結論:入居者を募集中なのに他社の広告を断るのは、多くの場合、大家さんではなく窓口の不動産会社の判断です。

なぜ重要か:自社だけで決めたいという事情で広告が広がらず、空室が長引くおそれがあります。

次にすべきこと:

  • 管理会社に「他社の広告を断っていないか」を聞く
  • 広く募集してほしいと、はっきり伝える

「入居者を募集しているのに、ほかの不動産会社には広告させない」。こうしたことは実際にあります。そして、広告を止めているのは大家さん本人ではなく、大家さんから物件を預かっている不動産会社であることが多いです。この記事は主に大家さんに向けて、私たちが高田馬場エリアの物件調査で経験したことと、その背景にある業界の仕組みをお伝えします。

募集中なのに「広告は許可しません」と言われた話

2014年1月当時、私たちは高田馬場エリアで物件調査をしていました。おもしろい物件を自社のホームページで紹介しようと調べていると、不動産業界ならではの「壁」によくぶつかります。

この日も、近所でとても魅力的な賃貸物件を見つけました。入居者を募集中だったので、自社のホームページで紹介しようと考え、まず大家さんから物件を預かっている不動産会社に連絡しました。そこで、こんなやりとりになりました。

私たち:「高田馬場の〇〇という賃貸物件を、自社のホームページで紹介したいのですが」

大家さん側の不動産会社:「広告は許可しません」

入居者を募集しているのに、広告を制限してしまうのです。同じ不動産ポータルサイトに同じ物件がいくつも載るのを避けたい、という理由なら分かります。しかしこの会社は「他社の広告はすべてお断りしている」とのことでした。この日は、同じような対応の不動産会社がいくつもありました。

自分が大家さんの立場だったら、どうでしょうか。どんどん広告を広めて、早く入居者を決めたいと思う方がほとんどだと思います。

大家さんに直接聞いたら、あっさりOKだった

この物件はどうしても紹介したかったので、物件の持ち主である大家さんのところへ直接お願いに行きました。いきさつを話すと、あっさりOKをいただけました。

「うちは広告を禁止していませんよ。もっと宣伝して広めてほしいです」

当然の反応だと思います。こうした事情を大家さんが知らないことは、かなり多いです。ほとんどの大家さんは知らないのではないかと感じています。

なぜ不動産会社は広告を制限するのか

広告を制限しているのは、基本的に「不動産会社」です。理由は仲介手数料にあります。

  • 自社だけで広告して入居者を見つけると、大家さんと借りる人の2人から手数料を受け取れることがある
  • ほかの不動産会社が入居者を見つけると、借りる人からの手数料はその会社に入る
  • そのため、情報を囲い込んで、なるべく自社で決めたいと考える

つまり、広告を広めると自社の手数料が減ってしまう。このことから、大家さんのことよりも自社の利益を優先する不動産会社が少なくないのです。経済的に見ればしかたのない面もありますが、おかしな構造だと思います。

ここにも「消費者の不利益=不動産会社の利益」という古い慣習が残っています。こうした構造を少しずつでも健全にしていけたらと、強く思っています。

手数料や広告料の仕組みは、仲介手数料無料のからくりとは?広告料(AD)の仕組みと注意点でも詳しく説明しています。

私たちの募集の考え方

暮らしっく不動産では、入居者の募集も売却の募集も「すべてオープンに」行っています。一般の感覚では当たり前のことですが、これをしている不動産会社は多くありません。記事を書いた当時、売買の広告制限は賃貸よりもさらに厳しい状況でした。

大家さんが確認しておきたいこと

広告が止められていても、大家さん側からは見えにくいものです。気になる方は、次のような点を管理会社や募集を頼んでいる不動産会社に聞いてみてください。対応は会社によって違うので、まずは確認することが大切です。

  1. 他社の広告を受け付けているか:「他社から広告の申し出があったら、許可していますか」と聞いてみる
  2. どこに載っているか:どのポータルサイトや自社サイトに物件が載っているかを教えてもらい、自分でも検索して見てみる
  3. 反響の報告をもらえるか:問い合わせや内見の数を、定期的に知らせてもらえるかを聞く
  4. 自分の希望を伝える:「広く募集して、早く決めてほしい」と、はっきり伝えておく

空室が長く続いているのに理由が分からないときは、まず募集のしかたを見直すのがよいと思います。物件写真の見せ方は部屋を広くきれいに見せる室内写真の撮り方、管理を任せるかどうかは大家さんが直接管理する賃貸物件のメリット・デメリットも参考にしてください。

部屋を探す人にとっても関係があります

広告が制限されると、同じ物件でも紹介しているお店やサイトが限られます。気になる物件が見つからないときは、いくつかのサイトや不動産会社で探してみると、出会える物件が増えるかもしれません。

まとめ

  • 募集中なのに他社の広告を断るのは、多くの場合、大家さんではなく窓口の不動産会社の判断
  • 背景には、自社で決めれば手数料を多く受け取れるという事情がある
  • 私たちが大家さんに直接聞いたところ、「もっと広めてほしい」とあっさりOKだった
  • 大家さんは、他社広告の扱いと募集の状況を、管理会社に確認しておくと安心