結論:当時のデータ(2015年の犯罪件数と2010年の昼夜の人口)で人口あたりの件数を見ると、千代田・中央・港・文京などの区が少なめでした。

ここが大事:件数だけを見ると、人が集まる区ほど治安が悪く見えてしまうからです。

まずはここから!

  • 警視庁の犯罪情報マップで今の数字を見る
  • 候補の街を昼と夜の両方に歩いてみる

東京23区で治安のよい街を考えるときは、犯罪の「件数」だけでなく、「その区に何人いるか」と合わせて見ることが大切です。暮らしっく不動産で、当時の警視庁と東京都のデータを組み合わせて計算したところ、人口に対して犯罪件数が少なめだったのは千代田区、中央区、港区、文京区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、杉並区、練馬区でした。

この記事では、その計算の流れと、データの読み方、自分で治安を確かめる方法をまとめます。数字はすべて当時(2015年の犯罪件数、2010年の国勢調査の人口)のものです。今の状況とは違う可能性があるので、部屋を決める前に最新の情報も確認してください。

街選びで「治安」を気にする人は多い

引越しの街選びでは、仕事に行きやすい、買い物がしやすい、環境がいいなど、いろいろな条件があります。その中でも、特に女性のお客様からよく聞くのが「治安」です。

ただ、治安は目に見えにくく、「なんとなくのイメージ」で判断しがちです。そこで、公開されているデータから考えてみました。

東京の治安情報は警視庁のホームページで見られる

東京都の治安情報は、警視庁のホームページで見ることができます。中でも「犯罪情報マップ」では、ひったくり、侵入窃盗、車上ねらい、自転車盗、オートバイ盗、粗暴犯などの犯罪の状況を、地域ごとに見ることができます。とてもわかりやすく作られています。

この記事では、犯罪情報マップの画面ではなく、警視庁が公表している別のデータ(区市町村別の刑法犯の発生状況)を使いました。

ちなみに、警視庁は東京都を受け持つ警察の組織、警察庁は国の機関です。名前が似ているので、まちがえやすいところです。

東京23区の犯罪発生件数(2015年)

2015年(平成27年)12月末の暫定値をもとにした、区ごとの刑法犯の発生状況のグラフです。縦軸は刑法犯の認知件数です。

参照データ:警視庁「区市町村別の刑法犯の発生状況」(当時)

このデータから計算すると、23区の平均は4,772件(わかりやすくするため約5,000件とします)でした。平均を超えていたのは8つの区で、人が多く集まる繁華街や大きな駅がある区、住んでいる人の多い区が中心でした。

人が集まるところでは、どうしても件数は増えます。ただし、ここで注意したいことがあります。東京は、昼間にいる人と夜にいる人の数が大きく違います。件数だけで比べるのではなく、「人口に対してどれくらいか」を考える必要があります。

東京23区の昼と夜の人口(2010年)

そこで、昼間の人口と夜間の人口を見てみます。

参考データ:東京都総務局統計部「東京都の昼間人口(2010年)」

千代田区、中央区、港区、世田谷区は、昼間の人口がとても多いことがわかります。東京駅や新橋駅、田町駅が混むのも納得です。

反対に、夜間の人口が多いのは世田谷区、杉並区、練馬区です。住宅街として知られる区が並んでいます。

人口に対して犯罪件数が少ない区はどこ?

昼間の人口と比べる

参考データ:東京都の昼間人口(2010年)、警視庁の区市町村別の刑法犯の発生状況(2015年)

※2010年の国勢調査の昼と夜の人口データと、警視庁が発表した2015年の犯罪発生件数のデータを、暮らしっく不動産で独自に編集したものです。

昼間の人口と夜間の人口のグラフに、犯罪発生件数を重ねてみました。昼間の人口で考えると、千代田区、中央区、港区、文京区、品川区、目黒区は、人口に対して犯罪件数がとても少ないといえます。

ただ、これだけでは順番がつけにくいので、昼と夜の人口を平均したものと比べてみます。

昼と夜の平均の人口と比べる

参考データ:東京都の昼間人口(2010年)、警視庁の区市町村別の刑法犯の発生状況(2015年)

※2010年の国勢調査の昼と夜の人口データを平均したものと、警視庁が発表した2015年の犯罪発生件数のデータを、暮らしっく不動産で独自に編集したものです。

こうして見ると、当時のデータでは、次の区が人口に対して犯罪件数が少なめでした。

  • 千代田区、中央区、港区、文京区
  • 品川区、目黒区、大田区
  • 世田谷区、杉並区、練馬区

一方で、繁華街や大きなターミナル駅をかかえる区などは、昼と夜の平均人口に対しても数値が高めに出ました。人の出入りが多い街では、住んでいる人の数だけでは表せない人の動きがあることも、理由の一つと考えられます。

犯罪にあう確率の形にしてみる

※2010年の国勢調査の昼と夜の人口データを平均したものと、警視庁が発表した2015年の犯罪発生件数のデータから、暮らしっく不動産で独自に編集したものです。

もう少しわかりやすくするため、人口に対する犯罪件数の割合(%)にしてみました。

この形で見ると、件数の多さから受けるイメージと、人口で割った数字は必ずしも一致しないことがわかります。「件数が多い=危ない街」とは言い切れない、ということです。

こうしたデータを見ると、文京区が住む街として人気がある理由の一つも、わかるような気がします。

データを見るときの注意点

このデータは、街選びの参考の一つです。読むときは、次の点に気をつけてください。

  • 数字は当時のもの:犯罪件数は2015年、人口は2010年のデータです。今は変わっている可能性があります。
  • 区の中でも差がある:同じ区でも、駅前の繁華街と静かな住宅街では様子がちがいます。区の数字は、区全体をならしたものです。
  • 犯罪の種類もいろいろ:刑法犯の件数には、自転車盗のような身近なものから、さまざまな犯罪がふくまれます。自分が気になる犯罪の種類を、犯罪情報マップで見てみるのがおすすめです。
  • 暮らしっく不動産の独自計算:昼と夜の人口を平均するなど、わかりやすくするための計算をしています。公式の「治安ランキング」ではありません。

部屋探しで治安を自分で確かめる方法

データで大まかな傾向をつかんだら、最後は自分の目で確かめるのが一番です。現場でお客様をご案内していて、確認しておくと安心だと感じるポイントをまとめます。

  1. 昼と夜の両方に歩いてみる:昼は静かでも、夜は人通りが少なくなる道もあります。帰りが遅くなりそうな人は、帰宅する時間帯に駅から部屋まで歩いてみましょう。
  2. 駅から部屋までの道を見る:街灯があるか、人通りがあるか、遅くまで開いているお店があるかを見ておくと安心です。
  3. 建物の防犯も見る:オートロックや防犯カメラの有無、ゴミ置き場や共用部がきれいかどうかも、暮らしやすさの目安になります。設備は物件によって違うので、内見のときに確認してください。
  4. 最新の情報を調べる:警視庁の犯罪情報マップや、区のホームページの防犯情報で、今の状況を見ておきましょう。

大通り沿いと住宅街の違いについては「大通り沿いと住宅街の騒音を比べた記事」も参考にしてください。女性に人気の条件で部屋を探すときの家賃の目安は「女性に人気の条件で見る東京の家賃相場」に、最近の家賃の動きは「東京の家賃相場」にまとめています。

まとめ

犯罪は、いつどこで起こるか予測できません。治安がよいといわれるエリアに住んでいても、犯罪にあうことはあります。

それでも、イメージとは少し違う実際のデータを知っておくと、街選びの役に立ちます。テレビ番組などから受ける印象と、人口で割った数字は、必ずしも同じではありません。

  • 当時のデータ(2015年の件数、2010年の人口)では、千代田・中央・港・文京・品川・目黒・大田・世田谷・杉並・練馬の各区が、人口に対して犯罪件数が少なめでした
  • 件数だけでなく、昼と夜の人口と合わせて見ることが大切です
  • 最後は、昼と夜に実際に歩いて確かめましょう