結論:土地を買うときは、土地代だけでなく地盤改良費も見込みましょう。軟弱な地盤でも家は建ちますが、改良には50万円程度から300万円を超える場合もあります。

ここが大事:坪単価が安い土地でも、改良費を足すと割高になることがあります。

まずはここから!

  • 購入前に周辺の地盤データを調べる
  • 改良費の見込みを依頼先に聞く

こんにちは。暮らしっく不動産の徳留です。

土地を購入するときに気をつけたいのが地盤改良費です。土地の値段が安いエリアには、軟弱な地盤が多いこともあります。軟弱な地盤でもきちんと対策すれば家は建てられますが、その対策にお金がかかるため、土地代が安くても、合計すると高くなる場合があります。

東京でマイホームを持ちたいという方は多いはずです。先祖代々の土地があればいいのですが、地方から出てきて土地がない。子どもの進学のタイミングでローンを組んで、戸建て住宅を建てたいと考える方もたくさんいると思います。実際、私が戸建て住宅の営業をしていたころも、そういうお客様が本当に多かったです。

土地が安いエリアには理由がある

以前、山手線の内側の第一種低層住居専用地域に住むならいくらくらいかかるのか、というコラムを書きました。テレビCMに出てくるような大手のハウスメーカーで建てるなら、土地代込みで1.5億円くらいかかると思われる、という試算になりました。ふつうの会社員には難しいかもしれません(親からの援助があれば別ですが)。

そうなると、予算の問題で、山手線の内側の第一種低層住居専用地域は候補からはずれます。次に考えるのは、東京23区の中で土地の坪単価が安いところです。ただ、安いところには、それなりの理由があったりします。この記事では、その問題点を考えてみます。

東京の東側は標高が低い

これは東京都の高低差をあらわしたデータです。足立区、江東区、墨田区、江戸川区、葛飾区、荒川区は青色の部分が多く、比較的標高が低いエリアといえます。

このエリアは、文京区や渋谷区、豊島区とくらべると、土地の値段も安かったりします。下町が広がるエリアでもあるので、古くなった住宅ごと売りに出ているケースもよく見かけます。

各区の平均土地相場(2015年)

2015年1月〜12月の、各区の平均土地相場です。

区 1㎡あたり 1坪あたり
足立区 27.05万円 89.26万円
江東区 47.53万円 156.84万円
墨田区 46.01万円 151.83万円
江戸川区 35.84万円 118.27万円
葛飾区 30.30万円 99.99万円
荒川区 41.22万円 136.02万円
6区の平均 37.99万円 125.36万円
(比較)文京区 91.15万円 300.79万円

※データは、レインズ・アットホームのデータを暮らしっく不動産が独自に編集したものです(2015年時点)。今の相場とは違う可能性があります。

このデータからもわかるように、東京の東側、いわゆる城東エリアは、価格が比較的おさえめな傾向にあります。もちろんこれには、都心までの通勤時間といった交通の問題、周辺の環境など、さまざまな理由が含まれています。

理由のひとつは軟弱な地盤

理由はもうひとつあります。戸建て住宅の営業をしていたころ、このあたりの土地で感じたのが、軟弱な地盤が多いということでした。

家を建てる前には地盤調査をする

戸建て住宅を建てるときは、多くの場合、地盤の調査をします。私が勤めていた会社は鉄骨系のハウスメーカーで、建物が重くなることと、3階建てが多かったことから、必ずといっていいほど地盤調査をしていました。

調査は専門の業者さんにお願いして、どのくらいの深さにどんな土があるのかを調べます。くわしい方法はここでは省きますが、わかりやすくいうと、鉄の棒を30cm沈めるのに、何回棒を打ったか、またはハンドルを何回回したか、といった方法で調べるものがあります。50kgや100kgのおもりを使って機械で沈めていくものもあれば、人がハンドルを回して操作するものもあります。

江東区のある地点の調査データ

参考データ:東京都土木技術支援・人材育成センター

これは江東区のある地点の調査データです。7mより深いところは、打撃回数0回で棒が沈んでいっているのがわかると思います。1.5m付近がいちばん強度が出ていますね。

文京区のある地点の調査データ

参考データ:東京都土木技術支援・人材育成センター

次は、文京区の本郷台地にある地点のデータです。先ほどのものとくらべるとどうでしょう。波はありますが、地中に深くもぐっていくほど、ある程度の強さが出ています。土地として、とても優秀です。

同じ東京23区でも、場所によって地盤の強さはこれだけ違います。購入を考えている土地の近くの調査データを見ておくと、地盤のイメージがつかみやすくなります。

軟弱な地盤でも家は建てられる

江戸は、もともと海や湿地だった場所を埋め立てて作られた街なので、当然といえば当然の結果です。でも、心配する必要はありません。こういう場所でも、きちんと家は建てられます。地盤を補強する主な方法は次の3つです。

方法 内容
表層改良 軟弱な部分が浅い場合に、土にセメントを混ぜて固める。いちばん軽い処理方法
柱状改良 コンクリートの柱のようなものを土地に何か所も作って、建物を支える
杭打ち 鋼管杭を強い地盤まで打ちこんで、建物を支える

表層改良

軟弱な地盤が少しであれば、表層改良を行います。一般的には、その土地の土とセメントを混ぜて行うようです。いちばん軽い処理方法ですね。

柱状改良

コンクリートの柱のようなものを土地に何か所も作っていき、建物を支える方法です。

杭打ち

鋼管杭を強い地盤まで打ちこんで、建物を支えます。少し前に、マンションの杭打ちデータの偽装が話題になったことがありましたが、あれはこの杭が強い地盤まで届いていなかったという話でした。

地盤改良の費用

このように、軟弱な地盤でも家を建てる方法はいろいろありますが、費用もさまざまです。杭を打ちこむ本数や広さ、深さで値段が変わります。50万円程度で済む処理もあれば、300万円を超えるような場合もあります(当時の営業経験からの目安です)。

どの方法にするかの判断は、ハウスメーカーや設計士さんによっても違うので、「いくら」と言い切れるものではありません。言いたいのは、安く土地を買っても、土地の改良にお金がかかる場合があるということです。

土地購入をシミュレーションしてみる

たとえば、15坪の土地を買おうと考えていたとします。2015年の平均相場をもとに、ざっくり計算してみます。

項目 足立区 葛飾区
坪単価(平均) 約89万円 約99万円
15坪の土地代 1,335万円 1,485万円
地盤改良費(仮に足立区の土地がとても軟弱だった場合) 300万円 0円
合計 1,635万円 1,485万円

いっけんすると足立区のほうが安いですが、仮にとても軟弱な地盤で、300万円の杭打ちの費用がかかったとしたらどうでしょう。150万円もの差がついて、足立区のほうが高くなってしまいました。

これはあくまで仮の計算で、実際の地盤は区ではなく土地ごとに違います。土地の値段が安いからお得に見えても、土地から買って家を建てるときには「見えにくいお金がかかる場合がある」ということを覚えておきましょう。

購入前に確認しておきたいこと

  • 購入を考えている土地の近くの地盤データ
  • 家を建てる会社が、地盤調査をどの段階で行うか
  • 地盤改良が必要になった場合の費用の見込みと、予算に入れておく金額

どこまで事前にわかるかは土地や依頼先によって違うので、契約の前に確認しておくと安心です。

土地を買ったあとの登記を新しい住所と今の住所のどちらでするかは、不動産購入時の登記は新住所と旧住所のどちらにすべき?で司法書士が説明しています。

土地ではなく中古マンションを安く買うことを考えている方は、500万円以下の中古マンションは買える?も読んでみてください。

さいごに:歴史と通勤ラッシュと個人的な考え

こういう記事を書くと「やっぱり文京区とかいいなぁ、地盤も安定しているし」と思うのですが、歴史的に考えてみても、文京区や目黒区や渋谷区は、政府の要人やお金持ちが住んでいた街だということを思い出します。特に明治以降のお金持ちが住んでいたような気がしています。そこに住むだけの資産っていくらなんだろうと考えると、今の時代でも、そういうところに住めるのは自然とそういう層の人になるのだと思います。

どこに住んでもいい世の中といっても、その言葉の裏には「お金を持っているならね」という意味が含まれているような気がします。年収によって住むエリアが変わってくる現実もあります。

でも、住みやすい街に住みたいのか、ブランドのある街に住みたいのかを考えると、必ずしも文京区や渋谷区である必要はありません。都内にも素敵なところはたくさんあります。自分に合った場所に住めばいいのです。

みんながいいと思うところには、街が発展する理由があります。でも、出勤する会社は都心部にあるので、同じ時間にたくさんの人が移動します。年収が同じくらいの人が、同じ時間に、似たような街から移動することで起きるのが通勤ラッシュだと私は思っています。

自分にとって住みよい街とはどこか。土地の値段や地盤とあわせて、今一度考えてみてはいかがでしょうか。都心の土地の成り立ちについては、江戸藩邸と家賃相場の記事も参考にしてください。