結論:賃貸の間取り図は広告用のイメージ図です。同じ部屋を実測すると、反転・比率のずれ・収納や窓の違いがありました。図面の「現況優先」は実際の部屋が正しいという意味です。

ここが大事:図面を定規で測って比べると、家具が入らないことがあります。

まずはここから!

  • 知りたい寸法を仲介会社に伝える
  • 内見で冷蔵庫・洗濯機置き場・窓・搬入経路を測る

こんにちは。暮らしっく不動産の徳留です。

内見に行くと、A物件とB物件の間取り図を定規で測って比べている方をときどき見かけます。

「A物件のほうが一辺が2cm長いから、A物件のほうが広いかな」

じつはこれ、とても危ない比べ方です。賃貸の間取り図は、寸法まで正確に描かれているとは限らないからです。

この記事では、同じ部屋の間取り図と実際の部屋を比べた結果をお見せします。あわせて、詳しい図面はもらえるのか、間取り図から寸法をどう読めばよいのかも説明します。

間取り図は建築図面ではありません

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これは、A不動産・B不動産・暮らしっく不動産の3社が募集を出していた、高田馬場のあるアパートの間取り図です(2017年7月15日時点の情報です)。

このような間取り図がのった紙を、業界では「マイソク」や「インフォシート」と呼んでいます。物件を探しているときに不動産会社からもらえる、あの紙です。

実際の部屋とどれくらい違うのかを確かめるため、現地に行って寸法を測ってきました。

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こちらが、測った寸法をもとに私が1/100の縮尺で手書きした間取り図を拡大したものです。3社の図面と比べて、どこが違うかわかりますか。

実際の部屋との違い

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間取り図は建築図面ではないので、正確でないことがよくあります。実際に採寸した結果を見ていきましょう。

1. 間取りが左右反転している

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実際の部屋は、玄関を入って左側にキッチンがありました。ところが、ある不動産会社の図面では右側にキッチンがあります。それにあわせて、お風呂や洗濯機置き場の位置も実際とは左右が逆になっていました。

2. 部屋の縦横の比率が違う

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ある不動産会社の図面の上に、私が描いた図面を重ねてみました。反転しているのはもちろん、部屋の長さが実際の比率より長く描かれています。両方の辺が大きいならまだわかりますが、なぜか片方の辺だけが長くなっていました。

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こちらは、B不動産の募集図面を下に重ねたものです。縮尺が会社ごとにばらばらなことがわかります。

3. 設備が違う

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ある不動産会社の図面では、収納に扉がついていることになっていました。しかし、実際には扉はついていません。

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実際の写真がこちらです。

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実際の部屋には幅740mm・奥行き162mmのシューズボックスがあります。ところが、その不動産会社の間取り図にはシューズボックスが描かれていません。

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実際の写真がこちらです。

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こちらはB不動産の図面です。間取りの反転はありませんが、窓の位置が違います。

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実際は、窓は玄関を入って左側に寄っています。

間取り図は「イメージ図」と考える

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どれも同じ部屋を描いた間取り図なのに、違うところがたくさんありました。間取り図からわかるのは、「だいたいこういう形の部屋です」という傾向だけだと考えてください。

こうなる理由は、不動産会社の手元に建築図面のデータがないことが多いからです。特に古めの物件では、大家さんから募集を頼まれるときに図面がついていないこともよくあります。その場合、不動産会社が部屋を見て測り、間取り図ソフトで描き起こすのがほとんどです。

さらに、部屋ごとに図面を作らず、同じ建物のほかの部屋を募集したときの図面を使い回していることもあります。

こうした事情を考えると、最初に書いた「定規で測って比べる」方法が危ないことがわかると思います。

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そのため、間取り図には上のような注意書きがほぼ必ず入っています。代表的なのが「現況優先」です。

図面と実際の部屋が違う場合は、実際の部屋のほうが正しい、という意味です。寸法や細かい壁の位置は、間取り図をあてにしてはいけません。

間取り図に「S」と書かれた部屋の意味は、間取り図の「S」(サービスルーム)とは?で説明しています。

間取り図の「PS」「MB」が何のスペースかは、間取り図のPS・MBとは?で説明しています。

間取り図の「現況優先」とは

「現況優先」は、図面と実際の部屋(現況)が違っていたら、実際の部屋を正しいものとしますという注意書きです。賃貸の募集図面には、ほぼ必ず入っています。

今回の比較でいえば、図面では収納に扉があっても、実際に扉がなければ「扉なし」が正しい、ということです。シューズボックスが図面になくても、実際にあれば「ある」が正しくなります。

借りる人にとっての意味

現況優先と書いてあるということは、実際の部屋を自分の目で確かめてから決めることが前提になっている、ということです。図面だけを見て申し込むと、入居してから「思っていた部屋と違う」となりかねません。

  • 家具の配置に関わる場所(キッチン・水回り・窓・ドア)は、内見で図面と見比べる
  • 図面と違うところを見つけたら、その場で仲介会社の担当者に伝え、どちらが正しいか確かめる
  • 収納の扉や設備の有無など、気になる違いは申し込み前に聞いておく

「何を描いてもいい」という意味ではない

現況優先は、図面が簡易な図であることを断るための注意書きです。広告で、面積や間取りを実際よりも広く・よく見せる表示をしてよいわけではありません。不動産広告の業界ルール(不動産の表示に関する公正競争規約)でも、そうした表示は禁止されています。

内見せずに決めるときは

遠方からの引越しなどで内見できない場合は、図面と違うところがないかを、仲介会社に現地で確かめてもらうよう頼みましょう。知りたい寸法や確かめたい場所を、先にリストにして伝えておくとスムーズです。頼める範囲は物件や会社によって違うので、まずは相談してみてください。

間取りの「反転」とは

間取りの「反転」とは、図面の左右(または上下)が実際の部屋と逆になっていることです。

同じ建物の中でも、部屋によって左右が逆の間取りになっていることがあります。その建物のほかの部屋の図面を使い回すと、反転したままの図面が募集に出てしまうことがあります。今回の例でも、キッチン・お風呂・洗濯機置き場が実際とは逆側に描かれていました。

反転していても広さは同じですが、家具の置き方は大きく変わります。次の点は内見で必ず確かめてください。

  • 玄関から見て、キッチンや水回りが左右どちらにあるか
  • 窓やベランダの位置と、ベッドやテレビを置きたい壁の関係
  • コンセントやエアコンの位置
  • ドアがどちら向きに開くか

図面が反転していないか見分けるコツ

図面だけで反転を見抜くのは難しいですが、次の点を見ておくと気づきやすくなります。

  • 図面の方位記号(北の向き)と、実際のベランダや窓の向きが合っているか
  • 玄関ドアの位置が、建物の外廊下や階段の位置と合っているか
  • 同じ建物のほかの部屋の図面と、まったく同じ絵になっていないか

内見のときは、図面を手に持って玄関に立ち、図面の向きを部屋に合わせてから見比べると、左右の違いにすぐ気づけます。

賃貸の詳しい図面はもらえる?

「寸法の入った図面がほしい」と思ったら、まずは問い合わせをした仲介会社(部屋を紹介してくれた不動産会社)に相談しましょう。仲介会社に図面がなければ、建物を管理している管理会社や大家さんに確認してもらうことになります。

賃貸で目にする図面の種類

図面 どんなものか 手に入りやすさ
募集図面(マイソク・インフォシート) 募集のための広告用の図面。間取り・家賃・条件がのっている 仲介会社からもらえる
平面図 建物を建てたときの設計図の一部。壁の位置や寸法が描かれている 大家さんや管理会社の資料なので、もらえないことが多い
竣工図 建物が完成した時点の状態をまとめた図面 同上。古い物件では残っていないこともある

詳しい図面がもらえないことが多い理由

平面図や竣工図は、大家さんや管理会社が建物の管理のために持っている資料です。入居希望の人に一般に配るものではないので、頼んでも断られることが多いです。

また、先ほど書いたとおり、仲介会社の手元には建築図面のデータがないことがほとんどです。管理会社にも残っていない物件もあります。

ただし、対応は物件や管理会社によって違います。図面そのものはもらえなくても、聞けば答えてもらえることもあります。

上手な頼み方

「図面をください」と頼むより、知りたい寸法をはっきり伝えるほうが答えてもらいやすくなります。

  • 「冷蔵庫置き場の幅と奥行きを知りたいです」
  • 「洗濯機置き場の防水パンの内寸はわかりますか」
  • 「窓の幅と高さを教えてください。カーテンを用意したいです」
  • 「玄関ドアと廊下の幅を知りたいです。ソファを運べるか確かめたいです」

それでもわからない場合は、内見のときに自分で測るのがいちばん確実です。

図面がもらえないときの代わり

平面図や竣工図がもらえなくても、次の方法で必要な情報はそろえられます。

  • 募集図面のコピーやデータをもらう:寸法は正確でなくても、部屋の形や設備の位置のメモ書きに使えます
  • 内見で「寸法」と「写真」をセットで残す:測った数字を募集図面のコピーに書き込み、同じ場所の写真も撮っておきます
  • 入居前に採寸の機会をもらう:契約後、入居日の前に部屋に入って測らせてもらえるか、仲介会社に相談します

測る場所や、入居前に採寸できないときの対処は引越し前の採寸の記事にまとめています。間取り図・見取り図・建築図面がそれぞれどう違うのかは、間取り図と見取り図・平面図の違いの記事で説明しています。

間取り図から寸法を読む方法

間取り図から寸法を「測る」ことはできませんが、「目安をつかむ」ことはできます。

帖数と㎡の目安

不動産の広告では、1帖(1畳)を1.62㎡以上として表示するルールがあります(不動産の表示に関する公正競争規約の基準)。たとえば6帖なら、9.72㎡以上の広さがあるということです。

ただし、これは「最低これくらいはある」という目安です。同じ6帖でも、正方形に近い部屋と細長い部屋では、家具の置きやすさがまったく違います。帖数から一辺の長さを正確に出すことはできません。

間取り図から長さを出す計算例

正確には出せなくても、おおよその長さをつかむ計算はできます。手順は次のとおりです。

  1. 帖数に1.62をかけて、㎡の目安を出す
  2. 部屋の形を見て、短い辺と長い辺のおおよその比率をつかむ
  3. わかっている辺(内見で測った幅など)で㎡を割り、もう一方の辺を出す
例 計算 長さの目安
6帖・正方形に近い部屋 6×1.62=9.72㎡。9.72㎡の正方形の一辺 一辺 約3.1m
6帖・横幅2.6mの縦長の部屋 9.72㎡÷2.6m 奥行き 約3.7m
8帖・横幅2.7mの縦長の部屋 8×1.62=12.96㎡。12.96㎡÷2.7m 奥行き 約4.8m

この計算には、注意点が2つあります。

  • 1.62㎡は「最低これくらい」という基準なので、実際はこれより広いこともあります
  • 広告の広さは壁の厚みの真ん中から測った数字(壁芯)です。家具を置ける内側の長さは、これより少し短くなります

計算で出した長さは、「ベッドが横向きに置けそうか」くらいの見当をつけるために使いましょう。家具を買う前には、必ず実際に測ってください。㎡と帖・坪の換算は㎡の読み方と換算の記事に早見表があります。

図面の縮尺はあてにしない

今回の比較でわかったように、募集図面の縮尺は会社ごとにばらばらです。片方の辺だけ長く描かれていることもあります。

  • 図面を定規で測って、ほかの物件と比べない
  • 図面の線の長さから家具が入るかを判断しない
  • 収納の扉、シューズボックス、窓の位置などは、実際と違うことがあると考えておく

内見で測るべき場所

家具や家電を置くところは、内見のときにメジャーで測っておきましょう。

  • 冷蔵庫置き場:幅・奥行き・高さ(上に棚や吊り戸棚があるか)
  • 洗濯機置き場:防水パンの内寸、蛇口の高さ、排水口の位置
  • 窓:カーテンレールの幅と、床までの高さ
  • 搬入経路:玄関ドア・廊下・室内ドアの幅、曲がり角
  • 家具を置きたい壁:壁の長さ、コンセントやエアコンの位置
  • 収納:扉の有無、内側の幅・奥行き・高さ

採寸のコツはこちらの記事にまとめています。洗濯機置き場の確認は洗濯機のエルボの記事も参考にしてください。

間取りの種類で迷っている方は1Rと1Kの違いもどうぞ。

物件情報で見かける振分タイプの間取りについては、別の記事で紹介しています。

部屋が図面の広さより狭く感じるのはなぜ?

「表示された広さより狭い。広さが嘘なのでは」と感じる方もいます。多くの場合、次のような理由があります。

広さは壁の中心から測っている

広告の帖数は、壁の厚みの真ん中から測った「壁芯(へきしん)面積」をもとにしています。壁の厚みの半分まで広さに入るので、実際に床として使える広さは、表示より少し小さくなります。

同じ部屋を壁の内側で測った場合との差は、壁芯と内法の違いの記事で計算例つきで説明しています。

専有面積には居室以外も入っている

専有面積(〇㎡)には、居室だけでなく、キッチン・お風呂・トイレ・玄関・収納なども入っています。「25㎡なのに居室が狭い」と感じるのは、水回りや廊下に面積をとられているためです。居室の広さは、専有面積ではなく、図面の「洋室〇帖」で見ましょう。

図面の「DK」「LDK」の表示がどんな基準なのかは、LDKとDKの違いで紹介しています。

部屋の形と出っ張りで使える広さが変わる

同じ帖数でも、細長い部屋や、柱・梁の出っ張りがある部屋は、家具を置ける場所が少なくなります。ドアの開く範囲や、窓の前も家具を置きにくい場所です。間取り図では、こうした「置けない場所」まではわかりません。

よくある質問

賃貸の間取り図(募集図面)はもらえますか?

募集図面は、物件を紹介してくれた仲介会社からもらえることが多いです。寸法の入った平面図や竣工図は、大家さんや管理会社の資料なので、もらえないことがほとんどです。知りたい寸法を具体的に伝えて、確認してもらいましょう。

間取り図と実際の部屋が違っていたら、どちらが正しいですか?

実際の部屋が正しいと考えてください。募集図面には「現況優先」と書かれていて、図面と違う場合は実際の部屋を優先するという意味です。気になる違いは、申し込みの前に仲介会社に確かめましょう。

間取りの「反転」とは何ですか?

図面の左右(または上下)が、実際の部屋と逆になっていることです。広さは同じですが、キッチンや窓の位置が逆になるので、家具の置き方が変わります。内見のときに、玄関から見た水回りや窓の位置を確かめてください。

間取り図に定規を当てれば寸法がわかりますか?

わかりません。募集図面の縮尺は会社ごとにばらばらで、片方の辺だけ長く描かれていることもありました。帖数から長さの目安を計算することはできますが、家具を置く場所は実際に測りましょう。

見取り図と間取り図は違うものですか?

賃貸の部屋探しでは、どちらも部屋の配置を簡単に描いた図として使われ、寸法が正確ではない点は同じです。くわしい違いは間取り図と見取り図・平面図の違いの記事をご覧ください。

まとめ

  • 賃貸の間取り図は広告用のイメージ図で、建築図面ではありません
  • 同じ部屋でも、図面によって反転・比率・設備・窓の位置が違うことがあります
  • 図面には「現況優先」と書かれています。実際の部屋のほうが正しいという意味です
  • 詳しい図面は仲介会社に相談しますが、もらえないことが多いです。知りたい寸法を具体的に聞きましょう
  • 1帖は1.62㎡以上が目安です。帖数から長さの見当はつけられますが、家具を置く場所は内見で必ず測りましょう
  • 広さは壁芯で測った数字で、専有面積には水回りや収納も入っています。居室の広さは「洋室〇帖」で見ましょう

家具の配置は、現地で採寸してから計画を立てるのがいちばんの近道です。