こんにちは。暮らしっく不動産の徳留です。

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不動産屋でもらえる物件の図面。
これは業者間では"マイソク"や"インフォシート"と呼んだりしていますが、ここのブログで何度か書いているように縮尺や書き方は業者によってバラバラです。
縦横の比率が合っていなかったり、反転していたり、別部屋の間取り図が載っていたりと、ある程度のイメージ図でしかないというのは有名な話です。
多くのお店で特に設計・工事の経験や知識も無い営業スタッフや事務スタッフが書いていたりするのが現状。


では実際に設計・工事の人たちが家やビルを建てる時にはどのような種類の設計図があるのでしょうか。
建物の規模や設計・建築会社によっても異なりますが下記のような種類があります。

名称 概要
案内図 周辺の環境がわかる地図
配置図 敷地内の建物の配置を示す地図。隣地までの距離や駐車場の位置、方角がわかる。
平面図 部屋、階段、廊下、柱などの配置を示す図。いわゆる間取り図
断面図 部屋の天井の高さ、床の高さ、開口部の高さなどを示す図
立面図 建物の外観、屋根の勾配、開口部の位置などを示す図
展開図 窓やドアの位置、設備機器の位置など部屋の内部を示す図
天井伏図 天井の形状や照明の位置など天井面を示す図
屋根伏図 屋根の形状や寸法を示す建物を真上から見た屋根面の図
詳細図 階段や家具などの詳細が書き込まれた図
矩形図 壁の内部、小屋裏、床下など完成後の見えない内部を詳しく示した図
建具表 建具の姿図、仕上げ、寸法などを示した図
仕上表 建物内外の表面の仕上げや使用材が書かれている
面積図 建築面積、床面積など敷地、建物の面積計算が書かれている
仕様書 広報、使用材、等級などが書かれている
基礎伏図 基礎を真上から見た図。基礎の形状、アンカーボルトの位置などを示す
床伏図 各階の床を真上から見た図。柱、梁などの位置や感覚を示す
小屋伏図

屋根を外した状態で真上から見た図。小屋裏の構造、部材の大きさ,位置などを示す

軸組図 木材の骨組みを立面で見た図。柱、筋交いの位置を示す
柱・梁材のリスト 柱・梁などの寸法や種類が書かれている。各部材が使われている場所、寸法、種類を示す
筋交い計算表 建物の強度計算を表している
給排水・衛生設備図 給排水の系統図。配管と関連機器類の接続関係を示す
空調設備図 空調の系統図。給気口・排気口と関連機器類の接続を示す
電気設備図 電気の系統図。電気配線と関連機器類の接続を示す

参考文献:建築設備が一番わかる 著者 菊地至 技術評論社 

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例えばこれは立面図。現場の多くはCAD(きゃど)と呼ばれるソフトを使って書きます。
(この写真は私が研修の時に手書きで書いたもの)

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そしてこちらがいわゆる平面図。
建て替えなどのお客さんには平面図や立面図が一番イメージしてもらいやすい図面です。
ハウスメーカーによっても対応はまちまちですが、お客さんのイメージを聞き、その場で平面図程度であれば修正して形にするスキルが求められます。

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面積もこの精度で出したりします。この例だと小数点第六位ですね。
専門家によるレーザー測光なので実現できる精度です。

電気設備図は電気の職人さんが作業をする時に使い、空気設備図は空調の職人さんが使う図面です。
実際にはこの後に施工図というものが作成され、施工に役立つように細かい寸法が記載されています。
プラモデルでいったら説明書のようなポジションといえばわかりやすいかもしれません。


全体の図面と、部分・機能・作業ごとに図面が存在すると考えておくとよいかもしれません。

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参考:google 画像検索 "竣工図"

最終的に竣工図として図面は完成です。
竣工図というぐらいですから、その建物が最終的にこういう寸法でこういう仕様になりましたという証拠図面です。
後々のリフォームや改修工事のときに必要になります。


この竣工図があれば一番正確な図面となるわけですが不動産屋が管理を始める頃には図面がないことがほとんどです。

  • 度重なるリフォーム
  • オーナーチェンジ
  • そもそも大家さんが図面をなくした
  • あるはずだけど場所も思い出せない

そのようなこともあり、不動産屋は物件を見に行って可能な範囲で採寸したり、オーナーさんが引いてくれた図面をもとに平面図とまではいかないけども部屋のイメージがわかる・もしくは部屋に近いイメージの図面を作成しています。
この仕事をしていると毎日にように不動産屋さが作成した図面を目にすることになりますが、内見に行った時に図面と違いすぎてびっくりすることもまれにあります。
過去に建て替えの仕事・工事のしごとをやってきて一番驚いた部分はそこかもしれません。
一枚の図面を作成するのに数万円、先程ご紹介した図面を全部作るとそれこそ10万円や20万円の費用がかかるわけなので、家賃が数万円の物件に費用がかけられないのが現実といったところですが、皆さんが不動産屋で見ている図面は正確には"図面のような何か"であると思っておくといいかもしれません。