える管理会社もあります。
また、契約書とは別の紙(使用細則・入居のしおり)や、建物全体のルールで決まっていることもあります。契約書の本文だけを見て「書いていないから大丈夫」と決めるのは危ないので、必ず聞いてから使いましょう。
使ってよいと言われたときに守りたいこと
管理会社から使ってよいと言われた場合も、安全に使うための基本は守りましょう。
- こまめに換気する(窓を少し開ける、換気扇を回すなど)
- 給油は、必ず火を消してから。給油のあとはタンクのふたがしっかり閉まっているか確かめる
- 灯油とガソリンを取り違えないよう、別々の場所に置く
- カーテンや布団、洗濯物など、燃えやすいものの近くで使わない
- 寝るときや出かけるときは消す
- 灯油やポリタンクの置き場所を、管理会社に確認しておく(廊下などの共用部分に置かない)
石油の暖房器具が使えないときの暖房
石油の暖房器具が使えなくても、暖かく過ごす方法はあります。よく使われる暖房器具を比べてみます。
| 暖房器具 | よいところ | 気をつけること |
|---|---|---|
| エアコン | 部屋に最初からついていることが多い。部屋全体を暖められる | 空気が乾燥しやすい。足元が暖まりにくいことがある |
| オイルヒーター | 火を使わず、空気を汚さない。音が静か | 暖まるまで時間がかかる。電気代が高くなりやすい |
| 電気ストーブ・セラミックヒーター | すぐ暖かくなる。持ち運びしやすい | 近くに燃えやすいものを置かない。広い部屋全体を暖めるのは苦手 |
| こたつ | 体を直接暖められる。一人暮らしの部屋でも使いやすい | 置くスペースが必要。こたつから出られなくなる |
| ホットカーペット・電気毛布 | 足元や体をピンポイントで暖められる | 部屋の空気は暖まらない。ほかの暖房と組み合わせて使う |
電気の暖房器具は、電気をたくさん使うものが多いです。エアコンと電気ストーブ、電子レンジなどを同時に使うと、ブレーカーが落ちることがあります。部屋の契約アンペアと家電の組み合わせは家電のアンペア早見表の記事で確かめてください。
電気の暖房器具でも、火事にならないとは限りません。洗濯物や布団、カーテンの近くで使わない、寝るときや出かけるときは消す、といった基本は守りましょう。
暖房とあわせて、窓のすきま風を防ぐすきまテープの貼り方も試してみてください。
部屋探しのときに確かめておきたいこと
冬の暖房が気になる方は、内見や申し込みの前に、次のことも確かめておくと安心です。
- エアコンがついているか、暖房が使えるか
- エアコンがない部屋に、自分でつけてもよいか
- 石油の暖房器具やガスの暖房器具が使えるか(使いたい場合)
- コンセントの位置と数、契約アンペア
エアコンを自分でつけてよいかどうかも、物件や管理会社によって違うので確認してください。
よくある質問
契約書に「石油ストーブ禁止」としか書いていません。ファンヒーターなら使えますか?
使えないと考えたほうが安全です。どちらも灯油を部屋で燃やす器具なので、同じ理由で禁止されていることがほとんどです。どうしても使いたいときは、管理会社に確認してください。
契約書のどこにも書いていません。使ってもいいですか?
書いていないからといって、使ってよいとは限りません。「火気」など広い言葉で禁止していたり、別の紙のルールで決まっていたりすることがあります。使う前に管理会社に聞いて、答えをメールなどで残しておきましょう。
少しの時間だけなら、こっそり使ってもばれませんか?
短い時間でも、においやポリタンク、すすで気づかれることがあります。禁止されているのに使えば契約違反です。火事が起きたときは、責任を問われたり保険がおりなかったりするおそれもあります。使える暖房に切りかえてください。
ガスファンヒーターなら使えますか?
物件や管理会社によって違います。部屋にガス栓(ガスの差しこみ口)があるかどうかも物件しだいです。使いたい場合は、契約書を見たうえで管理会社に確認してください。
石油の暖房器具を使っていたら、退去のときに何を請求されますか?
禁止されている器具を使ってついたすすやにおいは、借りた人の負担で直すよう求められるおそれがあります。たとえば、壁紙の張り替えやクリーニングの費用です。退去費用の考え方は退去費用の記事で説明しています。
さいごに
石油ストーブの上で焼くお餅や、沸いたやかんから出る湯気には風情がありますが、それは戸建てを建ててからのお楽しみ、といったところでしょうか。
契約の内容を守って、暖かな冬をお過ごしください。
