こんにちは暮らしっく不動産の門傳です。
繁忙期を過ぎても思いの外忙しく、久々の更新になります。

今日は、最近うちのブログのワードで上がってきている「定期借家」について書いていきたいと思います。
というのも、以前書いたブログの内容は「おとり物件」の話題での「定期借家」について書いたもの。
定期借家にはそんなに触れていないのです。

その記事はこちら。
「定期借家に気をつけろ! おとり物件の見分け方 その2」

「分かりにくい不動産を分かりやすく」が暮らしっく不動産のコンセプトです。
今日は「定期借家」について書いていきたいと思います。

1. 定期借家とは?

正式名称は「定期借家契約」。
一般的な賃貸借契約とは違い、契約の更新が出来ない契約となっています。

期間を決めて「終わったら絶対出て行って下さい」という契約という内容です。

2. どういう時に使われる?

居住用の物件では、「老朽化していて立て直しが決まっている」、「海外出張などで、決まった期間だけ貸し出したい」、このような場合に使われることが多いです。

また「普通賃貸借契約」とは違い、再契約が基本的に出来ないなど「貸主有利」な部分も多く、この権利を利用するために「定期借家」とする場合もあります。
「普通賃貸借契約」では、どんな悪い入居者が入っても出て行ってもらうのは大変です。
このような自体を避けたい理由で定期借家契約を大家さんが設定する場合もあります。

3. 再契約は出来ません!

定期借家契約では、基本的に再契約は出来ません。
「再契約可」「再契約型」などと募集図面で書いている場合もありますが、基本的に再契約は保証されません。

「再契約可」と入居時に聞いていても、契約書に書いていても、貸主が「NO!」と言ったら再契約出来ません。

気をつけましょう!


4.定期借家に関する裁判の判例

定期借家に慣れていない不動産屋さんも多いです。
定期借家契約と思って作っていた契約書が「定期借家契約と認められない」ケースもあります。

参考に、定期借家で有名な判例を一つ紹介します。

判例
事件名「建物明渡請求事件」
裁判日 平成24年9月13日
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=82539


簡単に説明すると「定期借家だと思って契約していたら、契約書に不備があった」という内容です。

中でも重要な箇所は以下の部分。

法38条2項所定の書面は,賃借人が,当該契約に係る賃貸借は契 約の更新がなく,期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず, 契約書とは別個独立の書面であることを要するというべきである。

最近定期借家契約で相談を受けましたが、この時も同じような契約書でした。

ここで言われている38条2項所定の書面というのはこちらです。

定期借家契約 38条2項の書面
定期借家契約を結んでもこれが抜けている場合が多いです。
シェアハウスなどを運営している業者は特に目立ちます。

入居者で定期借家と知らずに契約した人も少なからずいると思います。
そういう時は、これがあるかないか確認をしましょう。
なければチャンス!更新が出来ます。

さいごに

空き家対策の一つとして出てきた「定期借家契約」ですが、あまり有効利用されているケースは少なく、悪用してトラブルに発展しているケースが目立ちます。
トラブルに巻き込まれないためにも「定期借家契約」には注意しましょう!

今日はこのあたりで!