こんにちは。暮らしっく不動産の徳留です。

ビジネスモデルを暮らしっく不動産のスタッフになってから知ったことですが、街中で"仲介手数料無料"とうたっている不動産屋さんをみかけたことはありませんか?
仲介手数料ゼロ円でどうやって不動産屋をまわしているのだろうか?と思っていたのですが、ちゃんとカラクリがあるんですね。ボランティアでやっているわけではないので、それでもお金が入ってくる仕組みがあるのです。
今日は不動産賃貸の「仲介手数料無料」のカラクリを解説したいと思います。

まずは初期費用について計算してみる

例えば3/20に賃料が発生する家賃8万円、共益費3000円の部屋を契約したとして考えてみたいと思います。
物件によってマチマチですがよくあるパターンの初期費用の計算です。

項目 金額
3月分日割り家賃

30,968円

4月分家賃 80,000円
3月分日割り共益費 1,161円

4月分共益費

3,000円
敷金(1ヶ月) 80,000円
礼金(1ヶ月) 80,000円
家財保険

15,000円

保証会社30% 18,000円
鍵交換費や24hサポートなど 21,000円
仲介手数料(家賃1ヶ月+消費税) 86,400円

これを合計すると415,529円です。
よく初期費用の目安を聞かれるのですが"家賃の4.5ヶ月分から6ヶ月を目安にしてください"とお話しするようにしています。
この例だと少しお釣りがくるぐらいですね。だいたいあっているといえます。
上記の例で言うと仲介手数料が占める比率は21%です。一番大きいですね。
では、仲介手数料を無料にした場合はどうなるのでしょうか?

仲介手数料無料の場合

項目 金額
3月分日割り家賃

30,968円

4月分家賃 80,000円
3月分日割り共益費 1,161円

4月分共益費

3,000円
敷金(1ヶ月) 80,000円
礼金(1ヶ月) 80,000円
家財保険

15,000円

保証会社30% 18,000円
鍵交換費や24hサポートなど 21,000円
仲介手数料(家賃1ヶ月+消費税) 0円

仲介手数料をゼロ円にしてみました。
総額は329,129円に。お客さんからするとすごくありがたいですね。安いにこしたことはありません。

仲介手数料というのは不動産屋の利益なのですが、仲介手数料をゼロ円にすると教科書的に考えれば利益が無いことになります。
では世のため人のためにボランティアで事業を行っているのでしょうか。
やだっ!イケメン、さすが!なんて思う人はないかもしれませんがなかなか男前なボランティア精神と思ってはいけません。ちゃんとしたカラクリがあります。

広告料が出る物件

お客さんから仲介手数料をもらわずに営業している仲介業者の収益源は広告料です。
物件の中にはお客さんを仲介すると広告料が出る物件があります。
通常、不動産屋で物件の図面を見ると、一番下の部分の会社名は今、訪れている不動産屋の名前になっていることが多いと思いますが、これは実は修正されたものです。
訪れている不動産屋が募集しているかのように見えますが、実はここには募集元の会社名が入っています。

多くの場合、その募集元の会社名の横に下記のような記述があります。

  • AD50%まで相談
  • AD200%
  • 広告料75%

このADや広告料というのは、大家さんや募集会社が"お客さんを見つけてきてくれてありがとう"という意味合いで払ってくれるお金です。いわばボーナスです。

ボーナスが出るので不動産会社の収益源である仲介手数料をもらわなかったり、値引いたりしても業務が成り立つ構図です。

  • 仲介手数料半額→広告料が50%以上出る物件を取り扱う
  • 仲介手数料ゼロ円→広告料が100%出る物件を取り扱う

と読み替えるといいかもしれません。

初期費用が安くなるならいいじゃん!払った金額を誰がどう取ろうと内訳なんて知らないよ!
と思ったあなた。ちょっと待ってほしいのです。

広告料が出る物件はどのぐらいあるのか?

先ほど仲介手数料ゼロ円の不動産屋さんは広告料(AD)を収入源としていると書きました。
ということはボランティアではないので、広告料が出る物件しか紹介してくれません。
広告料がついている物件数は全体の何%なのか?ということが気になるところかと思います。

以前の記事で門伝のほうで高田馬場で調査した形跡があったのですが、今回はぼくがよく遊んでいる巣鴨で検索してみます。
賃料8万円までの3月1日付の全体の物件数は285件。

このうちの何%が広告料が出る物件なのか。。。

結果的には92件でした。
比率で言うと全体の32%が広告費ありの物件ということになります。残りの68%は広告費無しの物件。
仲介手数料がゼロや半額でお店をまわしていく以上、広告費から収益を得る必要性があります。
利益を出すためには広告費がついている物件を紹介する必要があります。
これは読み替えると本来は住める可能性のある全物件の32%の中からしか物件を紹介されていないということになります。

初期費用が安くなるのはありがたい話なのですが分母が285件の中から物件を選ぶのか、分母が92件の中から物件を選ぶのかというのは大違いですね。

今は例なので、なんの条件もつけていませんが現実的には、これにウォシュレットや風呂・トイレ別や構造の指定といった条件がついてくるので分母の数がますます小さくなります。
エンドユーザーにとって最大のポイントは初期費用は安くなるが提案される物件の選択肢を狭めてしまうというのがポイントです。

広告料については以前に門伝のほうでも記事にしています。

ストップ!広告料! 正しい部屋探し

https://www.kurachic.jp/column/702/

ここまでなら別に選択肢の話なので、とにかく初期費用が安ければどんな部屋でもいいのだ!という人もいるかと思うのでいいのですが、広告料の派生系としてダークな話も書いておきます。

のっけOK

礼金を広告費として収益にするという話は書きましたが、業者間の電話や図面に記載されている"のっけOK"という言葉。
これはどういう意味でしょうか。

会社によっては"礼のっけ可"と書いている場合もあります。これは礼金を上乗せしてもいいよ。という意味です。
例えば本当は礼金が1ヶ月の物件だったとしても1.5ヶ月として紹介してもらっても構いません。そして上乗せした分はボーナスとしてお支払します。という意味です。
しかもAD100%なので8万円の物件で1.5ヶ月として紹介した場合、仲介会社には広告費として12万円入ってくる計算になります。
仲介手数料だと1ヶ月+消費税ですが、これは広告費なので自由に設定できてしまうのです。
もちろん本当は礼金0ヶ月なのに1ヶ月として出してくるパターンなんていうのも存在します。

暮らしっく不動産にも業者から電話がかかってきて

「のっけできますか?」

とたまに聞かれたりします。暮らしっく不動産ではそういうことはやらないので

「できません。」

と言っているのですが、こういう業者が実在するのは事実です。

このあたりの話も以前に門伝が書いています。

礼金の上乗せに気をつけましょう!

https://www.kurachic.jp/column/553/

仲介手数料がなくても収入源は様々

ご紹介してきたように、仲介手数料がゼロ円です!といっても様々な方法で利益を出しています。
会社であれば利益を追求するのはごくごく普通のことだとは思います。ただ、情報操作をしたり、選択肢が実は少なくなっていたりと必ず何か裏の事情があるというのは消費者として覚えておきたいところです。

仲介手数料ゼロが悪いわけではないですが、カラクリがあるということをお忘れなく。

それでは。