みなさん、こんにちは。
店舗出店支援専門の不動産会社オリエ不動産グループの井出龍治 (いでりゅうじ)と申します。
簡単に自己紹介をさせてください。

士業 400 名が登録する起業支援団体ドリームゲートに所属し、不動産&多店舗化支援部会の部会長を務めております。
父が設計事務所を経営しており、物件探しから店舗工事までをワンストップで行えるのが弊社の特徴です。


私自身、不動産会社とは別に飲食店4店舗経営していますので、今も皆様と同じようにコロナの影響に苦しんでいます。

では早速本題に入りたいと思います。

弊社には、「物件を探して欲しい」というご依頼だけでなく、「閉店撤退するときの原状回復 工事費を節約したい」や「大家さんから家賃の値上げをしたいと言われた」など不動産に関する多くの相談が寄せられます。

そういった相談の中で、今は「コロナの影響で売上が下がり、家賃の値下げを大家さんにお願いしたいのですけど、どうしたらいいでしょうか?」というご相談が多く寄せられます。

「相手の立場に立って考えることで、理解(家賃減額)を得られやすい」というお話しをさせていただきます。
8つのポイントに分けてお伝えします。

コロナで家賃減額交渉 8つのポイント

1. 大家さんは賃貸業

当然、大家さんというのはビジネスです。収入だけではなく、支払いもあります。大切なのは、
お互いのメリットデメリットを考えて、安全マージンや無駄なお金を省いていくということです。

2. 下手な駆け引きをしない

「借りる人がいなくなったら困るでしょ?安くしてよ!」というのは間違いです。その物件の「商品力」と「どんな財務状況なのか」を考えもしないで、一律に述べることが間違っています。 自分の状況をきちんと伝えて、今後の計画も含めお話をしましょう。

3. みんなでやらない

今、ビルのテナントさんたちが「共同・連名」で大家さんにお願いするケースもあります。
しかし、お勧めしません。

同条件で異なる賃料を基に主張をするケースもありますが、やめましょう。
理由はここでは書けませんが、大家さんの立場に立って考えてみてください。

4. 法律を振りかざさない

賃料に関する法律はありますが、きちんと理解せずに主張するのは危険です。
そもそもの契約形態(普通賃貸借や定借)前述3のように他の入居者の賃料を比べる方もいますが、減額の根拠となる可能性は低いです。
※今回のような状況は初めてだと思うので、今後新しい判例が出る可能性はあります。

5. 大家さんのリスクを考える

現実問題として、一番怖いのは夜逃げや貸室内での大きなトラブルです。
滞納は保証会 社が入っていることが多いので、それほどではありません。
ですので、現在自分が再建のために行っている施策や財務状況などをきちんと伝えていきましょう。
このリスクの大小や煩わしさによって「だったら出ていってもらってけっこう!」となってしまうケースもあります。

6. 保証会社の手続きを考える

単純な「減額」のときは問題ありません。大家さんの収入が減るだけです。
しかし国が協力要請している「家賃の支払い猶予」となると問題が発生します。 「支払えなかったときに誰が責任を負うのか」という問題です。

例えば、「減額した分を、数か月後に上乗せ」という内容変更は、申請を出せば通ります。
しかし、上乗せ時(減額分回収時やその前)に退去した場合は、その未回収分を保証会社は保証しません。
これは、ある保証会社の例で、公表もされていません。ですので、自分が加入している保証会社に事前確認し、大家さんのリスクも考えましょう。




7. 大家さんに直接アタックしない

「直接交渉の方が効果ありそう」と考えて、いきなり連絡を取る方もいらっしゃいます。
しかし大家さんは、「面倒な処理をお願いするため」に管理会社にお金を払っています。 さらに管理会社(元付会社)も自分たちを勝手に飛び越えられることを非常に嫌がりま
す。さらに言えば、管理会社(元付会社)は自分たちの直接利益には結びつかず、メリットもありません。
ですので、トリッキーなことはせず、きちんと担当さん経由で話しをとしてもらいましょう。

8. 書面にする

「お願い」も「約束した内容」も書面にしましょう。
前述7の通り、管理会社(元付会 社)を通してのお願いになるケースがほとんどです。金額の間違いや期間の間違いなどが起こらないようにしましょう。
口頭で「どれくらい下げてもらえそうですか?」などと管理会社の担当に聞いたところであまり意味はありません。

また、内容がまとまったら「覚書」を作成してもらいましょう。
これは管理会社さんが 作成してくれるケースがほとんどです。

さいごに

私自身もいろいろな立場でコロナ騒動の影響を受けています。

  • 所有不動産を貸しています。(貸主の立場)
  • テナントビルの管理もさせていただいています。(管理会社の立場)
  • 飲食業のオーナーとして、他の大家さんから借りています。(借主の立場)
  • 起業や出店の支援の不動産会社です。(借主を支援する立場)

一般の方よりも、貸す側・借りる側双方の立場を理解しているつもりではいます。
当てはま らないケースもあるとは思いますが、少しでもお役に立てれば幸いです。

大家さんも不動産会社もテナントさんも、みんな「事業を継続したい」という思いは同じで す。そのために、みんなが少しずつ協力しあえると良いですね。

力を合わせて乗り越えましょう。

【おまけ】

現在、弊社が仲介させていただいた物件においては、大家さん・管理会社さんと借主さんの 間に立ち、家賃減額のフォローをさせていただいています。
概ね半年間で
20~30%の減額事例が多いです。 ご不明な点がありましたら、ドリームゲートの無料相談(オンライン相談)からご相談くだ さい。
https://profile.dreamgate.gr.jp/consul/pro/orie2013

【ご了承ください】

より実務に沿った内容をみなさまに分かりやすくお伝えするため、法律とは異なった見解 やアドバイス、詳細の省略、業界では使わない言い回し等があるかもしれませんがご理解い ただきたく思います。