結論:「年末は引越しが多い」「1月中に決めないと物件がなくなる」は、検索数の推移で見るとどちらも根拠がありません。引越しのピークは2月・3月です。

なぜ重要か:急かされて決めると、後悔しやすくなります。

次にすべきこと:

  • 急かされたら「なぜですか」と根拠を聞く
  • 検索数の推移を自分でも調べてみる

こんにちは。暮らしっく不動産の門傳です。

「早くしないと決まっちゃいますよ!」と不動産屋に急かされたことはありませんか。結論から言うと、よく言われる「年末は引越しが多い」「1月中に決めないと物件がなくなる」は、世の中の検索数の動きを見るかぎり、どちらも根拠がありません。

この記事では、実際にお客様から聞いた2つのケースを、検索数の推移を調べられる無料ツールで確かめてみます。

不動産屋の「早くしないと」は本当?

不動産屋というと「うさんくさい」など、印象がとことん悪いものです。また、引越しの多い時期が近づくと、「早くしないと決まっちゃいますよ!」と契約を焦らせる不動産屋が多いようです。

あるとき案内したお客様から、次のような話を聞きました。

  • 転勤のお客様:2月に引越し予定で、12月から部屋を探していたところ、「年内は引越しが多い。年内に決めて契約しないと物件がなくなる」と急かされた
  • 大学生のお客様:3月に引越し予定で、1月から部屋を探し始めたところ、「1月中に決めないと物件がなくなる!早くしたほうがいいですよ!」と急かされた

不動産屋の人が言うこうした言葉には、根拠がないことが多いです。賃貸の営業の人は特にそうです。きちんとした意見を言うには、根拠が必要だと思います。

検索数の推移で「世の中の流れ」を調べる

そこで役に立つのが、キーワードがいつ、どれぐらい検索されているかをグラフで見られる無料のツールです。検索エンジンが提供している「トレンド」を調べるツールで、期間や地域をしぼったり、複数のキーワードを比べたりもできます。

あるキーワードがどの時期に多く検索されるかを見ると、世の中の流れが少しわかります。今回は、このツールで「不動産屋の言っていたことは本当なのか?」を確かめてみました。

なお、以下の結果は記事を書いた当時に調べたものです。

ケース1:年末は引越しが多い?

転勤のお客様のケースです。2月に引越し予定で12月から探していたところ、「年末は引越しが多い。年内に決めて契約しないと物件がなくなる」と急かされました。

世の中の人がいつ「引越」と検索しているかを見てみました。

結果は、ピークは毎年2月・3月。12月は1年でいちばん少ない時期でした。

つまり、「年末は引越しが多い」というのは嘘ということになります。

ケース2:1月中に決めないと物件がなくなる?

大学生のお客様のケースです。3月に引越し予定で、1月から探し始めたところ、「1月中に決めないと物件がなくなる!」と急かされました。

世の中の人がいつから部屋を探し始めるのかを、「賃貸」というキーワードで見てみました。

結果は、1月・2月がピーク。この時期に探し始める人が多いことがわかります。2月にもピークが来ていることからわかるように、2月になっても賃貸物件はなくなりません。

つまり、「1月中に決めないと物件がなくなる」も嘘ということになります。

ちなみに、この大学生のお客様は、別の不動産屋でわざと少なく物件を見せられていたようです。実際に市場に出ている賃貸物件の数を一緒に見て、「ゆっくり探そう」ということになりました。

「良い物件は早くなくなる」も本当とは限らない

「良い物件は早くなくなる」と思っている方も多いかと思います。でも、これは違います。良い物件が早い時期から出ているとは限りません。まず考えるべきなのは、「良い物件に空きがあるのか?」ということです。

良い物件の定義は難しいですが、物件が多い時期はツールで調べられます。考え方は次のとおりです。

  • 物件が多い時期なら、それに比例して良い物件も出てくるはず
  • 物件が多い時期 = 部屋から出ていく人が多い時期 =「退去」が多い時期

そこで「退去」というキーワードで検索数の推移を見てみると、2月・3月がピークでした。

「良い物件は早くなくなる」という迷信のような言葉を信じて、無理に引越しを前倒しする人もいます。でも、物件はいつも入れかわっています。適切な時期に、しっかり探す。これがいちばん良いと思っています。

焦らずに賃貸を探すコツは、物件がすぐなくなるのは本当?でも紹介しています。

急かされたときの確かめ方

不動産屋に急かされたときは、次のことを試してみてください。

  • 「なぜですか?」と根拠を聞く:きちんとした担当者なら、理由を説明してくれるはずです
  • 検索数の推移を自分で調べる:「引越」「賃貸」「退去」などのキーワードで、時期ごとの動きを見てみましょう
  • 見せられた物件の数が少なすぎないか考える:大学生のお客様のように、わざと少なく見せられていることもあります
  • その物件が本当にあるか確かめる:実際には借りられない物件で集客する「おとり物件」もあります。見分け方はおとり物件の見分け方の記事を参考にしてください

誠意のない営業担当者の特徴は、誠意のない不動産営業マンの見分け方の記事でも紹介しています。私たちが実際におとり物件を調べた記録はおとり調査の記事をどうぞ。

まとめ

確かめてみると、今回の不動産屋が言っていたことは、どちらも「嘘」の可能性が高いという結果になりました。契約を急ぎたい、契約を取りたいという気持ちはわかりますが、嘘はいけません。

不動産屋の言うことに少しでも疑問を感じたら、まずは自分を信じることが大切です。不動産のことだからといって、世の中の常識とずれているということはありません。「具体的な根拠があるのか?」を常に考えて行動するとよいと思います。