こんにちは暮らしっく不動産の門伝です。

この度、友人がバーをオープンすることになり、いろいろとお手伝いをしました。
バーは飲食店に該当するため、いろいろと手続きが大変です。

今回はあまり語られることのない、深夜営業の許可について書いていきたいと思います。

目次

1. 深夜酒類提供飲食店営業開始届とは?

飲食店で深夜営業をする場合、深夜酒類提供飲食店営業開始届という届け出を、警察署へ出さないといけません。
いわゆる「深夜営業」というやつです。 


  • 深夜0時以降も営業する場合
  • 主にお酒を提供する場合

これに当たる飲食店は届け出が必要になります。

2. 届け出は難易度が高い!

「書類書けばいいんでしょ。」と軽く思っている人も多いようですが、この届け出は非常に難易度が高いです。
ほとんどの人は行政書士などに頼むとのこと。

素人でも出来なくはないらしいですが、なかなかOKをもらえないとのこと。
「素人がやると、4、5回は再提出してますよ。」と、警察署の担当者の人は話していました。

難しいんです。

一般的には行政書士などに頼むことが多いようです。

3. 用途地域の確認

申請のその前に。

まずは用途地域を確認しましょう。
エリアによっては、NGな用途地域が決まっています。

ちなみに渋谷区は、住居地域系は不可となっています。

そもそもNGな場所では深夜営業できません。

4. 必要書類

さて用途地域が問題なく、自分で申請する場合の必要書類の例です。

  1. 開始届出書 ※様式第47号
  2. 営業の方法 ※様式48号
  3. メニュー表のコピー(酒類のみ)
  4. 申請場所周辺地図
  5. ビル入居概略図
  6. 平面図
    (①配置 ②営業所求積図 ③客室求積図 ④照明、音響配置図)
  7. 賃貸借契約書のコピー
  8. 使用承諾書
  9. 飲食店営業許可証のコピー

その他

  • 委任状(申請代理人等が申請する場合)

このような書類が必要になります。

これらの書類の原本1部と控え1部、合計2部が必要になります。

それでは各書類について解説していきます!

5. 開始届出書 ※様式第47号

開始届出書は様式は決まっています。
様式第47号と言われるもので、警視庁のHPにあります。(別記様式第48号という書類です)

開始届出書 ※様式第47号(警視庁のHP)
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/tetsuzuki/fuzoku/shinsei_fuei.files/103_47.pdf

一見簡単そうな届出書に見えるのですが、これが結構曲者です。
(私たちもこの書類はNG出ました)

ポイントは言われたとおりに書くこと。
これがポイントです。

5-1. 年号は和暦で! 

年号は和暦で指定があります。
西暦で書くとNGで、訂正印もしくは書き直しで後日再提出となります。

そろそろ平成も終わりそうだし、西暦の方が便利だとは思うので「絶対和暦」だそうです。

ちなみに住民票を取ったりする役所などは、どちらでもOKなところ多いです。

Sample 
✕ 2017年10月1日
◯ 平成29年10月1日

5-2. 氏名と住所

謄本と同じ内容で書くことを求められています。
同じく提出する履歴事項全部証明事項と同じに書きます。

ふりがなは、ひらがなです。

住所は、丁目、番、号で書かないとNGです。
また丁目の数字は漢字です。

Sample
✕ 東京都新宿区高田馬場3-16-2
◯ 東京都新宿区高田馬場三丁目16番2号

どっちでも分かるでしょ!と思うのですが、警察フォーマットなので致し方ないところです。

5-3. 営業の名称

お店の名前、店舗名です。
英語表記の場合は英語で、カタカナ表記であればカタカナで。
そのままで書きます。

こちらもふりがなは、ひらがなです。

5-4. 営業所の所在地

先程の住所と同じです。


住所は、丁目、番、号で書かないとNGです。
また丁目の数字は漢字です。

Sample
✕ 東京都新宿区高田馬場3-16-2
◯ 東京都新宿区高田馬場三丁目16番2号

5-5. 建物の構造

こちらは「賃貸借契約書等を参考に」ということになっています。

契約書、または重要事項の説明書に「構造」という部分があるのでその通りに書きましょう。

今回の例では、「鉄筋コンクリート造地上3階建て」とあったのでそのままを記載。

ちなみに不動産登記の情報と少し違って書かれることもありますが、この届出はあくまで「契約書にまま」で書くことです。
不動産知識で考えると「登記の情報が正しい」と思いがちですが、ここはあくまで警察ルール。
契約書のままに書きましょう。

5-6. 客室数、客席の面積について

客室とは、お客様が飲食する場所です。 

ちなみに今回のサンプルとなるお店の客室はこちら。

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バーです。
AとBのところが飲食スペース、いわゆる客室です。
これは求積図のため点々で分かれていますが、1つのスペースです。

客室数

今回は1スペースなので、1と書きます。

客席の総床面積

求積図のAとBを足したものが総面積。
今回は、11.69m²となります。

各室の総面積

客室が1つでも書く必要があります。
今回のサンプルでは、11.69m²と書きます。

5-7. 証明設備、音響設備、防音設備

通常ここに収まりきらないことが多いので、別紙参照としました。(今回うちが提出した場合では大丈夫でした)

ここは各警察署の窓口でも対応は違うと思うので確認しておきましょう。

5-8. その他

出入口、非常口、仕切り、設備などを書く欄です。

例えばこのような形で記載します。

出入口数 1
設備 別紙参照
間仕切り 1

6. 営業の方法 ※様式48号

次は48号様式の書類です。
47号を乗り越えれば大したことなないと思います。
基本的には、47号の書類と同じ考えで書けば大丈夫です。

ここはポイントを絞っての解説とします。

6-1. 営業所の名称、所在地

これは先程の47号の書類で書いたとおりです。
所在地、住所の間違いに注意しましょう!

◯丁目△番✕号という形で書かないとNG出ます。

Sample

✕ 東京都新宿区高田馬場3-16-2
◯ 東京都新宿区高田馬場三丁目16番2号

47の書類と考え方は同じです。

6-2. 飲食物、酒類の提供

警察署で目で注意しているポイントのようです。
特にお酒の提供方法は聞かれますので、きちんと書いておきましょう。

提供する飲食物の種類及び提供の方法

どのような食べ物を、どうやって提供しますか?という質問です。

例えば

焼きそばと乾き物を、お客様の注文に応じて提供する。

このような書き方です。

提供する酒類の種類及び提供の方法

どんなお酒を、どのようにお酒を提供するのか回答しなくてはなりません。

例えば

ビールとカクテル等をカウンターで提供する。

このような書き方です。

7. メニュー表のコピー(酒類のみ)

お酒のメニューをコピーして用意しましょう。
まだメニューを作っていない場合は、提供予定のものを簡単に作りましょう。

8. 申請場所地図

グーグルマップを印刷したもので大丈夫でした。

最寄りの駅など分かるようんな範囲で印刷すると良いでしょう。

ここは簡単ですね。

9. 入居概略図

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必要書類の中には入居概略図というものがあります。
これは申請する店舗が入るビルの中にどのようなお店が入っており、どこが出入り口なのかというのを説明した書類です。
事前に現地でどのような店舗があるかを確認しておきましょう。
また、店舗の入り口や階段の位置、道路付けも確認のうえ書くようにしましょう。

10. 平面図のポイント

営業所や客室が何平方メートルなのかを明確にするのがポイント!
警察署に提出する書類の中で"平面図"というものがあります。
お店(営業所)の面積、客室の面積、調理場の面積を出す必要があります。

これらの図面は法務局などで建築図面があれば、それをベースに作成することができます。
物件が建てられた時代や当時の登録状況によっては法務局にまとまな資料が無い場合もあります。
こうなると実際に現地で計測を行い、図面を書き起こす必要が出てきます。
通常はCADと呼ばれる設計専用のソフトで図面を書き起こすのですがCADソフトがありませんでしたので手書きで書くことになりました。

必要な書類として平面図としてあげられている図面一式の内訳は下記のようになります。
1.営業所求積図
2.営業所平面図及び配置図
3.客席求積図
4.照明設備等配置図

10-1. 営業所求積図

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お店全体の面積が記載されている図面です。
警察署に提出する図面で大切なのはその面積をどのように求めたかという式をきちんと書くことです。
答えだけ書いたのでは申請は通らないらしいのでご注意ください。
ここでは客室+調理場+その他の部分を含んだ全体の面積を算出します。

四角い営業所であれば縦横で面積が出ますが、カーブしているものや複雑に入り組んだ形状のものだと一筋縄ではいきません。
今回は比較的計算がしやすかったので自分たちでも図面が作成できたというところがあります。

サンプルの図面で解説します。

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このサンプルの図面では客室、調理場、従業員の荷物置き場で使われるようなバックヤードと3つのエリアに分かれています。
これら全ての部分が営業所となります。

営業所求積図は壁芯で面積を出します。
内法と壁芯の違いは弊社の過去記事を参照してください。

部屋の面積って実際に見てみると狭い?壁芯と内法の違い
https://www.kurachic.jp/column/1117/

通常、採寸では内法の寸法しか取ることができませんでしたが、壁圧が200mmあることがわかったとしてそれを考慮して図面をひいていきます。
なるべく計算しやすいように四角くブロックを作っていきます。
ポイントとしては計算しやすいようにブロックに区切った時の寸法は採寸しておくということです。
サンプルBarの図面ではAとBのブロックとして捉えると計算がしやすそうだったので2つにわけてあります。
複雑な形状になればC,D,Eとブロックが増えていきます。

10-2. 営業所平面図及び配置図

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次は営業所平面図及び配置図です。
営業所平面図及び配置図には店舗レイアウトを書き込む必要があります。
テーブルや椅子、カウンターなどを書き込みます。こちらも実際に採寸した時にどのようなレイアウトになりどのような家具を置くのかを事前に把握し採寸しておきましょう。

赤色=客室
緑色=調理場
青色=その他
と区画分けをして図面を作成すると見る人が認識しやすいのでいいかと思います。

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カウンターの高さや幅、椅子の大きさなど、どのようなものが特に客室にあるのかという意味では、補足資料として凡例図を作ると見る方もわかりやすく親切です。このような資料はわかりやすさが大切なので手間は惜しまないほうがいいと考えています。

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どのような設備が入っているのかをわかりやすく表現することを心がけます。

10-3. 客室求積図

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こちらは客室に特化した求積図です。
ポイントは警察から見た時にどれぐらいの部屋(個室)と面積がお客さんに提供されているのかというところです。
こちらも計算しやすいブロックにわけて、客室としての面積を出しましょう。

客室求積図は壁芯ではなく内法で算出します。

客室の定義は、お客さんが飲み食いするスペース。 トイレなどは含まれません。
サンプルのバーの場合、基本立ち飲みで少量の椅子席というイメージで書いていますので上記の赤線のエリアが客室という認識です。

10-4. 照明設備等配置図

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照明設備等配置図です。
どのような照明を使い、どのような音響機器を使うといった設備系を書き込みます。
何ワットの電球、どれぐらいの大きさのスピーカーをどこに配置するかということを書きます。

こちらも実際に設備機器を撮影した写真を使って凡例などを作るとわかりやすいです。

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照明の補足資料。

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音響機器の補足資料。

さいごに

いかがでしょうか。
はじめの様式書類などは門伝、図面は徳留でお送りしました。

ある程度の知識がないと素人で一発合格は難しいとのことです。
ほとんどの人は効率も考えて行政書士さんなどにお願いすることが多いようです。

一部をどうしても自分で作らないといけない、という人の参考になればと思います。

深夜営業って結構大変なんです。
それではまた。