こんにちは。暮らしっく不動産の徳留です。

最近、内見でお客様をご案内していましたところ、何名かのお客様よりご質問をいただいたのでコラムにしてみました。


木造、鉄骨、RCの違いとは?

賃貸でも売買でも、構造を気にされる方が多い印象を受けています。 
大手のデベロッパーやハウスメーカーが企画・施行した物件であればどの構造体でも国の基準を大幅に上回る性能を持った部材を使用していますがその分、家賃や建築費も高め。 

気になる部分とは思いますが、構造体は目に見えづらい部分です。
外装や内装をしてしまうと、構造体がなんだかわかりづらくなりますよね?
今日はそのあたりを解説したいと思います。

この部屋の構造体はなんでしょう?(答えはこのコラムの最後で書きます。)

もくじ

構造の種類

おおまかには

  1. 木造
  2. 鉄骨(重量鉄骨、軽量鉄骨)
  3. RC(鉄筋コンクリート造)
  4. SRC(鉄骨鉄筋コンリート造)

の4種類があります。
次の項目で、それぞれの構造の違いについて見ていきましょう。

1.木造建築

とある大手ハウスメーカーの木造建築。日本古来からある工法です。
柱、梁、筋交いを使い、組み立てていく工法です。(24など木造で異なる工法のものも存在します。)
鉄と比べると加工が容易なので設計の自由度が高いですが、柱と梁の本数が多くなってしまうため間取りの制約がでてきてしまうのが難点です。
具体的にどのような間取りが苦手かと言うと、広い窓をつけるような設計のロングスパン。途中で柱や壁がどこかに入ってくることが多いですね。

日本ではまだまだ主流な工法と言えます。建築費も鉄骨やRCと比べても安く、解体費という視点で見ても他の工法と比べても安いです。

木造ですが内装の工事がはじまり、石膏ボードを貼ってしまえば(上記写真の黄色い壁)、構造体がどんな構造なのかはわからなくなっていきます。

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ちなみにこちらはとある木造住宅の解体現場の写真です。
外壁部分のフレーム(枠)部分に白いビニールのようなものが見えますが、おそらく断熱材だと思われます。
また2F部分の左側に見える箱のようなものはユニットバスと考えられます。
また木造や軽量鉄骨の建物でロフト付きの物件がありますが、上記の断面写真でいうと屋根裏部分がロフト部分になる場所です。(この建物はロフトはなさそうですが)ロフトは夏は暑い!といいますが、この断面写真を見れば納得ですね。

2.鉄骨構造

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鉄骨造には"重量鉄骨造"と"軽量鉄骨造"があります。
軽量鉄骨造は細い鉄骨を沢山使い強度を出しています。
対して重量鉄骨は太い大きな柱や梁を使うことにより強度を出しています。

細いところでいうと鉄骨の厚みに差があります。

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こちらの写真は鉄骨構造の柱・梁に外壁パネルを取り付け途中のもの。
このように工事現場を見ていると、どのような作りになっているのかを見ることができるのでいい勉強になります。

重量鉄骨

鉄骨構造です。上記の写真は重量鉄骨と呼ばれる種類のもの。
太い柱と梁を組み合わせることにより強い剛性を生み出しています。(柱梁ラーメン構造といいます)
ビル建築のような作りです。この後、床面にALCと呼ばれる軽量発泡コンクリートの床パネルを敷き詰めます。

ALC床パネルです。火にも強い特徴を持つのがALCです。遮音性もそこそこ高いです。

これは某ハウスメーカーの施工例です。安い鉄骨メーカーだとALC床パネルの厚みが薄かったりして音が響く場合もあります。
特徴としては柱と梁が太く頑丈なので筋交いもいらず、大きなスパンを取ることができます。
大きな窓とか、広い空間とか。
デメリットとしては、柱型が出てしまうこと(後述)。柱が太くなった分、部屋の中に柱の形が出てしまいます。(重量鉄骨とRC・SRCどちらにも言えるデメリットです。)
重量鉄骨やRC・SRCで柱型が出ていない建物もあるのですが、柱の厚み分、壁をふかしているということです。




柱型の有無とは?

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まずは柱型をそのまま残している状態。
見た目は綺麗ではありませんが、部屋を広く使うことができます。有効面積が多い状態。

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見た目は綺麗ですし、使いやすそうですが内壁を柱のサイズで施工しているので、部屋の面積が狭くなってしまう柱型隠し。

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見た目はイビツだが、部屋の面積は広くなる柱型を出したもの。

とあるハウスメーカーの重量鉄骨の外壁

これは重量鉄骨の骨組みに外壁を取り付けたものを部屋側から見たもの。"カーテンウォール工法"といって、地震がくると壁をゆらゆらと揺らすことにより力を逃します。壁パネルの間にあるシーリングと呼ばれるゴムのような目地は外壁の割れを防ぐ意味合いもあります。

軽量鉄骨

重量鉄骨と比べると、柱も梁も細いですが、その分、本数を多くして、筋交い(ブレース)を使って全体の強度を出しています。
大きな開口は取りづらいですし、筋交いのあるところは抜けないので間取りの自由度が減ります。
地震の際に力が分散するので設計のしようによっては強度は重量鉄骨より強く出せると言っている専門家もいます。
二階建て物件で鉄骨だったりすると軽量鉄骨の物件が多いように感じます。
建築費は重量鉄骨よりは安めです。




鉄骨造とはいうものの、鉄骨部分は骨組みなわけで、もちろん木も材料としては使っています。
写真は屋根の部分。

ちなみにぼくの住んでいる家は鉄骨造です。

繰り返しになりますが内装の造作があると木造だか鉄骨だかRC・SRCだかわからないです。

余談ですが賃貸の検索をする際に"アパートorマンション"という項目がある場合があります。
アパート→木造、軽量鉄骨
マンション→重量鉄骨、RC・SRC
という区分けになっています。

3.RC構造(鉄筋コンクリート造)

RC構造です。いわゆるコンクリ造。 正式には、「鉄筋コンクリート造」といいます。
これはとあるマンションを施工中のもの。左側に見えているのはユニットバスです。むき出しの状態だとこういう感じです。
これから床を施工していくところです。超大手の有名なマンションなので相場よりもかなり販売価格や賃貸価格が高いマンションなのですが、お値段が高いだけあって使っている材料壁の厚み等含めてきちんとしています。良いものは高い!

RCの特徴としては鉄筋の骨組みにコンクリを流し込んで施工していきます。
この写真のように隣の家との壁までコンクリの躯体であれば音の心配もないですね。もちろん床もコンクリ。
建築費も解体費用も高め。また、建物の重さも重くなるため、それなりの地盤改良や杭打ちが必要になります。

これはコンクリを流しこむ前の状態。鉄筋がびっしりとはりめぐらされています。

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こちらは解体中のRC(鉄筋コンクリート造)。先ほどのものと比べるとランクが下がります。
コンクリ床の厚みのことをスラブ厚と言ったりしますが、先ほどのものと比べると薄い印象。スラブ厚や外壁の厚みというのは遮音性に大きく関係してきます。
また、隣室との壁がコンクリの躯体なのか石膏ボードなのかでも大きく変わります
RCだから遮音性が抜群と考えるのは安易な考えです。

RC造(鉄筋コンクリート)だから遮音性抜群?

https://www.kurachic.jp/column/1357/

4.SRC(鉄骨鉄筋コンクリート造)

ちなみにSRCという構造がありますが、あれは鉄骨鉄筋コンクリートという構造です。
鉄骨の柱の周りをコンクリートで固めていく工法ですね。よほどの大型マンションやビルでないとあまり馴染みがないかもしれません。

構造体の答えは?

それでは、最初に提示した問題。この構造体はなんでしょう?の答えを発表します。

答えはRC造です!!

そうなんです。見た目じゃ全然わからないのです。
内部造作材として木材や石を使うこともありますが、その中の骨組みというのは見えないのです。

さいごに

"音が心配なので木造は避けたいです。"
というご意見をたまにいただくのですが、木造だからダメということはありません。
家賃相場より高い、築年数の新しい木造物件は安いRC物件よりも遮音性能もきちんとしていることが多いです。

どの構造体にもいえることですが、家賃相場よりも安い物件に色々な要素を求めるのは難しいと考えておきましょう。



お部屋探しの参考にどうぞ!!

それでは!